第63話 衝撃の事実
「ご主人さまが亡くなられてから500年ほど経った頃でしょうか、一度目の転生がございました」
あれから落ち着ける場所に移動した俺たちはレッドから過去の経緯について聞いていた。俺個人の事に深く関わることの為、皆には別の場所で野宿の準備をして貰っている。ライカとポチは文句を言っていたが、無視した。あとが怖い。
「私はご主人さまの転生体が誕生すれば分かるように設計され作られた個体です。直ぐに現地に向かいました。そこには崩壊した村とその村の中で笑う赤子がございました。直ぐに転生の失敗を確信した私はその赤子を始末いたしました」
レッドの説明は続く。
「それから三千年あまりの間に3回、ご主人さまの転生体をこの手にかけてまいりました。そして今から40年ほど前になりましょうか。アル様がお生まれになりました。アル様はこれまでの転生体とは異なり、人間としての魂の方が強く。魔神の魂を封じた状態で生まれてこられました。私はやっと転生の成功を確信いたしました」
なるほど、俺には魔神とやらの魂が封じられてのか。ん。封印って何か嫌な予感がするな。
「しかし、いまいち確信が持てなかった私はアル様の父親として近くで見守ることにいたしました」
「ちょ、ちょ、ちょっと待てーい」
聞き捨てならない事実がでてきたぞ。
「父親ってのはどういう事だ」
「そのままの意味でございます。アル様が親父と呼んでいたのは私でございますよ。いやー赤ちゃんの頃のアル様は可愛かったですよ。パパと呼んで抱きついてきたりしましてね。ほらこの通り」
そう言うとレッドの姿が親父に変わった。今の俺よりも若い。いつの間にか俺のほうが年上になってしまった。
「待て待て待て。と言うことは、俺はレッドに育てられたのか?」
「そうですよ」
滅茶苦茶重要な事実を日常会話のように一言ですんなりスルーしやがった。
「という事は、山に置き去りにしたり、ゴブリンどもの巣穴に投げ入れたりしたのもお前という事だな」
あの時はマジで死ぬかと思った。あの恨みは今でも忘れてないぞ。いつか親父を殺してやると恨んだものだ。
「修行ですよ。修行。好きでしょ修行」
「……」
今はまだ何も言うまい。後で覚悟しておけよ。
「それで本当の親父は?」
「お生まれになる前にモンスターに殺られて、亡くなっておられました」
「母さんは?」
「ご出産の際に亡くなられた様です」
「じゃあ俺を育ててくれた母さんは……」
「あれは私の妻のタマです。タマもご主人さまの使役獣ですよ」
こいつ奥さんいたのか!
「ちょっと頭を整理する時間をくれ」
そう言って俺はレッドから離れ、一人森の中を歩いている。衝撃的な事が多すぎて頭がついていかなかった。少し落ち着きたかったのだ。
川があったので、その辺の木の棒に草のつるを結びつけ、簡易の釣り竿を作り川へ垂らす。魚を釣ることが目的ではなく、心を落ち着けるための行為だ。
俺の中には魔神とやらの魂がいるらしい。前世の俺はその魔神と体の取り合いをしていた。ならば俺はどうなのだろうか。生まれてこの方、そんな奴の存在を俺の中に感じたことはない。魔神の魂というものがあるのであれば、どうなっているのだろうか。やはり、最後までレッドの話を聞かないとさっぱりだ。
ただ一つ、決まっている事はある。魔神だろうが、何だろうが、俺の体は俺のものだ。誰にも渡すものか。前世の俺だって数百年抵抗出来たのならば、俺だってもしもの時はそうしてやる。
「レッド、続きを聞かせろ」
「よろしいですよ。ではおかけください」
「それで、俺の中の魔神とやらはどうなっている」
「私はアル様に心臓が2つあると教えましたね。あれは嘘です。心臓ではなく魂だったのです」
じゃあ、俺があの時に心臓を貫いて殺したのが魔神の魂だったのか!
「ぶっぶー。アル様。間違いです。あの時に死んだのは私のご主人さまの魂の方です」
「じゃあ……」
「そうです、今のアル様自身が魔神の魂の方です」
そ、そんな……。俺が魔神だなんて――いや、待てよ。別に俺、世界を滅ぼしたいなんて思ってないけど? 本当に魔神なのか?
「そうなんですよね。私もいつ魔神としての本性を現すのかと思い、ずっとついて来たんですけど、一向にアル様はアル様のままなんですよね。早く本性現してくれませんか。いつまでも殺せないんで――」
いや、現せと言われてもな……。
「――と言うのは冗談で、実は理由は分かってるんですよ」
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こんにちは
天気の子の主人公がSAOのキリトに見えて仕方がない作者です。
天気の子の映像のクオリティが凄すぎますね。あと背景が滅茶苦茶、細かいのにびっくりしました。あれ1分ぶんの映像を作るのにどれくらいかかるんでしょうね。
内容的には「君の名は」の方が良かったですけど。悪くは無かったです。
それでは後書きです。
レッドの衝撃の告白でしたね。
まさかレッドが父親だったとは。何で死んだことにして消えたんでしょうね。機会があればその辺りも触れたいところですね。
それではまた明日。
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