第10話 あの雪原で、わたしは玲香ちゃんと出逢った?

 思えばあのときが、わたしと玲香ちゃんの出会いだった。


 ――とある雪原。わたしはあてもなく彷徨い続けていた。


 未咲「あ〜、さむさむ……どこか暖をとれる場所とかないのかなぁ……」


 あるはずもなく、気づけば林か森のような場所に来ていた。

 すると目の前に、背を向けたロングヘアの女の子が現れた。

 そう、玲香ちゃんである。


 玲香「ちょっと待ちなさいよ」

 未咲「えー、せっかくいいところまで妄想できてたのにー!」

 玲香「妄想って言ってる時点で嘘八百じゃない、まったく……」

 未咲「まぁまぁ玲香ちゃん、続き聞いて?」

 玲香「いちおうそうするけど……」


 玲香ちゃんはなにを思ったか、急にしゃがみだす。


 玲香「……どうせおしっこでもするんでしょ」

 未咲「な、なんでわかったの、玲香ちゃん?」


 構わず続けるよ。


 玲香「はぁっ、んっ……」


 艶っぽい声を出して、玲香ちゃんが失禁した。

 気持ちよさそうなそれにつられて、ついこっちまでしてしまいそうになる。


 未咲「はっ、いけないいけない……」


 それだけは絶対にだめだ。たとえわたしが昔、ところ構わずおしっこしてたからって、こんなところでしていいはずが……。

 そう思っていたけど、ついに我慢できなくなってきた。


 未咲「もう、フィニッシュしてもいいよね……」


 禁忌にも近い科白を紡ぎ出しながら、わたしも立ちながら果てた。


 未咲「はぁ〜……気持ちいい……」


 純粋にも見える女の子にとって、それはあるまじき声過ぎた。

 きらきらと輝いてはまばらに落ちていく雫。さながら絶景だった。


 玲香「今度こそ待ちなさい」

 未咲「なぁに玲香ちゃん、いまちょうどいいとこすぎて、わたし本気でここでおもらしする気だったのに……」

 玲香「ほんと救えない人間ね、あんたって……これのどこが純粋なのよ、えぇ?!」

 未咲「まぁまぁ玲香ちゃん、ほんとにこれで最後だから、ちゃんと続き聞いて? あと、このままおしっこしていいよねっ、だって、もう我慢が……」

 玲香「早くトイレに行きなさいよ!」


 けっきょくいいところで話は半強制的に切り上げられたけど、わたしが想像する続きはこう。


 未咲「ねぇ、あなたも気持ちよかったでしょ?」

 玲香「ちょっ、あんたいつから見てたのよ……」

 未咲「んーと、しゃがんだとこから?」

 玲香「忘れて! いますぐわすれて!」

 未咲「あいたたた!」


 こんな感じである。

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