第64話 衝撃の結果

「アル様には魂が2つございましたが、双方にそれぞれの魂がある程度融合されていたようです」

 なるほど、異世界人であった前世の俺と魔神の魂は完全に別々に俺の中にあった訳ではなく、双方が混じっていた訳か。

「それでもあの時、私は、魔神が覚醒したと感じました」

 だからあの宿屋にこいつは現れたのか。俺を殺すために。

「だったら何故俺はまだ生かされている?」

「最初は様子を見ていたんですけど、直ぐに魔神の魂が弱体化致しました」

 何だと。急に何があったんだ。 

「えっと、これは大変申し上げにくいのですが……」

 レッドにここまで言いにくいと言わせる事実を聞くのが怖い。

「魔神の魂の半分はレイナード様に受け継がれた様です」

「えっ、えっと、どういう事なんだ?」

 意味が分からない。

「そうですね。簡単に言いますと、アル様は覚醒して直ぐに奥様とやりまくってレイ様が出来ましたよね。どうやら子供が出来る度にその魂が分割されて行く様でして、二人目のモニカ様は女性なので受け継がれ無かった様ですが、次男のツヴァイ様には四分の一が受け継がれてます。つまり、子供をたくさん作っていけば、どんどんと魔神の魂は分割されていずれ消滅するでしょう」

 えっと、それはお恥ずかしい話ですが、もっとやりまくれと言うことでしょうか? 確定事項でしょうか?

「私は魂の形が視えるように作られてますからね。アル様の中の魔神はもう殆ど残っていません。後5〜6人男の子を作っていただけましたら完璧ですね。まさか魔神の魂がこんなに簡単な方法で消滅させれるとは思いもしませんでした。アル様が頑張ってハッスルしてくれたからですね」

 5人も! いや、5人位すぐだな。早ければ2年で終わるな。

「問題はレイナード様とツヴァイ様ですね。特にレイナード様には10人位は作って貰わないといけませんね」


 すまん、レイ君。お前も俺と同じ道を歩いて貰わないといけないみたいだ。レイ君なら大丈夫だろう。女の子大好きそうだし。


「じゃあ、魔神の脅威はもう無いということか」

「レイ様は観察が必要ですが、彼もご主人さまと同じ転生者です。恐らく大丈夫でしょう」

 よかった。これで安心して旅を続けられる。

「一つだけ問題がございまして、勇者召喚は魔神を倒すために行われるのですが、その魔神がいなくなってしまったので、トウカ様はもうあちらの世界に帰る手段が無くなってしまいました」

「えっと、召喚された勇者は魔神を倒したら元の世界に戻れていたのか?」

「はい。過去の文献にはその様に記載されてました」

 それは……トウカには告げづらい事実だな。

「という事で、後のことはお任せいたします。私はタマを迎えに行ってまいります」

 あっ、ちょっと待て。ああ、消えてしまった。

 あいつ、言いづらいからって俺に丸投げして逃げやがった。マジで一回殴ってやりたいわ。どうにかして殺気を抑える方法は無いものか。あいつに一撃を入れるためだけの修行に励むか?


「あっ、旦那様おかえりなさい。お話は終わられたのですか?」

「ああ、トウカちょっと話があるんだがいいか」

「えっ、私に。別にいいけど」

 さてと、トウカにどう説明すべきかな?

「あのな、すごく言いづらいんだがな」

「なに。嫁になれってこと。いいよ」

「ちがーう」

「何だ違うのか。残念」

 残念なのかよ。こんなおっさんの何処がいいんだよ。すでに4人の奥さんと11人の子持ちだぞ。

「あのな、レッドに聞いたんだがな、トウカを元の世界に戻す方法は無いらしんだ」

「うん。それで」

「それでって、トウカはもう戻れないんだぞ」

「いいよ、別に」

 いいのかよ。てっきり戻りたいのだと思っていた。

「こっちの方が楽しいしさ、私のことをみてくれる師匠もいるし。それに桜。あの子をしっかり教育しないといけない」

 おっと、そうだったレイ君の事は頼んどかないと。

「レイ君の事なんだがな、レイ君の体の中にな魔神の魂がいるらしくてな、それを始末するのに子供をいっぱい作らないといけないらしんだよ。だからさトウカは嫌がるかもしれないけど、レイ君にはお嫁さんをいっぱい娶って貰わないといけないんだけど……」

「はーーーぁ。なにそれ、何でそんなんで魔神っていうのがどうこうできるのよ」


 俺はレッドから聞いた話をトウカに聞かせた。

「そんなの別にほっときゃいいじゃん。別に今すぐに何とかしなくても、10代くらい先になったら自然と淘汰されるんじゃないの」

 あれ、そういえばそうだな。別に今すぐ始末する必要の無いことだな。トウカ意外に賢いな。

「そんな事よりさ、さっきの続きなんだけど。私を嫁にはしてくれないの?」

「なんでトウカを嫁にするんだよ」

「だって、師匠は弟子を嫁にするんだよね。だったら私もしてくれるんでしょ」

 そんな事実はない。結果としてそうなってしまっただけだ。

「私だけ仲間はずれは寂しいしさ。ねえねえ、いいでしょ。師匠ぅ。私ともやろうよー」

 こら、体を擦り寄せてくるんじゃない。俺はこれ以上嫁を増やすつもりなんて無いんだからな。無いったら無いんだからな。


 さあ、飯の時間だ。皆の所に戻るかな。トウカを無視して皆の所に戻る。

「ねえったら」

 まだ言ってるよ。

 魔神の事は心配ないことが分かったし。万事解決だ。


 明日はミリアと子供たちを迎えにあの街に戻らないといけない。まあ、俺は絶対に中には入らないけどな。

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