灰猫

門をくぐると物凄い熱気が街全体を覆って いた

二階建て以上はある白とオレンジの石造りの建物達が立ち並び

下には多くの露店が並んでいる

食べ物や雑貨、

珍しい物なら光り輝く剣や

謎の本を売っている露店まであった


アキベヤは

今度は歩く大勢の人たちを確認した。


大通りを歩く人たちの中には

全身に鎧を着ている人や

猫耳や犬耳などが頭に生えている人もい

たが、

そこには自分の様な黒髪の少年は一人もいない。

世界から自分だけが取り残されている様な気がした。


「もう少しで着くから」


少女の歩く速度は少し上がり

ついていくアキベヤは人にぶつかりフードが落ちそうなのを抑えながら進む

二人は

大きな時計塔と

探索者募集とデカデカと書かれた間の

裏路地に入った。


「はぁ,,はぁ,,」


アキベヤは息を切らしながら疲れているのに対して、少女は息一つ切らしていない


「いるんでしょ灰猫出てきて」

その声が裏路地に響いたのがきっかけだったのか

アキベヤには分からない


しかしガヤガヤと騒がしい。

大通りの声が突然聞こえなくなった


場所を何かで切り取ったみたいに

シンっとした静寂が辺りを支配し

奥から一匹の灰猫が音を立てずに現れた


灰猫はゆっくりと二人に向かってくる度に、

石作りの地面に水面に雨が降ったような

波紋が浮かび上がる


アキベヤと2、3歩の距離まで近づいた時

灰猫は少し高い声を上げた

「初めましてアキベヤくん、

私の事は気軽に灰猫と呼んでくれ」


喋る灰猫を前にして

アキベヤは当然驚いた

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