『小さなお話し』 その225・・・『崖っぷちのカレーパン』

やましん(テンパー)

『崖っぷちのカレーパン』


 カレーパンが いっこ


 荒波逆巻く


 断崖絶壁の上に


 もうすぐ、落ちそうな状態で


 横たわっていた


 ここにくるまでに


 どのような 苦難が


 この、カレーパンを襲ったのだろう



 どこかのパン工房で焼かれ


 しゃれた、お店で売られ


 小さな女の子か男の子が


 手に持ったまま


 お母さんといっしょに


 ここまできたのかもしれない


 でも、あまりの断崖の恐ろしさにおびえ


 食べかけのまま 落としたのかもしれない


 そうして


 泣きながら、去ったのだろう



 中からは、じっとりと


 疲れ果てたように


 中身が流れ出している


 戦場の屍から流れ出る中身のように



 急に、強風が吹きあれだした


 ああ、カレーパンは、ついに崖から落下するのか


 これが、そのパン生の終末なのか



 あ・・・・・



 にゃんこが、くわえて持ってった。


 

 浮かばれないぼくは



 また、ぶざまに、空間をさまようのだ





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