第18話 本当のおもらしってこういうこと?
未咲「そんなことないよ! だって……」
それは、未咲が少し感情的になって席から立ったときだった。
未咲「あれっ?!」
しゅいぃぃぃっ……。
いきおいのいい甘くて黄色そうな音が聞こえて、たちまち未咲は顔を赤らめた。
玲香「嘘でしょ、いまのって……」
未咲「どうしよう……いま完全に、思いっきりパンツにおしっこしちゃった……」
さすがにやっちゃったと思ったのか、未咲にしてはめずらしくうろたえていた。
未咲「なに、これ……すごく恥ずかしい……」
その後も心臓のドキドキがおさまらず、匂いもあいまってつい自分に酔ってしまい……。
未咲「もうちょっとだけ、出してみよう……」
内心すっごくドキドキしながら、スカートをぐいっと手繰り寄せ自覚おもらしを試みた。
未咲「出るかな……」
だけど、思うようにいかない。目の前の玲香ちゃんに無意識に緊張してるのかな。
未咲「あれっ? おしっこしたいのに……」
玲香「馬鹿なことしてないでトイレ行きなさいよ……」
すでに太ももは濡れていて、むわっとしたあの独特の湿り気さえもそこにただよい続けている。
未咲「そうだ玲香ちゃん、ちょっとわたしを怒らせてみてよ」
玲香「怒らせるったって、あんたさっき勝手に怒ってたじゃない」
未咲「そうだけど……おねがい、もう一回あの感じで話してくれるかな?」
玲香「はぁ……じゃいくわよ……未咲、そのぽんこつおまたをしまいなさい」
未咲「……」
玲香「違うわね……どうすれば未咲を怒らせることができるのかしら……」
ふだん考えたことがないだけに、地味に難しい。
玲香「んー……」
未咲「早くしてよ〜れいかちゃ〜ん……おしっこしたいよぉ……」
玲香「待ちなさい、いま考えてるから」
冷静に考えると、未咲にはさっさとトイレに行ってほしいけど……ん?
玲香「(いっそのこと、トイレ禁止ってはっきり言っておいたほうがいい、のかしら……?)」
わたしの口からそれを言い続けることで、とんでもない爆発力を期待する、という発想が浮かんだ。
玲香「(あとは……そうね、この子の様子を見ながら考えましょう)」
そう思考し、実行に移す決心をする。
玲香「(うまくいくかどうかはわからないけれど、やるしかないわね……)」
向きなおり、未咲に話しかける。
玲香「未咲」
未咲「なに? 玲香ちゃん」
玲香「これからわたしの言うことは絶対よ。いい? はい、いまから永久におしっこ出すの禁止」
未咲「え、えぇぇぇぇっ?!」
さっそく未咲が動揺している。このまま続ける。
玲香「それから、わたしはこれから未咲のまわりを動き回るけど、それについても口出し禁止」
未咲「うん、わかった……」
わたしのことを横目に、小動物のようにすこし怯えては、この独特の緊張感に息を荒くする未咲。
玲香「じゃさっそく……」
未咲「ちょっと待って! なんか、トイレ禁止って言われたら、すっごくおしっこしたくなってきちゃったんだけど……」
玲香「だからそのためよ。いいから、未咲はなるべくリラックスしなさい。と言っても、これからわたし、とっておきの方法を試すから、少し難しいでしょうけど」
未咲「な、何をするつもりなの、玲香ちゃん……?」
目が本気だ。とても近寄れる雰囲気ではない。
玲香「いくわよ」
もうすでにあそこが冷えていて、言っている間にもやってしまいそう。
玲香「未咲、これが何かわかる?」
未咲「えっと……オレンジだよね」
玲香「そのとおり。いまからわたしがこれを潰すわ。よく聞いて、匂いもしっかり嗅ぎなさい」
ぶぢゅぅぅぅっ!
玲香「わかる? これがあんたの成れの果てよ。このオレンジのように、あんたはその中にしまってあるものをこれから全部出してもらうの」
未咲「う、うん……」
自分と似た匂いだけに、身体は素直に反応して瞳孔は開きっぱなしで感覚はリンクしていた。
玲香「もしこのオレンジのように自由に排泄できたら、未咲は嬉しいわよね?」
未咲「そりゃもちろんだよ! いますぐおしっこしたいくらいなんだもん!」
玲香「だったら、あんたのその膀胱に溜まっているそれは、一体いつになったら素直になるのかしら?」
未咲「ねぇ玲香ちゃん……これで本当におしっこできるようになるの……?」
玲香「さっきのことを思い出すのよ。頭の中でよくイメージして、なりたい自分に少しでも近づけるように、自分の身体に言い聞かせて、ゆっくり息を吸いながら、ここぞというときにしなさい」
未咲「わかった、やってみる……」
ついさっき、こっぴどく玲香ちゃんにばかにされたこと。それからオレンジ――。
ふたつのことが頭の中でかっちりとはまったとき、ぱっと世界は広がって――。
未咲「どうしよう……出ちゃう……」
耳まで真っ赤にしながら、次に心地よい水の音。
未咲「は、はぁぁぁ〜〜〜〜〜……」
すごく気持ちいい、と言わんばかりの表情と声。
未咲「もう、このまま死んじゃってもいいかも……」
オーバーな感想を述べて、なんとかことは終わった。
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