第39話 王都シルバニアン
僕達は、騎士団が用意した食事を食べながら話をしている。食事は、硬いパンと鍋で温めた野菜のスープだ。正直美味しくない。
「ギランカ盗賊団がまさか狙って来るとはな。普通は一騎士団員全員で倒すものだからな。」
パリスさんが話している。それだけギランカ盗賊団は、強いみたいだが、それはこの騎士団が弱いだけじゃないのか?と思ったが何も言わないでおこう。
「それよりもエルジュ殿!あなたはずいぶんと強いですね!まだ天職の儀式を受けたばかりの、10歳なのに。」
そうだ。僕はまだ10歳なのだ。だから大人のあなた達は、もっと頑張って下さいよ。まぁ、父さんの影響で冒険者ギルドに行ってたから、大人びているけどね。
「ダンジョンに行って鍛えましたから。一般職なので、少しでも強くなりたいので。」
一般職のステータスは、戦闘職の人よりもかなり低い。
「そうか。ギランカが強いだけで、他の盗賊達は弱かったからな。一つの盗賊団を潰せたから良かったな。それよりもこれは狙われたのか、それとも偶然なのか、どうだろうな。」
盗賊団が見るからに王国騎士団を襲う理由は、無いだろう。それならば、誰かから依頼されたと思うのが普通なのかな。
騎士達は、話しているが、僕には関係ないかな。どうせ預言者に言われて狙われたとか、そんな理由だろう。
「すみません、少し休みます。」
僕は、疲れたので休むとしよう。
「そうか。テントで休みなさい。俺たちは、見張りがあるから交代でだな。何かあったら起こすからな。」
僕はテントで休む事にする。横になると、知らぬ間に朝になり、馬の背に揺られていた。
「おはよう、エルジュ殿。今は朝の5時位かな。早めに出発したので、寝てる所すまなかった。」
パリスさんは、馬と並走しながら走っている。馬は全力ではなく、軽く走っているのだろう。
そのまま進むと、森を抜けて、草原に出た。草原を抜けると、巨大な石壁が見え木製の門が見えてきた。
「あれがシルバニアンだ。王城もあそこにあるぞ。」
パリスさんが説明してくれる。
王様もシルバニアンに住んでおり、王国騎士団の本拠地もあるのだ。
僕達は、門には人が行列をつくっているが、門番にパリスさんが王国騎士団の証明を見せると、すんなり通ることができた。
「騎士団団長の元へ向かうぞ。」
パリスさんは話し、王城近くの建物に向かっていく。王国騎士団本部があるみたいだ。
歩いて行くと、王国騎士団本部に到着した。派手さのない、石造りの建物だ。
「パリス団長任務完了ですか?」
建物の入口にいた男性が声を掛けてきた。
「はい。団長は、居ますか。」
「団長の部屋にいますよ。」
「ありがとう。」
パリスさんの後に付いていき、建物を進む。建物には、騎士達がいるが、皆険しい表情だ。副団長が囚われたのが、影響しているのだろう。
歩いていき、部屋の前で立ち止まる。他の部屋に比べ重厚な扉だ。
「パリスです。任務完了しました。」
パリスさんが、声を上げる。
扉が開かれた。
「どうぞ。」
部屋にいた女性が招く。
部屋には、一人の男がおり、テーブルに並んだ書類を記入していた。
「エルジュ殿をお連れしました。」
パリスさんが男性に声を掛ける。
「遂に来たか。ご苦労パリス。」
男性は、立ち上がり笑顔でパリスさんを見る。身長2メートルはある、白髪頭のダンディーな男性。王国騎士団長グロースだ。服がはち切れんばかりの筋肉が目立つ武人だ。
「ようこそエルジュ君。来てくれて感謝する。パリス、道中何かあったみたいだな。説明しろ。」
グロースさんは、どかっと椅子に腰かける。
パリスさんは、フォルブルク家に協力してもらった事と、ギランカ盗賊団について説明する。ギランカ盗賊団を討伐したと言ったらグロースさんは、大変喜んでいた。
「そうか。ギランカ盗賊団を良く5人で討伐できたな。普通師団全員で討伐するだろうが、お前達が優秀だったんだな。」
グロースさんは、笑顔で話す。
パリスさんは慌てて否定する。
「いえ、違います。エルジュ殿が助けてくれたのです。私などギランカに腕を落とされてしまいましたからね。」
「腕を落とされてた?回復魔法を使えるのか?」
グロースさんは、不思議そうに僕を見てくる。僕は無言で答えない。
「分かりません。エルジュ殿の天職でしょうな。」
パリスさんが、困った様に答える。
「なるほど。天職か。エルジュ君、天職に付いて説明してくれないか?」
【アクセサリーショップ】について説明か。リスクが多くなりそうだな。僕は無言で考える。
「そうだな。取引と言ったら良いかな。2つ私達ができる、エルジュ君の願いを叶えよう。」
願い!どんな願いが良いか、考えよう。
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