第8話 涙ながらに
その日、わたしロコは風邪を引いて休んでいた。
ロコ「ぐすっ、パパ、ごめんなさい……ごめんなさい、パパ……」
先日のことがどうしても忘れられず、ついには発熱するに至ってしまう。
もぞもぞと布団の中で脚を動かしはじめる。そのときが訪れようとしていた。
ロコ「ん、ん……」
しょわぁ……と溢れ出す。かなり熱を帯びており、これのせいでまた熱を出してしまいそうなほどだった。
ロコ「あ、あ〜……」
さらに勢いは増し、あっという間に布団の中はおしっこまみれに。今度はお母さんに怒られそう。
ロコ「あっ……たかい……」
わたしはぼんやりと、お父さんのことを考えていた。
台所に立っているところ、風景を撮りに山のほうまで連れて行ってくれたこと……。
それらすぐに冷めてしまうくらいに、布団の中では急激にその実態が浮き彫りになっていく。
ロコ「えっ……わたし、またやっちゃったの……?」
おそるおそる、股をさわって確かめる。ごまかしは効かないようだ。
ロコ「うぅ……くちゃい……」
こんな喋りかたも久しぶり。幼いわたしが還ってきたみたいだった。
ロコ「でも……もう一回、パパの前でおもらししてみたい……」
いけない思考が頭をもたげてしまった。こうなるとわたしはやっぱり止まらない。
♦
ロコ「パパ! ほんとにわたしのことちゃんと見て!」
父親「言っているだろうロコ、君はもうそんなことをする齢じゃないと……」
ロコ「もう知らない! わたし、ここでっ……パパの前でっ、このまま、おしっこするから……」
父親「ロコ」
ロコ「んっ……」
自然と穴のまわりがふくらんできて、鳥肌もぶわぁっと立って、わたしは恥ずかしさに押しつぶされそうになりながらもそれを決行することにした。
パンツのなかで渦巻く音が聞こえる。それはどうしても我慢できなかったというわけでは到底なく、あきらかに故意だった。
だからこそ恥ずかしい。いまこの瞬間にも、また熱がぶり返しちゃうんじゃないかって思ったりする。
ロコ「……どう? これでわたしがどれだけパパのことを思ってるか、わかったよね……?」
父親「わかったから、早く目の前のものを片付けなさい」
わかったって顔をしておきながら、心のなかではきっと違うんだろうな……。
そんなことまでわかってしまう。
ロコ「わかってる……」
熱を冷ますシートをつけながら、わたしは譫言のようにそう言った。
♦
これではまだおさまらず、今度はうみちゃんの前でそれをまた決行する。
うみ「おいおい、どうしたんだよロコ……」
さすがにうみちゃんも驚いてて、もしかしたらわたしはこれが見たかったのかもしれない。
わたし、こんなに変態だったなんて……。
うみ「あたしのパンツ穿くか? って、さすがにそれは恥ずかしいよな……」
ロコ「えっ、穿いていいの?」
うみ「そこめっちゃ反応するのな……あたし、そういうつもりで言ったんじゃないからな?」
ロコ「わたし、うみちゃんのパンツ穿きたい……ううん、穿かせてほしいの、うみちゃんのパンツ……」
うみ「パンツパンツって……あ、ごめん、いまのロコの圧であたし、ちょっとやっちゃったわ」
ロコ「えっ?! 見せて見せて!」
うみ「なんか未咲みたいになってないか?!」
調子がくるうなぁ、と考えてたあたしだった。
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