第32話 新人天職者レベルアップキャンペーン パーティーメンバー

 変わりない日々を過ごし、3日たった。


「それじゃ行ってくるよ。」

 僕は、鉄の盾と短剣を装備し、リュックサックとウエストポーチを着けて家をでる。


 街の入口に馬車が待っているのだ。


「おはようございます。」

 僕は、チケットを見せると馬車の中に案内される。


 馬車に教会の神父と女の子1人いた。天職の儀式にいた【回復術師】女の子だ。肩ほどの金髪で、丸眼鏡の華奢な女の子だ。


「おはようございます」

 僕は、馬車に乗り込む。

 

「おはようございます。今日は二人の参加になります。」

 神父が説明してくれた。

 他の子達は、来ないみたいだ。


 この新人天職者レベルアップキャンペーンは、1日では帰ってこれない。移動で半日かかるため、外泊しないといけないのだ。両親と離れた外泊なんてしたことないので、とても楽しみだ。


 時刻午前7時になり、馬車が動きだす。街の外には魔獣と呼ばれるモンスターがいる。ダンジョンのモンスターと同じだが、倒すと亡骸が残り素材が取れるのだ。

 どこかのダンジョンから、モンスターが溢れると、森などに生息して繁殖したのが魔獣と言われている。


 この馬車の外には、護衛として、冒険者が雇われているので安心だ。


 馬車の窓から外を眺めている。街の外に行く機会は、少ないので、新鮮な気持ちだな。


「あの、すみません。」


 ん?

 女の子が声をかけてきた。


「はい。どうしました。」


「私ミューラと言います。」


「僕は、エルジュです。」

 僕も名乗る。


「エルジュ君も、この前天職の儀式を一緒に受けたよね?」

 僕は、うなずく。


「同じ街だと、同じパーティーになるって聞いたので頑張りましょう。」


 同じ街だと、同じパーティーになる?


「そうですよ。恐らく二人は、同じパーティーでダンジョンに入るでしょうね。」

 神父さんが答えてくれた。


「なるほど。ミューラさんと一緒にダンジョンに行くのか。よろしくお願いします。」


「うん。私は、【回復術師】なの。まだレベル1だけど。回復魔法が使えるの。」


「へ〜凄いね。何で今回ダンジョンに行くの?」


「私は、病院で見習い回復術師として、働いているの。でもレベルが上がらないと、回復術がレベルが上がらないから、今回ダンジョンに行くの。」


 レベルが上がれば、魔力が上がるからな。それだけ多くの回復術が使えるのだろう。


「エルジュ君は、何で今回ダンジョンに行くの?」

 ミューラが聞いてきた。


「面白そうなのと、街の外が見たかったからかな。」

 レベルは、40まで上がっているからどうでもいい。だだ外を見てみたいのだ。


「そうなんだ。それじゃいっぱい楽しまないとね!」

 ミューラが笑顔で微笑む。


 うん。ミューラは、絶対守ろう。僕は、心の中で覚悟する。



 馬車が進みついにゴブリンダンジョン近くの街に着いた。


 ダイゴンと呼ばれる街だ。特産品は、大根だ。農業が盛んな街だ。


 ここから徒歩で10分程歩くと、ゴブリンダンジョンが見えた。


「ハリソンの参加者だな。」

 ゴブリンダンジョン前に、大柄な男性がいた。シルバーの鎧を着ていて、胸元の槍の紋章がある。王国騎士だな。


 王国騎士がダンジョン前に5人並んでいる。


 大柄の男性が話だす。

「それでは説明をする。ダンジョンに4人で入り、ボスを倒すだけだ。ドロップアイテムや魔物石は、二人の物だ。」

 ダンジョンに僕と、ミューラ。騎士2人が付き添いで入るみたいだ。


「よし!誰がいい?」

 大柄の男性が言う。どの騎士がいいか、二人選ぶみたいだ。


 ミューラを見ると一人だけ女性の騎士がいたため、ミューラは、その女性騎士をえらんでいた。

 うわぁ。凄いこっちを見てるよ。先ほど話していた、大柄な男性がじっと僕を見ている。

 他の騎士を見ると眼を反らし、見ている騎士の前に、大柄の騎士が立ちはだかる。


 ずんずん大柄の騎士が近いてきて、手を出す。


 何?握手しろってか。

 他の騎士を見て助けを求めるも、首をふっている。


「よろしくお願いします。」

 僕は、大柄の男性にお願いする。


「はっはっは!任せたまえ!」

 大柄の男性は僕の手を握り、上機嫌に答えた。


 暑苦し!来なきゃ良かったと少し後悔する。


「俺はパリス!こいつは、ココミだ。」

 大柄の騎士がパリスで、女性騎士がココミさんか。可愛い名前だな。


 ミューラさんとココミさんは、楽しそうに話している。僕もそっちに交ざりたいが、パリスが暑苦しく話している。


「よし!さっさと行くか!」


 4人はダンジョンに入って行った。





 

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