第3話 家族

 天職の儀式も終わり、エルジュは家に帰ってきた。街の繁華街から離れた場所にある二階建ての一軒家だ。


「ただいま」


 家からバタバタと足音が聞こえる。


「お帰りなさい!」

 金髪をなびかせた女性、母親のローズだ。 天職の儀式には、親が一人付き添う決まりの為、ローズは家で待っていたのだ。

 もうすぐお昼の時間の為、テーブルに昼食が並べてある。


「詳しくは、ご飯を食べてしまいましょう。」


 3人は、テーブルについて食事を始める。母ローズの料理は、薬草が入ったスープがとても美味しい。ローズの天職【フラワーショップ】のおかげで薬草の配合が完璧で、料理に活かされている。趣味の紅茶などの茶葉を扱わせたらこの街一番の腕前だ。


 食事も終わり、紅茶をのみながら天職について話す。ローズにステータスの紙を渡すと不思議そうな顔をする。


「【アクセサリーショップ】って事は、装飾品を売るのかしら?それだけでなく、加工も出来そうね。」

【アクセサリーショップ】と言っても売るのに特化している訳ではない。アクセサリーを作ることも、修理することも出来るのが天職の良いところなのだ。


「エルジュは、魔法も使えるからな!10歳になったしダンジョンに行ってみるか!」

 カイルの夢である、エルジュと一緒にダンジョンに行く!をたっせ達成したいのだ。ダンジョンは10歳の天職の儀式が終了したら、入ることが出来るのだ。


「あなた、まだどんな天職かわからないのよ?エルジュの天職が分かるまで入っては行けません!」

 ローズは真剣に話す。10歳の天職の儀式を受けて直ぐに亡くなる子供がいるのだ。戦闘職だからと言ってもダンジョンでは、最弱の存在でしかない。


「わかってるって!ダンジョンの1階層で、まずはレベル5

 まで上げる!スキルも2までは上げたいな。」


 ハリソン街のダンジョンは、地下50階からなるダンジョンだ。1階層ならレベル3あれば一人でも進む事が出来るのだ。ただし戦闘職の場合だが。一般職ならレベル5は、欲しいところだ。


「僕もダンジョンには行って見たいな。レベルが上がれば強くなれるし。」


「そうだろ!さっそく今日行ってみよう!」

 カイルが立ち上がりバタバタと用意を始める。


「全く。エルジュと一緒にダンジョンに行くのが楽しみなのね。エルジュ、危なくなる前にお父さんを止めるのよ。分かったね」


 僕は、うなずく。

 話しているうちにカイルが準備終わったみたいだ。


「よっしゃ!エルジュ行くぞ!」

 気合いの入ったカイルは、外に向かっている。僕も後ろを着いて歩く。


「夕飯までには帰ってくるのよ!」


「わかってる!行ってくる!」



 ついに初ダンジョンだ。心の中ではわくわくしているが顔には出さずに歩いていく。





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