第8話:女神降臨
「私を敬い神饌を捧げ社の掃除をするとはまことに殊勝である。
これからも、ここに捧げているモノと同じモノを捧げると約束するなら、なんなりと願いをかなえたやろう、さっさと願いを申すがよいぞ」
あまりの事に、腰が、抜けてしまった。
廃神社を徹底的に掃除して、神社本庁のサイトと昨日会った爺さんの話を参考に、神饌を捧げたら急に神が出てきやがった。
時代がかった、いかにもな衣装と髪型の女が本殿奥から現れたから、神様で間違いないよな、言ってることもそうだし。
「何をグズグズしておる、さっさと願いを申せ、さもないとこっちで決めるぞ」
ええええ、えらくせっかちな神様だな。
とてつもなく美人だけど、性格はきついのかな。
天罰を落とされても敵わないし、早く決めたいんだけど、どうしよう。
俺が精神的に追い詰められて幻覚を見ている可能性もあるし。
疲れてしまっていつのまにか寝てしまっている可能性もある。
夢や幻なら何を願っても構わないよな。
養老馬のために広大な草原や厩舎が欲しいし、養老馬を世話してくれる人手も欲しいし、どうせなら異世界で無双もしてみたいな、なんちゃって。
「よし、分かった、異世界で無双できるだけの力と、養老馬とやらが自由に駆け回れる領地と、側に仕えて全ての世話をしてくれる女が欲しいのだな。
後宮が欲しいならはっきりとそう言えばいいモノを、体裁を気にしおって」
のあああああ、それが俺の深層心理なのか、そうなのか。
そんな事を思ったつもりはないのに、心の奥深くではそう思っていたのか。
でも、もし、本当にかなうのなら、うれしい、とてもうれしい。
だが、この歳で異世界に行っても、老い先短くてろくに楽しめないよな。
体力的にも精力的に残念な現実があるよな……
「チッイ、仕方のない奴じゃの、向こうでは年齢に関係なく金持ちはもてる。
それに、毎回の行き来でこちらと向こうで年齢を変えるのも面倒じゃ。
今の姿形で不死にしてやるから、向こうでハーレムを作って楽しむがよかろう。
体力も精力も向こうで無双できるようにしてやるから、こちらの世界でも金さえあれば愉しめるであろう。
その代わり、そこ冷凍ケーキという奴を、毎日お供えするのだ。
よいな、分かった、分かったら返事をせんか」
なんか、一気に残念な神様に思えてしまう。
ケーキが欲しくて神の力で願いを叶てくれるなんて、ラノベの残念女神の常道だ。
これでは全く有難味がなくなってしまうのだが、だがそれでも構わない。
死ぬのは怖いし、長生きできるならそれに越したことはない。
ケーキだってネットで配達を頼んだら全く面倒がない。
問題は積雪で行き来出来なくなる冬場をどうするかだが……
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