第38話 エルジュVSギランカ

 う〜ん良く寝た。今は朝かな?


 僕は頬が痛いのを我慢して、体を起こす。床に僕は寝てたのか?それよりもあいつは誰だ?


「おはようございます。」

 僕は不意に挨拶をしてしまった。



「おはようございます。今この娘を始末しますからね。」

 巨体な男がココミさんに剣を振り下ろそうとしている。


 周囲を見ると騎士団が全滅している。なるほど。騎士団が悪人で、僕を助けにきたパターンかな?


「エルジュ逃げて!ギランカ盗賊団よ!」

 ココミさんが真っ青な顔で言う。


 なるほど。犯罪者か。


「いや、それダメなやつ!」

 ギランカは、今にも剣を振り下ろそうとしている。僕は腰に着けたキーホルダー全てに触れて発動させる。


 10連剛力Lv3キーホルダー×10個。力が90倍になった。

 10連火魔法強化キーホルダーLv3。火魔法が6倍になった。

 10連俊敏Lv3キーホルダー×10個。素早さが90倍になった。

 10連硬化Lv3キーホルダー×10個。守備力が90倍になった。

 僕は飛び起き巨体の男の腹を蹴りつける。


「グボ!」

 巨体の男は、身構える事なく蹴りを受けた。着ていた鉄の鎧は、足形に跡がついている。ギランカは、蹴り飛ばされ、床に倒れている。


「大丈夫ですか?」

 僕がココミさんに近くと、盗賊3人が僕に剣で斬りかかってきた。

 僕は剣を余裕で避けて、盗賊達の腹を殴りつける。3人とも一撃で盗賊は動かなくなった。


「まったく。変わった子ですね。」

 ギランカは、持っている魔剣に炎を纏わせ近いてくる。


「あの炎は、炎魔法Lv2です。絶対避けてください。」

 ココミさんが僕を守るように、前にでる。


 炎魔法Lv2か。勝てそうだな。

 僕は、右手を魔剣に向けて唱える。

「ファイヤーロード」

 魔剣を覆う様に魔力を込める。ギランカは、抵抗する様子もない。


「ファイア!」

 僕が唱えると、魔剣は高さと幅5メートルはある火柱を上げた。


「何だこれはーー!」

 ギランカの叫びが聞こえる。火柱で全く見えないが。


「あんなに炎魔法を上げれるのか。」

 ココミさんは、足をガクガクに震わせ怯えている。


「あっ!見えた。」

 火柱が収まり、ギランカが立っている。魔剣は溶けて無くなり、ギランカの両腕は、なくなっていた。炎魔法Lv3を6倍にするとこんな威力になるのか。気を付けよう。


「今です!」

 僕がココミさんに言うと、矢を震える手でギランカの心臓目掛けて放つ。ココミさんの背中に剛力Lv3の10連キーホルダーを着けたら、矢がギランカの左胸を貫通して、ギランカは絶命した。


 僕はすぐにパリスさんのもとに駆けていき、左腕に着けた、回復のブレスレットを発動させる。回復魔法Lv1のヒールが使える魔鉱石だ。


 肩の傷が少しづつ塞がっているが、一向に治らない。


「ううう、エルジュか。」

 パリスさんが意識を戻し起き上がろうとするが、体にまったく。力が入っていない。


 これは死んでしまうな。

 僕は一部再生Lv3のキーホルダーをウエストポーチから取り出す。一部再生Lv3の10連キーホルダーだ。悪ふざけで作った作品だ。1度に10箇所治せる優れものだ。


「パリスさん!これを握ってください。」

 僕はパリスさんの手に、一部再生のキーホルダーを握らせる。パリスさんは、キーホルダーを握ると肩の傷から、肉が盛り上がり再生していく。


 パリスさんの傷が治ったので、僕は他の騎士達の元に行き、ヒールを使う。剣で斬られた傷が治っていく。パリスさん以外は、重症ではなかったのですぐに治った。


 騎士達の傷は、治ったが馬車は全焼してしまった。2頭の馬は、無事に炎上から逃れていたので無事だ。


 騎士達は、盗賊達を燃やして処分していた。ギランカは、討伐証拠としてパリスさんが、魔法袋に入れていた。ギランカの亡骸の近くに、溶けて床に固まった魔剣の塊があったので、僕は素材分解と形状記憶を使い剣の形に型どった。


 炎の魔剣

 品質 低

 効果 炎魔法Lv2


 品質が低いのか。これは剣として僕は鍛える事が出来ないからだろうな。刀鍛冶に持って行けば品質は、上がるだろう。

 それよりも、この魔剣から炎魔法の魔鉱石が取れるけど、取っていいのかな?いや証拠の品だからダメだろうな。


 僕が剣を眺め葛藤していると、パリスさんが近いてきた。


「そいつが魔剣か。それよりエルジュ。お前がギランカを仕留めたんだって?」

 パリスさんが疑う様に聞いてくる。


「いいえ。違いますよ。ココミさんが矢で仕留めてましたよ。」

 嘘は言ってない。


「詳しい話は後でする。まずはここを離れるぞ。」

 血の匂いに魔物が集まってくるので、僕達は森に入る。馬も忘れずにつれてくる。



 もう遅い時間のため、森で野営するそうだ。パリスさん以外は、テントの準備をしている。


 テントの準備も終わり、皆腰をおろす。馬は、餌と水を食べて休んでいる。


 さて、これからどうするのかな?




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