第8話ダンジョンで実験

 僕はダンジョンに潜っていた。父と一緒にダンジョンでレベル上げと魔物石の実験をするのだ。


「ほらゴブリンだぞ!」

 父はゴブリンを捕まえ連れてきた。ゴブリンは、暴れているが、身動きが取れない様に抑えこまれている。


 僕は短剣をゴブリンの首に突き刺す。血が流れるが、直ぐに絶命した。


 捕まえては、突き刺しを繰り返していく。もう10匹は倒しただろう。


「普通ならレベルが上がっただろうから、一人で倒してみるか!」

 父が一匹のゴブリンを連れてきて、離れた場所に投げる。


 ゴブリンは、武器もなく素手のみでギーギー騒いでいる。

 父は僕の後ろに下がり様子を見ている。


 僕は短剣を構えゴブリンに向かっていく。僕を見てゴブリンは、走って向かってきた。


「首か胸元を狙え!」

 父は後ろで叫ぶ。


「やあ!」

 短剣をゴブリンの首めがけ切りつける。首から血が流れだした。ゴブリンは、僕につかまり殴りつけるが、ゴブリンの腕を掴む。力は、僕の方が上みたいだ。再度首を切るとゴブリンは、絶命した。



「ふー」

 僕は息を吐き出す。



「うん。大丈夫そうだな。でも動きがぎこちないのは練習必要だな。」

 カイルが見たところ素人丸出しみたいだ。戦闘職ならスキルで剣術や槍術、護身術などのスキルがあり、体の使い方を覚える事ができるのだ。


 僕は、戦闘スキルが無いため自力で身に付けなければいけない。


「今日はもういいかな。」

 そろそろお昼になりそうだ。


「そうだね。最後に魔法を使ってみようと思うんだ。」


 父は嬉しそうにゴブリンがいないか、ダンジョンを進んでいく。歩いていると、ゴブリンが4匹まとまっていた。


「どうする?」


「風魔法を使って見るよ。」

 風魔法の初級技ウィンドカッターがある。風の刃を飛ばすことができる風魔法だ。


 父はうなずくきやるように、ゴブリンを指さす。


「ウィンドカッター!」

 僕はゴブリンに向かって風魔法を使う。風の刃が一つ向かっていき、一番手前にいたゴブリンの腹に直撃する。

 ゴブリンの腹から血が流れるが、ゴブリンは腹をさする程度で痛がる様子もない。


「まだ威力が弱いな。」

 父は残念そうに話す。


「そうだね。次はファイアを使うよ。」


 父は威力を抑える様に指示する。


「ファイア!」

 僕の手の平から、親指ほどの小さな火の玉が出てゴブリンに向かっていく。


 火の玉がウィンドカッターをぶつけたゴブリンの足に直撃すると、ゴブリンが火だるまになり燃え尽きた。


「凄いな。」

 僕と父は思う。


 他のゴブリンが気付き向かってきた。父が二匹を直ぐに仕留め、僕が一匹を倒す。


「うん。危なげなさそうだな。」

 レベル1のゴブリンなら倒せる力が付いた。


 僕は、ゴブリンの魔物石を集める。

「そうだね。次はこれの実験をするよ。」

 ゴブリンの魔物石を見せる。


「どんな効果があるんだ?」


 ゴブリンの魔物石

 レベル1

 効果 腕力強化Lv1


 ゴブリンの魔物石

 レベル1

 効果 脚力強化Lv1


 各2つ手元にある。


「これをどうすれば効果がでるんだろう。」

 この使い方がわからない。


 持ってきた紐にゴブリンの魔物石を結び首にかける。ネックレスだ。


 僕は腕に力を込める。腕力強化できるかな?


 全く効果が無さそうだ。


「エルジュ、素材合成か素材分解のスキルを使うんじゃ無いのか?」

 父が不思議そうに見ている。


「最初は、素材分解をしてみよう。素材分解!」

 僕は魔物石に触れて叫ぶ。


 うん。全く変化なしだ。


「はっはっはっ!全然変わらんな!」

 父は頭を撫でながら笑っている。


 素材分解のスキルで分解するんじゃないのか?でもどうやって分解するのだろうか。


 炎魔法か!


「父さん、離れてて。」

 父は離れて見守っている。


「素材分解!」

 僕は持っていた魔物石に向かって炎魔法を使う。すると、魔物石が液状に溶けだした。液状に溶けたがポタポタと垂れる事はなく、水滴の塊のようになっている。


「ほぉ〜魔物石が溶けるのか。見たことないな。」

 父は、興味深くみている。


 炎魔法を止めると、魔物石は固まってしまった。平べったい水滴のようだ。


 魔鉱石

 効果 腕力強化Lv1


 ん?魔鉱石ってなんだ?




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る