第4話:ドニエック公爵家直轄農園

 俺は祖父に続いて長兄ジュリアスと次兄ローガンにも魔力操作を行い、魔力を身体中に流す事を教えた。

 両親に教えない理由は、致命的な副作用があった場合、力ある当主の祖父だけでなく成人の両親まで失うことになるからだ。

 未成年の兄達だけになったら、ドニエック公爵家は禿鷹共に餌食にされてしまう。

 だが俺と祖父、長兄ジュリアスと次兄ローガンが死んでも、両親と三兄のヘンリーが生き残っていれば、ドニエック公爵家が傾く事はない。


「ヴェデリン、最初に木々の伐採から始めるぞ」


「はい、御爺様」


 俺と祖父、ジュリアスとローガンは人の領域と未開地の境目に来ていた。

 勿論4人だけでは無く、護衛の騎士と工兵隊も一緒だ。

 祖父とジュリアスとローガンは、俺のように無限とまでは言えないが、この世界では非常識な量も魔力を保有するようになったいた。

 4人が協力すれば、以前祖父が言っていたように、広大な未開地を農地に変えることが可能だった。


「ですが御爺様、今直ぐ伐採しては損してしまいます。

 最初に木々を成長させてから地盤を崩して根も残さないようにしますから、それを工兵隊に運ばせてください」


 祖父は驚いていたが、祖父の指示通りにしてしまうと、利用できる材木は少なくなってしまいます。

 それよりは木魔術を駆使して伐採予定の木を極限まで成長させ、その後で土魔術で地盤を崩して根から木を倒すのです。

 このやり方だと利用できる材木が大きく厚く長くなり、根株を人力で除去する必要もなくなり、土も人力で耕す必要がなくなります。


「空間魔術で積み上げた木を隔離してください。

 火魔術で空間の温度を上げてください。

 水魔術で空間の湿気を外に逃がして、空間内を常に乾燥させてください。

 風魔術で空間内の空気の流れを作って、少しでも早く乾燥させます」


 成長させ倒した巨木も、普通なら1年2年かけて乾燥させなければいけません。

 ですが4人が力を合わせて魔術的に乾燥させれば、1日2日で建築材として利用することができるのです。

 ですがどれほど丁寧に乾燥させても、土の上に直接材木を積み上げて家を作ったら、直ぐに材木が腐ってしまいます。

 基礎になる部分は石やコンクリートにして、湿気が防がないといけません。

 建築予定の場所は、俺が土魔術で圧縮強化します。

 普通の土を圧縮強化岩盤とするのです。


「ヴェデリン、土魔術を使って魔獣も飛び越えられない深い濠を作る事はできるか。

 それだけではなく、さっき作ってくれた圧縮強化岩盤で城壁を作る事はできるか」

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