第17話 お礼のレベル上げ1日目

 朝8時。


「おはよう!」

 父は、元気良く挨拶をしてギルドの扉を開ける。

 マリームギルドに行くとギュラルさんとアイントさんは、待っていた。

 ギュラルさんは、巨大な盾と身長程の大剣を持っている。アイントさんは、鉄の鎧に銀色の長い槍を持っている。凄いちゃんとした装備だ。

 僕は、皮の鎧に短剣と前腕ほどの鉄の盾だ。父は、鉄の鎧に長剣に鉄の盾だ。


「よう!元気良さそうだな。エルジュも元気か!」

 ギュラルさんが笑顔で答える。僕も頭を下げ挨拶をする。


「おはようございます。私も事務員を辞めて、冒険者に復帰しましたよ」

 アイントさんも嬉しそうに話している。


 二人に食材と、魔物石のお礼を言うと、気にするな、もっとあの石には価値があるんだからな、と言われた。


「それじゃ今日は、この4人でパーティーを組むか!」

 年長のギュラルさんがパーティーリーダーとして、ギルドにダンジョンに行くことを伝える。ダンジョンに依頼で行く場合申請が必要なのだ。ギルドに来ている依頼をギュラルさんとアイントさんは、受けている。

 僕は、冒険者じゃないけどいいのか?と思っていたら、身内だから多めに見てくれた。他のギルドよるりも、規則が緩いのだろう。


「よし!出発だ!」

 ギュラルさんを先頭にダンジョンに、向かっていく。


 ギュラルさんの天職は、【護衛者】で守りに特化した天職みたいだ。もちろん大剣を使って攻撃もできるのだ。凄いね。

 アイントさんの天職は、【槍騎士】だ。槍のスキルを持つ戦闘職らしい。


「1階層は余裕だろ?」

 とのことで、2階層へさっさと向かう。道中のゴブリンは、ギュラルさんが盾で殴り倒していた。


「ゴブリンが来たな。」

 目の前からゴブリンが来た。錆びた剣を持ったゴブリン1匹だ。


「僕がやります。」

 僕は前に出る。腕力強化Lv2と脚力強化Lv2のキーホルダーは、使っている。


 ゴブリンは剣を振り回し向かってくる。


 ギン!

 盾で剣を受け止め、首を短剣で斬りつける。


 ゴブリンは一撃で絶命した。


「おお!やるな!」

 ギュラルが誉めてくれた。僕の動きが余裕そうなので3階層へ向かって行く。


 3階層に行くと、盾と剣を持ったゴブリン1匹見えた。


「あれならどうする?」

 ギュラルさんが僕に聞いてくる。


 行きますと僕は前に出る。ゴブリンは気付いたのか、走って向かってくる。


「ファイア」

 僕は手のひらを向け、炎魔法をつかう。指先ほどの小さな火だ。


 ゴブリンは、盾で受けるが一瞬にして、火だるまになり消えた。炎魔法は強力だな。


「え!エルジュ一般職だよな!しかもまだ天職を授かったばかりで火魔法Lv4は越えているのか!」

 ギュラルさんとアイントは、驚いている。


「一般職ですよ。魔力が143ありました。」

 火魔法ではなく、使ったのは炎魔法だけど。


「魔力が高いのか。でも次は短剣で倒して見てくれよ。」


 そうだね。あれくらいは、短剣で倒さないと魔力がもったいないな。


 歩いていると3匹のゴブリンが見えた。盾と剣をもったいない3匹だ。


「次は私が行きます。一匹は、エルジュ君に任せます。」

 アイントさんは、一人走りだし、槍を一振りする。すると、二匹のゴブリンは上下に両断されてしまった。盾も剣も真っ二つだ。


 槍で両断できるのか! アイントさんは、戻ってきた。


「エルジュ君。残りよろしく。」

 僕は、残ったゴブリンに向かっていく。言うほど強くもないから、安全に行こうか。


 ゴブリンの剣を盾で受ける。その隙にゴブリンの盾を蹴りつける。脚力強化の付いた蹴りなので、ゴブリンは、盾を落とし後ろに転んだ。


 僕は、盾で守りながら短剣で胸と首を斬る。ゴブリンは絶命した。


「蹴りで盾を落とせるのか。力は、ゴブリンよりも上ならここも余裕だな。」


 ダンジョンを歩き、出会ったゴブリン20匹くらい一人で倒し、複数でも一人で倒す事ができるようになった。



 よし!次は4階層だ!


 4階層に降りると、ゴブリンが魔法を使ってくる。ゴブリンマジシャンと呼ばれ、火魔法や風魔法を使ってくるのだ。


 ダンジョンを進むと、ゴブリン5匹がいた。ゴブリンマジシャン1匹に剣を持ったゴブリン4匹だ。ゴブリンマジシャンは、一匹で行動することが少ないらしい。


「エルジュどうする、一人でやるか?」

 ギュラルさんは、聞いてくる。おそらく一人でも大丈夫だと、思っているのだろう。


 僕は、はい!と答え前にでる。


「魔法使っても良いぞ。余裕で倒せるからな!」

 父も余裕そうに見ている。


 魔法使っても良いのか。魔力上がったからやってみるか。


 ゴブリン達はマジシャンを後衛に剣を持ったゴブリンだけが向かってきた。


「ファイア!」

 僕は、拳ほどの火の玉を発射した。


 先頭にいたゴブリンに直撃し、他のゴブリンを巻き込んで燃えている。


 初めてやった時は気絶したが、今なら10発は、余裕でできそうだな。確かに魔力が減る気分はあるが、まだまだ余裕はある。


 残りはゴブリンマジシャンだけだ。ゴブリンマジシャンは、火の玉を発射してくるが、避ける余裕のあるほどゆっくりだ。僕よりも倍以上遅い。

 火の玉を避けながら、近づいて短剣で斬りつけ倒す。弱いな。


 ゴブリンの魔物石を拾っていると、ギュラルさん達が来た。


「エルジュ、余裕そうだな。一般職にしては魔法の威力が高いし、短剣でも倒せるなら、冒険者としてやって行けそうだな!」


 魔法は、僕の力だけど、腕力強化と脚力強化のキーホルダーがあるため余裕なのだ。まだまだレベルが足りない。それよりもゴブリンマジシャンの魔物石が気になる。


 ゴブリンマジシャンの魔物石

 レベル6

 効果 火魔法強化Lv1


 火魔法強化か。炎魔法も強化されるのかな。さっそく魔鉱石にしよう。

 手に握り魔力を込める。新しく天職スキルで形状記憶があったため、液体にならずに石のまま、魔鉱石に変化した。


 魔鉱石

 効果 火魔法強化Lv1

 効果時間 5分


 5分か。歩いているうち魔力を込めてみようか。

 歩いて進むが、ゴブリンマジシャンと剣や槍を持ったゴブリンだけだった。

 みんなで倒して行ったので、魔法も使わず短剣のみで倒していく。魔物石が大量だ。


 20分ほど歩き、5階層への道を進む。

 5階層も変わらずゴブリンばかりいたため、倒して進む。ゴブリンレベル6〜8ほどだが、僕も余裕で倒していく。レベルが上がっている証拠だな。


 30分ほどすると、巨大な鉄の扉が見えた。

「ボス部屋の扉だ。ボスは、ゴブリンリーダー率いるゴブリンの群れだ。」

 ギュラルさんが僕に説明してくれる。


 ゴブリンリーダーは、2メートルの大きさのゴブリンで大剣を振り回して攻撃してくるらしい。他のゴブリンは、ゴブリンマジシャンや剣や槍を持ったゴブリン達だ。


「エルジュなら一人でも行けそうだが、最初だから俺達も手伝うぞ。魔力に余裕があるなら一気にやって見ろ。」

 みんな大丈夫だとうなずいている。


「なら行くぞ。」

 ギュラルさんが、扉を開ける。


 部屋の中に30匹ほどのゴブリン達がいた。部屋は、ゴブリンがいても余裕かあるほど広い。一際大きいのがゴブリンリーダーか。ゴブリン達は、まとまっている。


「一発やるか。ファイア!」

 僕は前に出て炎魔法をつかう。火魔法強化のキーホルダーも着けた状態で、いつもの倍以上魔力を込めた一発だ。


 手のひらの4倍はある、火の玉がゴブリンリーダーめがけ飛んでいく。


 ゴオオオオ!


 まとまっていたゴブリン達が燃えて消えてしまった。


「ん?終わったのか?」


「エルジュ凄いな攻略方法知っていたのか?」

 父が頭を撫でながら言う。攻略方法?知らないな。


「ゴブリンリーダーのボス部屋は、扉に入って2秒ほどでゴブリン達が散り散りになって襲ってくるんだ。だが2秒の内に魔法で一撃で倒す事もできるんだよ。」

 アイントさんが教えてくれた。冒険者なら知ってる情報だが、僕は何も調べていないな。勉強不足過ぎたかな。


「エルジュ、ボス攻略おめでとう。6階層にある石板に行こうか。」

 僕達は、魔物石を拾い6階層へ向かう。ボスのゴブリンリーダーからドロップアイテムがあったが大剣だったで持って行く。邪魔になるけど。


 それよりも石板ってなんだ?


 6階層に向かう途中の道ひ高さ2メートルほどの石板があった。


「これに手を当てて魔力を込めてみな。」

 父に言われた様に、手を当てて魔力を込める。


【エルジュ 天職アクセサリーショップ】と石板に浮かび上がった。すぐに文字は消えてしまった。


「これで登録完了だな。次からは、1階層からここに転移できるから楽だぞ。」

 5階層ごとに、この石板があり、一度登録すればここまですぐに来ることが出来るのだ。


 なるほど楽だな。だから父さんは、深い場所でも毎日帰ってこれたのか。さすがに勉強不足過ぎだな。ダンジョンについて全く知らないな。


「一回ギルドに帰るか、この大剣を持ってだと邪魔だからな。」

 ギュラルは、ゴブリンリーダーのドロップアイテムを持ってくれている。


 ギュラルさんが石板に触れると、僕達は1階層の石板の前にいた。出口に向かって歩き、ギルドへ帰って行った。


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