03 S・N・S on the SNS (寝る前の会話の二人)

『私も、あなたのことが大好きで、いつも登校する姿を目で追ってます(ハートの絵文字)。わたしを、見つけられますか? S・N・S』


『見つけます。必ず。青春チックなことを、今までしたことがなくて。だから、見つけます』


『ありがとうございます(ハートの絵文字)。でも私は、見つけられないように隠れちゃいますね(ハートの絵文字二個)。私を見つけてみてください。見つけられたら、恋しちゃいます S・N・S』


 投稿の応酬が甘すぎて。ラップトップからいったん目を離す。


「ああ甘い。甘い甘い甘い。あまぁぁぁぁぁいっ」


「ごはんできたよ。どしたの?」


「SNSでしか出会ったことのない二人の恋模様が甘すぎるんじゃあああ」


「俺にも見せてよ」


「うん。はい。これ」


「青春してるねえ。こいつ、右折野郎十五才?」


「うん。電話かけてきてたよね」


「はあ、これは、甘いなあ」


「甘いよね。見つけられるかな?」


「俺は無理だと思うな。十五才には荷が重い」


「だよねえ」


「あ、そうだ。今日の夜こいつと仕事だわ。電話かけねえと」


「なんの仕事?」


「要人警護。官邸絡みだな」


 にゃあにゃあ。


「おお、よしよし。おいでおいで」


 にゃんにゃん。

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