━━お願い。わたしの復讐を
忘れてばかりの空っぽの頭から
アキベヤは何とか記憶を取り戻そうとしていた時。
部屋の横にある扉を誰かが開けた。
謎の人物の対策に
アキベヤは腕をクロスに組み、
顔の前に守りの姿勢を見せた。
「痛む所とか無い?」
謎の人物は正体は
呆気ないことにRADだった
わぁぁと声を上げ、思わず布団に顔を埋める
アキベヤ。
「えぇと!
RADさんが俺をここまで連れてきてくれたんですか」
改めて二人きりになるって、
この人をみると
アキベヤの顔がタコみたいに真っ赤になって
上手く言葉を口に出来たか怪しくなるのだ
「そう貴方突然倒れたから」
それと、と区切るようにRADは言った
「RADでいい、
その方が気楽だし、
私もアキベヤの事呼び捨てで呼んでるから」
微妙な空気が流れる
ついさっきの盗賊装備のような姿とは違い
白色の布地のパジャマをRADは着ていた
折れてしまいそうな細い腕と体がアキベヤの隣にぴったりとくっ付き
窓から漏れる風に灰色の髪が揺れ、
それが夕暮れに当たり銀色の髪に見えてしまう
(こんな可愛い子を呼び捨てで)
記憶が無くなる前の自分はこんな時気軽に呼び捨てを出来ただろうか
そうだったとしたら、今この瞬間だけでも
戻るか、勇気を下さい
息をいっぱい吸い込んで
アキベヤは話しかけた。
「RADさ、」
獲物を狙う様な無機質な目でRADは
アキベヤを睨んだ
「RADはどうして俺を助けてくれたの?」
「それは」
唐突だったのだろうか
RADは一度、口籠ったが。
アキベヤに消え入りそうな声で話しはじめた。
「貴方が私が会った中で唯一ロロロに召喚された人だから」
(確か、喋る灰猫が話してくれた神様の名前だっけ、それと俺を召喚した神様、、)
アキベヤが少し浸っていると
「この絵を見て」
RADは部屋にある一枚の絵をアキベヤに
見せた
「この絵に写っているのがロロロに会った事がある人が書いた絵」
大きな山羊。
アキベヤの第一印象はそれだった
普通の山羊より大きい体格を持ち。
山羊の前足や後脚に当たる部分は
細い人間の腕のようで
地べたを這いつくばるように蹲って
笑う
一つ目の山羊
その余りにも冒涜的なその姿に
アキベヤは手を口に当て吐き気を堪える。
「こいつがロロロ」
RADはその絵の額縁を忌々しげに掴んだ
「アキベヤにはこいつを殺すのに協力してほしい」
「どうして、、」
こんな化物を殺すのに自分が役に立つとは思えない
それどころか、
さっきの凄まじい決闘をしたRADですら、
アキベヤは敵うとは思わなかった。
「私の親友と兄はこいつに殺された」
段々と告げた事実に
少女は震えるようでも、
怒りが溢れそうでも無く
灰猫が現れた時の様に静かに言った。
「普段ロロロは透明で
誰にも見えないし
誰もそこにいた事を感じられない
でも
ロロロとの接点が多ければ多いほど姿が鮮明に見える」
━━だから
「貴方は恐らくロロロが初めて召喚したナガビト、アキベヤがいれば探す事ができる」
アキベヤはそれが自分を助けてくれた理由
だと分かった
「お願い。
私の復讐を手伝って」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます