第19話 大都府の子どもたち
未咲たちの住んでいるこの街を、大都府という。
そこに、一台の警察車両、すなわちパトカーが止まっている。
男児「あっ、おまえいまパトカーの前を通ったな! ふけーだふけーだ!」
わたしにも、ああやってふざけてた時期があったっけ。
未咲「そんなことないよ? 警察の人はやさしいし」
男児「ふーん。ま、俺はそうは思わないけどな!」
この生意気な感じも、わたしと同じクラスだった子をなんとなく思い出したり。
未咲「昔はところ構わずおしっこできてたけど、いまはそうはいかないよね……」
そう言いながら、たまにやってしまっていたり。
未咲「だって、ほんとに我慢できなかったんだもん……」
ぎゅっと裾をつかんで、在りし日のことを思う。
未咲「うぅ……したくなってきちゃった……」
すぐそこにあるトイレに駆け込もうとしたそのとき。
男児「わわっ」
さっきの男の子が突然声をあげ、下からなにかが駆けめぐるようにぶるぶると震えだす。
男児「どうしよう……もう、がまんできないっ……」
言って、股間を抑えながらいきおいよく放尿。顔はすっかり紅潮し、なにかに目覚めた様子だった。
男児「なに、これ……すっごいきもちいい……」
この子もまた、あのときのわたしと同じ快楽を享受していたみたい。
その頃を思い出したくなって、わたしはその男の子の前に立って覚悟を決めた。
未咲「ねぇ、君」
男児「さっきの……えっと、これはちがくって……」
さすがに恥ずかしいのか、いまもずっと男の子らしく噴き出しながら目線を逸らそうとする。
未咲「じつはね、わたしももうがまんできないんだ……」
そう言って、スカートをめくる。男の子は興味を示してくれた。
未咲「はぁっ、はぁっ……ちょっと恥ずかしいけど、していいかな……?」
男児「そんな……お姉ちゃんはちゃんと我慢しなよ! 俺みたいになるんじゃなくてさぁ……」
未咲「そうなんだけど、ほんとに我慢できなくて……」
もちろん嘘だけど、わたしの見せたい欲と男の子への同情とが混ざって、こうなってしまった。
いや、半分は本当で、だからこうやってこの子の前に立っているのかも。
ちょっと興奮してる自分がいるし。
そこに、もうひとり小さい子がやってきた。
女児「おねぇちゃん、あのねっ……はぁっ、はぁっ、わたしもおしっこ、がまんできないのっ」
見ると、男の子よりもひとまわりもふたまわりも幼そうな子が、股をおさえて危機を訴えていた。
この日はいちだんと冷えていて、子どもたちにとってそれは試練の日だった。もちろん、わたしにとっても。
未咲「大丈夫、だよ? お姉ちゃんといっしょにおもらししよう、ね……?」
女児「うんっ……あっ……」
その小さい悲鳴が、なにを表してるかなんて言うまでもなかった。
男児「うぅっ……なんで俺までおもらししなくちゃいけないんだよぉっ……」
言いながら、彼だけはひと足早くすべて出し切ってしまっていたみたい。
女児「おしっこもれちゃうっ、はぁはぁ、といれいきたいのにぃっ」
未咲「大丈夫、大丈夫だから……」
正直なにが大丈夫かなんて、まったく説明なんてできないけど。
女児「おかあさんにおこられる、から、がまんしないとっ」
未咲「えっと、みゆちゃん、でいいのかな? 一回深呼吸してみよっか」
お手製の名札がついていて、その名前を呼んだ。
その子の本当の名前かはわからない。いまの時代、こんなものをつけて町にいたらあぶないから。
女児「うん……すぅーっ、はぁーっ……あれっ?!」
しゅぴーっ。落ち着いて気が抜けたのか、下の方も気が抜けてしまったらしく……。
女児「だめっ、おしっこもれちゃう……んんっ!!」
そう言うと、少しだけ踏ん張りが効くようになったのか、ぴたっと止まった。
女児「うぅ、きもちわるい……」
未咲「よくがまんできてるね、えらいえらい。ちょっと待っててね、わたしも準備するから……」
女児「はやくぅ……」
わたしはこのとき、目の前にいる女の子のことを考えてた。
おしっこでいっぱいになってるおなかがどれだけ苦しいか。
早く全部出したいのに、目の前にいるお姉さんが出す気配をまるで見せないところとか。
未咲「見ててね……これからわたし、パンツにちょびっとだけおもらしするよ……」
有言実行を誓い、早速実践してみる。
未咲「あっ♪」
ちゅぴっ。正直に言って、その女の子よりもかわいくおもらししちゃったかも。
女児「おしっこ……おしっこしたいよぉっ」
それでもやっぱり目の前の女の子のほうがかわいくて、わたしはたくし上げていたスカートをおろす。
未咲「みゆちゃん、ゆっくりわたしのほうに来て?」
女児「えっ? うん……」
目線を下げ、うつむきがちな彼女になるべく歩み寄る。
未咲「おしっこ、したい?」
女児「うん……」
未咲「どれくらいで出ちゃいそうかな?」
女児「えっと……もうすぐ」
未咲「そっか」
わたしと同じようにたくし上げていた女の子の口から、ついに限界だという意思が聞けた。
未咲「じゃ、せーので出しちゃおっ?」
女児「うん!」
まだ怯えている感じではあったけど、なんとかわたしの言うことを聞いてくれることになった。
未咲「しゃがんでるわたしのここと、みゆちゃんのそこが、これからおしっこまみれになるの」
女児「おねぇちゃん、はやくぅ……」
未咲「いくよ? せーのっ」
女児「ふぁぁっ」
しぃぃぃっ……ちょろろろっ!
同じくらいのいきおいと熱を持ったそれが、溜めていたぶんだけ地面に流れ出す。
女児「あぁっ……きもち、いい……」
いままできっと感じたことのないくらいの顔をしているみゆちゃん。
未咲「わたひ……もうひんでもいいかも……」
対するわたし。とんだ爛れようだね。
女児「はぁ、はぁ……あのね、みゆおしっこすゆのがこんなにきもちいいって、しらなかったの……おねぇちゃんも、やっぱりきもちいい……?♡」
未咲「もちろん……だよ……みゆちゃんの何倍も我慢してたから、たっくさん気持ちいいよ……」
そんな瞬間はあっという間に過ぎ、遠巻きに見ていた男の子が圧倒されてしまっていたみたいで……。
男児「は? なんだよ、これ……女のおしっこって、こんなすごかったんだ……」
口をあんぐりさせていて、塞がることはない。
男児「えっと、みゆ、だったっけ……? その……ドンマイ!」
これがこの子のせいいっぱいのはげましなのか、照れながらもそう言い切った。
男児「じゃあな! どこの誰だかけっきょくよくわかんなかったけど、元気に過ごしてくれよ!」
ピュアそうな笑顔で、彼はそう言い去っていった。
未咲「あの男の子に、えっちな目で見られたりしなかったかな……」
みゆちゃんはともかく、わたしはきっとそういう目で見てきてもおかしくないはず。
あるいはあの子が……いや、考え過ぎかな。
未咲「たとえそうだとしても、あの子が正しい考えで生きていれば、それでもいいのかも……」
いまは多様な時代。みんなちがってみんないい。そう単純に言い切れるかどうかもわからないけれど、とにかく時代にあわせて生きていくべきだと思う。わたしはいま、少し、いや、かなりいけないことをした。
未咲「警察さんのお世話になったら、そのときはちゃんと反省しなきゃだめだよね……」
そう思った。
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