第9話 玲(あざ)やかな水たまり
玲香「はぁはぁ……んっ、もう、我慢できないっ……」
それは、こんな季節となっては当然のように起こってしまう。
玲香「どこでもいいから、隠れるところ……」
きょろきょろとあたりを見渡して、ついに死に場所を決めた。
玲香「早くしないと……漏れちゃう……!」
らしくないことばをつぶやきながら、下着をおろす。
未咲「ふふふ〜んふ〜ん……きょうはこっちからいってみよーっと」
散歩が好きなので、ついいろんなところを行きたくなる。すると突然、勢いのある水の音が聞こえた。
ぷしゅいーーっ!
未咲「はっ! もしや、これって……✦」
こういう系の音にはめっぽう敏感なわたしは、目を光らせた。そして、その音の正体もだいたいわかった。
未咲「れーいっかちゃん♪」
玲香「うひゃぁぁっ! な、ななな、なんであんたがここにいるのよ!」
未咲「なんでって……たまたまここを通ったら玲香ちゃんのおしっこの音が……」
玲香「黙って! もし言ったらほっぺたつねるわよ! 誰か聞いてるかもしれないでしょ!」
未咲「そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに……わたしだって、幼いころはよく外でしてたし、最近までいっぱいしてたんだけどなぁ……さすがに最近は、ひと目が気になるようになって少なくなったけど……」
もじもじと赤裸々に自分の事情を告白。知ってるけど、もっと早くそうなってほしかった……。
そしてできるなら、完全になくなってほしい。今回のわたしみたいなパターンをのぞいて。
未咲「いまも我慢できなくなったら、もしかしたらなりふり構わずしちゃうかもなぁ……なんて」
この期に及んでそんなことを言う幼馴染。
玲香「……もう! いいからあっち行ってなさい!」
未咲「わかってるよ〜。でももうちょっとだけ聞きたいなぁ、玲香ちゃんの……」
玲香「言うこと聞きなさいよ!」
言ってる間にも、排泄音は止むことはなく……。
けっきょくし終わるまで、わたしはずっと顔を真っ赤にしている玲香ちゃんのそばにいるのだった。
♦
うみ「……久々に運動すっかなー」
昨今の事情でいやでもそうなってしまったあたしは、ついに決心した。
まずは軽く家の周りを走ろうと思っていたけど、気づけば知らないところにまで来ていた。
うみ「ここ、どこだ……?」
気まぐれに狭い路地に入ってみようと足を向け、しばらく行ったところに湯気が上がっていた。
うみ「ん……? あいつらどっかで……あっ!」
見ると、しゃがみながら下半身を丸出しにしてる女子がそこにいる。
雫が垂れているということは、きっとそういうことなんだろう。
うみ「うわっ……玲香のあそこって、あんなきれいなんだな……」
同性なのに、ちょっとときめいてしまった。
気づくとあたしは、ズボン越しに自分の股を無意識にさわってたみたいで。
うみ「あぁ、ダメだダメだ……でも、どうしようこれ、すっげぇこすりてぇなぁ……」
そうさせるだけの魅力が十分すぎるくらいにあった。
だから遠巻きに、それでも頑としてさわらないように注意して。
頭の中に完璧に、玲香のすべてを思い描く。
うみ「うぅっ、そろそろ飛ぶぞ、あたしっ……」
奥のほうに何かがたまり、あたしの気を狂わせる。
うみ「れいかっ、れいかぁっ……」
仮にもクラスメートなのに、こんなになっていいわけもない。
だけどこのときのあたしは、こうならざるを得なかった。
うみ「う、ぁ……やっちまった……」
あたしのズボンからは途方もない量のおしっこが流れ落ち、ついに止まることはなかった。
未咲「あれっ?! うみちゃんだ、おーい!」
うみ「ちょっ、呼ぶな未咲! こっちはいま大変なんだ!」
未咲「なになに〜? あーっ、もしかしてうみちゃんも?」
うみ「なんでそういうことだけは敏感なんだよ、お前! いいからこっち来んな!」
未咲「見せて見せて〜」
うみ「近寄るな変態!」
未咲「そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに……」
玲香「わたしに言ったこと、そのままうみにも言ってんじゃないわよ……」
和やか(?)に、この日のごたごたは終わった。
うみ「あたし、どうやって帰りゃいいんだ……」
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