キッカケ
奈良ひかる
第1話
「君ね、殴っちゃあ駄目だよね? そんな事ぐらい分かるよね? 」
やたらと話かけて来るが俺はずっと無視をしていた。
だって会話なんてする意味があるとは到底、思えなかったからだ。
そんな事も分からないような奴と話す理由はないので、
結局、俺とこいつらは無駄な時間を過ごす事になったのだ。
その日の俺はいつもよりは多少は苛立っていたとは思う、
でも、だからといって周りに当たり散らしたりなんかはしなかったし
そんなに自分勝手ではないつもりだ。
ただいつものように道を歩いていただけだ。
周りにいる人達となんら変わる事はなく、歩いていただけなのに
「すいません」
急に声をかけてきた奴がいた。
俺は当然無視をして歩く。
最近多いのだ、アンケートとかで個人情報を聞き出そうという輩が、
このショッピングビルがある地域も人が集まるせいで、
変なのも集まって来てしまう、要は管理がしっかり出来ていないって事だ。
イラっとしながらも付きまとってくるそいつを振り払う為に早く歩く。
まったく無駄なエネルギーだ。
「すいません、すいません。すいませーん。あれ? 」
ただ、そいつが、この糞野郎の一言が、俺のイライラを爆発させた。
だから俺は足を止めて振り返ると糞野郎は気持ちの悪い笑顔で口を開く。
「すいません、アンケートに答えてもらってもいいですか? 」
だから俺は言ったんだ。
「一発殴らせろ、そうしたら答えてやってもいい」
「嫌だな、お兄さん。ここには買い物ですか? 」
「いいや、ただの通り道だよ」
俺は糞野郎の質問に答えてやったので、一発殴ってやった。
「ちょっと来てもらっていいですか? 」
俺は警備員のような奴に声をかけられて、ついて行くと
「こ、この人です! この人にいきなり殴られて」
さっきの糞野郎が居た。
「君が殴ったんだね? 」
そう質問されたので俺は答える。
「まぁそうですが、何か? 」
そこからはやたら横柄な態度で話して来るこいつらを見ながら
俺はずっと考えていた。
そして、こいつらも糞野郎の仲間なんだと結論付けた。
だってそうだろ?
こいつらは糞野郎を野放しにしていた張本人ではないか。
だから何も話す意味はないのだ。
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