第14話 どうせわたしなんて……

 未咲「はぁ……玲香ちゃんはいいなぁ……」

 玲香「どうしたのよ、ため息なんかついて……未咲らしくない」

 未咲「だって、玲香ちゃんはギターができるし、わたしなんてはなまる書くだけで精一杯で……」

 玲香「さすがにそれはないんじゃないかしら……ほら、わたしのペン貸してあげるから、いっかい書いてみなさいよ」

 未咲「うん、わかった……あれっ?! わたし、すごく上手く書けてるよ?!」

 玲香「ものがいいからよ。未咲はその力に見事にあやかれたってわけ」

 未咲「なにそれ、ぷー……結局わたし、玲香ちゃんみたいにはなれないってこと……?」

 玲香「あぁもう、泣かない泣かない……ほんと、最近の未咲って幼児化がはげしくなったような……」

 未咲「言ったね?! 玲香ちゃん、いまはっきり、わたしが幼いって……」

 玲香「だって事実じゃない。おしっこはぜんぜん我慢できないし、いまもこうやってわたしとの差が歴然ってこともはっきりしたわけだし。あと、言っておくけど、ギターはたいして上手くはないわよ、上には上がいるし」

 未咲「いくら幼馴染でも、そんな傷つくこと言わなくてもいいのに……」


 未咲はただただ目に涙を浮かべている。ちょっと言い過ぎたかもしれない。


 未咲「どうせわたしなんて、いつまで経ってもこどものままなんだから……」


 そうはっきり言われると、もうそういうふうにしか見えなくなってしまう。


 玲香「そんなに落ち込まない。ほら、あめあげるから」

 未咲「やっぱりこども扱いしてる……」


 そこに、春泉がやってきた。


 春泉「ハウディー。なんか、ガッコ久しぶりだね」

 玲香「春泉」

 未咲「やっほー! あれっ、なんかもしかして浮いてる感じ……?」

 玲香「悪いけど」

 未咲「あぁんもう、わたし、ほんとにどうしたらいいの……?」


 うみとロコの二人はなぜだか手をつないでいる。この数ヶ月の間に何かあったんだろうか……?


 玲香「どうしたのよ、そんな仲良さそうにして」

 ロコ「えっ? わたしたち、ずっとこんな感じだったよね?」

 うみ「えっ? お、おう、そうだな!」

 玲香「……?」


 同じ「えっ?」でも、全然意味が違うように感じた。

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