第2話




「なあ、知ってる? ここで事件があったて」


「事件? ああ、ニュースになってたな。 


 でもあれってキャッチの奴らだろ? なら別によくね」

 

「まあ、確かにな。ウゼーしなあいつら」


「めっちゃしつこくね? 何回言ってんだよって」


「俺、あれ見てって奴に聞いたんだけどさ。


 殴る前に殴らせろって言ってたんだって」

 

「どういうこと? 」


「いや、だからさ。答えてやるから殴らせろって言ったんだって」


「なんだそれ。了承してたって事? 糞すぎねぇ? 」


「まあ、キャッチなんかやってる奴にまともな奴なんていないだろ」


「確かに」


 そんな事を話していて彼らに声をかけてしまったのは

 

 きっとたまたまだったのだろう。

 

「すいません」


 だから当然のように彼らも言った。

 

「答えてやるから殴らせろ」




「ねえ、パパ。買い物行くからお金ちょうだい」


 娘が金をせびって来る。

 

 お年頃なのだし、いろいろと要るのだろう。

 

 私は娘に金を渡す。

 

「何処まで行くんだ? 」


 何となく聞いたつもりだったが、

 

 娘が答えた場所は最近事件が起きた場所だった。

 

「そこはダメだ。あんな危ない所に行って何かあったらどうするんだ」


「大丈夫よ、別に。犯人捕まったんでしょ? 」


「そういう問題じゃない! だいたい管理がきちんとしていないから


 ああいう事件が起こるんだ! ずさんな管理をするような場所で

 

 何かあったらどうする? 助けてなんてくれないぞ! 」

 

「でも~、あそこにしか売ってないし」


「別の場所はないのか? 


 そうだ、ネットはどうだ。ネットで売ってないのか? 」

 

 大事な娘をわざわざ危険にさらすなどありえない。

 

 私はなんとしてでも娘を守るのだ。

 

「ねえ、パパ。見つけたけどさ、サイズ感が分かんないんだど」


「ん~。どっちも買いなさい」


「さすがパパ、ありがとう」


 こうして私は娘を危険から守ったのだ。

 




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キッカケ 奈良ひかる @nrhkr278

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