第23話:絶縁
「兄上様、私達はどこに行くのですか」
リアナが少し不安そうな表情を浮かべて話しかけてくる。
俺が王都屋敷を放棄すると言った事で不安に思っているのだろう。
別に王家と戦争をしようという訳ではない。
単に王家を見捨てただけで、喧嘩をしたいわけじゃない。
まあ、向こうが戦争を仕掛けてくるのなら叩きのめしてやる。
「ロスリン侯爵領に向かうよ」
「え、領都に戻らないのですか」
「領都は厳重な防備が幾重にもあるし、昔からの家臣団が護ってくれているからね。
私達が戻らなくても、なんの心配もないだろう。
でも、新たに開拓している領地には、王家と敵対したと聞いて手出ししてくる者が必ず現れるから、私達で護らなければいけないのだよ」
「それなら、他の領地も護りの兵力がいるのではありませんか」
「確かに他の領地にも護りの兵力が必要だね。
だから私が全ての領地を巡回して警戒をするよ。
従魔を使って見張りもさせるから、襲撃される前に見つけることができるよ。
ただ今までのように王都にいる必要がなくなるから、むしろ楽になるよ」
俺の言葉に安心してくれたのか、リアナはそれ以上の質問をしなかった。
だが、私に何も不安がないかと言えばそうではない。
リアナに不自由な生活を強いてしまう事、それが一番不安だった。
だから実際に移動する前に、ゴードン侯爵領、ロスリン侯爵領、ポルワース伯爵領、ロロ男爵領、スコット男爵領に城砦を築城しようとした。
他の城砦は後回しでもよかったが、拠点とするロスリン侯爵城だけは早急に築城する必要があったので、有り余る魔力を大量に使って突貫築城した。
だが一切の手抜きはせず、十分な機能をつけた。
特に水回り、料理を作る食堂と風呂、何よりもトイレの機能は手抜きしなかった。
リアナに汲み取り式のトイレやオマルを使わせるわけにはいかない。
水洗式とスライム処理を併用した、この世界仕様の清潔なトイレを準備した。
この間に日に何度も王家から使者が来たが、重病と言って門前払いした。
一度絶縁すると決めたのに、そう簡単に気持ちが変わる事はない。
俺は結構好き嫌いが激しく強情なのだ。
今からの話は後で知った事だが、俺が王家の使者を門前払いし続ける事が、社交界で大きな話題となっていて、これまでのいきさつが全て広がっていた。
王家の信用は著しく低下して、逆に俺の名声が高まっていた。
それに慌てた王家が、俺の知らないうちにロロ男爵位をロロ子爵位に陞爵させていたようだが、しみったれた陞爵過ぎてさらに社交界で悪評となったそうだ。
「ラゼル公爵家の従属爵位」
一:ラゼル侯爵・ラゼル伯爵・ラゼル子爵
二:ラゼル侯爵・ラゼル子爵・ヘプバーン男爵・スコット男爵
三:ラゼル侯爵・ラゼル伯爵・ヘプバーン男爵・スコット男爵
四:ラゼル侯爵・ラゼル伯爵・ヘプバーン子爵・スコット男爵
「キャメロン所有の爵位」
一:ゴードン侯爵・ポルワース男爵・ロロ男爵
二:ゴードン侯爵・ポルワース子爵・ロロ男爵
三:ゴードン侯爵・ポルワース伯爵・ロロ男爵
三:ゴードン侯爵・ポルワース伯爵・ロロ子爵
「リアナ所有の爵位」
一:ロスリン伯爵
二:ロスリン侯爵
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