第5話 対決!?銀バット快人【金ジャラ】・・前
奴!と(俺の人格を満はあの日からそう呼ぶようになっていた。)・・。
警察と奴が接触した後に非常に大きな動きが、警察対DQN帝国との間ではあったようだ。
都合よく使い捨てに出来る敵の主戦力ゾンビ・グールクラスのすべての大群が謎の人物?と世間では噂される、
そして、それはDQNの数の優位そのものを無くして状況を逆転させた。
つまり、全敵勢力の8割もの数の敵兵を行動不能にしたのだ。
その「フリーザー作戦」の実施を持って警察、陸上自衛隊(一部航空自衛隊含)混成軍での反攻作戦を開始。
機動力の選択・準備等の用意に苦慮する地方都市などでは、警察が中心となり波状攻撃を敢行。
一方で陸自の得意な中・大型火器、によって中・長距離攻撃可能な兵器を投入しやすい山間地・農村部ではゾンビ・グール兵供はそのほぼすべてが行動不能にされた後に虎の子のDQNerにも苦手な遠距離火力の集中で少なからずもある程度対抗できるほどの被害が出ていたからである。
(いくら外見が一般人に近く、DQNerがゲリラ戦に持ち込もうとしても日本は古来、他の地よりもまだ戸籍が整えられていた上にまだなんとか地域のつながりも残っていたために、敵味方を色分けしやすかった事等がDQN達には仇となった。)
その結果として、一時は日本の7割をも呑み込むかに見えていたDQN達も下働き要員の絶望的なマンパワー不足にはいかんともしがたくなり、常人に無い超能・異能を誇るDQNerクラスの
イラつきを隠そうともせずに弁務官シャゲラーは全長70cmはある電磁鞭を振り上げ【金ジャラ】と【ミミィ】ふたりの顔と言わず、背中や胸などに鞭打の嵐を浴びせた。
打たれたふたりは傷跡に血をにじませているが、打たれても一声もあげてはいない。
それに引き換えふたりを打ち据えた方のシャゲラーが汗をにじませ息を荒げて目の色にも危ないものをたたえている。
ビシィ!
バキィ!
ビシッ!
バッ!
ビギッ!
「「・・・・・。」」
「はぁっ はぁっ はぁっ!相手は傷を負っていた。装備も損傷した状態だっ・・しかも【ミミィ】は戦闘職ではないとはいえ、グールよりも強い。
押せば、ふたりと手下共で倒せたのではないかとカーミャ将軍もドクトル「
そして、そこで倒しておけば、その後の日本政府による反攻作戦などは無かったっ!今の苦境は無かった!違うか!【金ジャラ】に【ミミィ】よ・・。」
「そう言うけどよーあのデブ、俺様の渾身のフルスイングを片手で2度も平気な顔で受け止めやがったんだぜっ!」
「シャゲラー!あたいも
美丈夫のシャゲラーが【ミミィ】の言葉に恐ろしいほどの形相で振り返る。
「たかがCクラスの補助
言いながら今度は電撃も入れていた鞭打を【金ジャラ】を庇うように立つ彼女の豊かな胸元に横なぎに放った。
ビ!バッシィーン!
「ぐっ!つうっ・・。」
今度の痛打はよほど響いたのか、打たれ裂けた衣服と真白い乳房についた痛々しい赤紫のキズを手でかばいよろめく【ミミィ】。「あ、杏奈っ!」
「次は打たせねぇっ!こいつは俺様の
【金ジャラ】のいや、
「う、き貴様。その女と一緒に我々に拾われた時の様に、また血反吐にまみれて・・今度は本当に死ぬか・・。」
そこに、睨みあうふたりを裂く様に凛々しい若い女の声がとぶ。
「仲間同士で止めぬかっ、そのようなパワーがあるなら敵にぶつけろっ馬鹿めッ!」
長い黒髪を背まで艶やかに流した、凛とした美女が薄暗い不気味なアジトの闇の中から現れる。その姿、月光の中の珠のようだ。
「これは、将軍っ!」
「はっ・・カーミャ姫様っ!」
そう呼ばれた女は肌もあらわな鎧姿という相反するいで立ちながら、このおんなしかこの姿は出来ないであろうと思われた。
シャゲラーと
「シャゲラー、他人の女を殴るとは・・貴様は趣味が悪い。品性下劣だな。」
「くっ、そ・それは・・き、きぃーッ!下がらせていただく。」
アイドルスターのような美形を醜く歪ませて去るシャゲラー。
すれ違いざまに誰に言うでもなく小声でつぶやく。
「なにが姫か・・この屈辱・・忘れんぞ・・。」
カーミャ将軍は【金ジャラ】こと
「貴様もだ、せっかく拾った命。つまらぬ事でムダにするな。『HE-MAN』とやらを倒せばヤツも二度とグダグダは言うまい・・いや、私が言わせはせん。」
【ミミィ】【金ジャラ】共にカーミャの前で膝をつき神妙に言葉を受け取る。
「「ははっ!」」
姫将軍はその様子を見て満足そうに頷き、
「よし、行け!」
と愛用の長剣を振りかざした。
ふたりを見送ると将軍は手元のデータ・ビューワーとレポート用紙に目を落としそこにあるHE-MANについて判明している数少ない項目の記事を読み眉間にしわを寄せる。
「我らの人体強化方法など児戯か、はるかに強く・安定している・・医科学的に大幅な先進の可能性・・か。ドクトル!ドクトル
「おじさん、今はまだ何も聞かないでもらえますか・・。正直言って・・僕自身がまだ良く分かってないんです。いつからなのか?・・とか、なぜ?僕なのか・・この事に姉がどうかかわって来るのか?全部が変な事だらけで・・。」
この時に満は芝居臭いと思っていたが、後で自分が本当に涙を流していたのを知って、心底驚いたものだった。
(ダメージを受けてたんだな・・僕も。)
思わぬ涙に今度だけは追及を諦めた
引き際にただならないことを僕に告げた。坂巻さんからの伝言って事らしい、あれからほぼ1ケ月ぶりに聞いた名前だった。
(もちろん、毎日毎日僕とおじさんがふたりだけになった時に
思いっ切り責められまくっているのを美月バリヤーと朧ガードでなんとか凌いできたのだ。二人には聞かせたくは無い様だったから・・。当然、僕もふたりには心配かけたくは無かったのだ。)
「DQN連中が『HE-MAN』を躍起になって探している、気を付けてくれ。」って事らしい。
他は目新しい情報も無かったため、いつもの習慣で何か情報を得る足しにならないかと思って
と・・、ひとつのチャンネルとNewTuber 名が引っかかった。
あまりにも符号が合い過ぎて気になったのだ、それは
「DQN予報」のチャンネル名と裏 kumi さんという名のひとだった。
あまりにも怪しすぎるし、手の込んだ罠の可能性を疑った。
しかし結局おそるおそる登録してみた。するとなぜか本登録会員にされ、そこで新入会員の募集は締め切られた。
(どうやら、HE-MAN 関係者を待っていた様だな・・。)
罠か?それとも・・と、突然スマホにチャンネルメールが入る。
ポロン
「DQN予報よりー① 今、本間通の本間病院にいる
ガタッ! 文面に動揺し体が動いた。
メールを見返して僕は(俺も)心が冷えた。
(「HE-MANの事がバレたのか?」)
しかし、周囲に全く変化はない。教室の窓を破ってDQN共が襲って来る気配もない・・。
ポロン!
またメールが入る。
「DQN予報よりー② 本間通の本間病院402にいる、みんなの
「・・こ、こいつは正体は分からないけど・・付近のDQNの動きを逐一動画やメールで登録者に教えてるんだ!すごい情報収集能力の上になんて命知らずな奴なんだ!」
(そうと分かれば、授業受けてる場合じゃねーや。)
パッドを使った合同ネット授業で助かった。
(今なら!トイレに行く振りで・・。)「丸山先生ーっ」
「なんだー霜降!」
「トイレー行っていいですかー腹痛くなって・・。」
「分かった。三条と一緒じゃないなら行かせてやる。」
「「キャーーッ」」
「「ヒューヒュー!」」
「せんせーーっ!それって、どーゆ―意味なんですかーっ!」
「お前らがくっついてると逆に心配なんでな~っ!」
カラ・・カラ・・
(注意がそれてる・・。美月、ナイス!)
俺は感づかれぬように音も無く教室を出た・・。
(【能力】高速移動レベル(中)) ブウンッ!
途端に周囲がスローモーションになる。本間病院まではここから5分もかからない。慣れてきたのか、体が馴染んだか移動しながら『脱着!』をして着替える。
そこでさらに驚いた事にヘルメットが修復されており、また性能がアップデートもされていて、前回の弱点である対衝撃性能と耐久性が格段にUPされていた。
「ニュウ・モデル・セットアップ、レデイ」
「お、OK・・?」
(謎のNewTuber に、装備の更新をしてくれる人?組織もいるんだ。やっぱり裏に何者かの協力者がいるんだ。
顔も見せてはくれはしないが、多分・・僕はひとりじゃない。
?!・・なんだ、この違和感?そうだいつもの様なら奴に無理矢理に取って変わられてるはずなのに来ない!)
心を静めてみると僕と同様の探るような観察するような意識を心のどこかに察知した。おかげで相手もこっちを見ていることが分かったので、ちょっと安心した。
しかし、今は
僕は本間病院の正面玄関へ飛び込むとエレベーターで4階の402を目指した。
402号室に飛び込むと
【ミミィ】自身は僕を見て一瞬 ギョッ!としたが、
「・・フフフッ!来たわね デブ。この女を殺したくなければ、そこを動くんじゃないよっ!」とお決まりの啖呵をきる。
そして HE-MAN が【能力】高速移動レベル(中)で移動して先生を助けようとした時、自分の喪服様の漆黒ノースリーブ、ワンピースの胸元を自分で引裂き破る。刹那の丘肌と先端の鴇色が映る
中、若い男の悲しい性か前回同様に目と注意を奪われてタイミングを逸してスキを突かれ窓から逃がしてしまった。
「ウフフッ!お友達に見せてもらいなさいっ!」
ガシャーーン!
「僕はバカだ・・。」
(確かに、同じ手を食らった上に、美月を思い出して反応しかけて余計に固まるなど。)
「うるさいよ!」
(屋上で合流したはずだ、人質もいるし・・この街中では警察の
援護も犠牲が増えるだけだ。どうする?)
「警察用無線デ入電デス。」(メットの音声だな・・。)
「繋いでくれ。」
「ジッ 三条だ、今3階にいる。サポート程度なら任せろ!」
「ジヤッこちら坂巻、喪服の女をサイトに入れた。ヤルときは合図をくれ、牽制ぐらいにはなる。」
(なるほど、本当にひとりぼっちじゃ無かったわけだ・・。ふたりへの情報元は・・。)
「キャーツ」
「!?」(屋上の
僕は自分の心の中の声に踏ん切りをつけるように返事をした。
「了解!・・メット!」
「ハイ・・。」
「三条さんには10分後にサポート要請、坂巻さんには10秒後に援護射撃要請を通信。」
「了解。」
【能力】高速移動レベル(中)を発動して非常階段を駆け上がる。
カ カ カ カ
カ カ カ
ブーツも特殊素材か?ほとんど音がしない。階段で来るはずが無いと思い込んだのか丁度後ろ向きだ。
【ミミィ】【金ジャラ】がエレベータ口の方を向いて立ち、ふたりの間に白ニットを破られ倒れ込んだ先生がいる。
(悲鳴はこれか?)
「おいっ、同じ僕の中にいるのなら一蓮托生だろっ手を貸せよ。」
(皆まで言うな、機関長はしてやる。お前はちゃんと舵を
取って動かせっ!)
「【能力】高速移動レベル(中)」
一気にダッシュを駆けて10mもない距離を詰めて殴る、殴る、
殴る。
(満!効いてねぇっパワーが乗ってねぇんだ。足腰も溜めてねぇ、お前のは子供パンチだ。)
ガツ
ドドッ
「へっ!コラ、デブ野郎。ちから落ちてんぞっ!
舐めてんのかよっ!」
ガシッ
【金ジャラ】の右手にHE-MANの左こぶしが掴み止められてしまう。
「くっそ!」
口の中が切れたか左腕で血を拭った【金ジャラ】がHE-MANの左こぶしと肘を両手で掴み前腕をじぶんのヒザに叩きつける。
ボギリッ
鈍い音がひびくとふたり同時に声が上がった。
「ぐぁっー!」
「くっそ!硬ぇなチキショウ。」
左うでを胸元に抱え倒れ伏すHE-MANに得意の銀バットも出さずに蹴りを主にして暴行を加える【金ジャラ】。
そこに【ミミィ】も近づいてくる。
「援護は無いわよ・・、いつかの男がまた撃って来たんで思わず弾丸を投げ返してやったらあたっちゃった。うふっ!」
苦痛に歪んでいるであろう、HE-MANの眼前に受け止めた弾丸の残りを見せつける【ミミィ】。
そして、さらに腹につま先が何度もめり込む。
ドフッ!「!?こ-ッ」
ドウッ!「かはっ」
ドッ
常人なら何度も即死しているほどの凄まじい暴行だ。
だが、その暴行の主【金ジャラ】は満を半死半生のようにしつつもまるで敵、本人の方を見ていなかった、なにかを思い出すように。
「ありゃあ、何年前だ・・。」
【金ジャラ】になる前のまだ自分がヒトだった頃、
一目置いていた女闘系グループの副頭目に昔に愛した女の姿を見て驚いた事も、そしてやり口が汚く気に食わないグループの奴らと対立して、仲間を様々な手段で一人また一人と潰していかれてしまい。
最後には二対十二の決闘とも言えないリンチ並みの戦いで、それでもあと五人までは倒すも結局は目潰しを食らい敵のメンバーの姿さえ再び見れずに殴られ続けて腫れあがり泥にまみれた両目では敵を確認することもできずに殴られ続けた。
その上、奴らは本気で殺そうとでもし出したのか、素手じゃもたなくなってきたのか?鉄パイプや金属バットで殴り始めた。
もう自分の体のどこが痛いのか、動くのかさえも分からないほどだった。
ついさっきまで聞こえていたはずのいとおしいおんな、
ただ、しゃがれた声の悲鳴にならない声に、荒い息使いが興奮した声や笑いと共にときおり聞こえた。
自分自身は茶色い水たまりのある裏通りの暗がりで、雨に打たれて頭を割られ手足を折られて、瀕死の血まみれ傷だらけなのは分かった。
あとは意味の分からねぇ音しか聞こえて来なかった。
奴らの声なんて・・今更聞きたくもねぇし・・。
「ここいらじゃ名を馳せた、あの
「これに懲りて2度と俺らにキバ剝くんじゃねーぞ。」
「そうそう、お前も頭と腹を色変わるほどバットで殴っておいたから、早く医者行けよ手遅れになんぞ。ん、もう遅いか?」
「あっそーだ!あんたの所のメスがうちらの男に散々気持ち良くしてもらったみたいだからーその代金として金と車いただいちゃうね。あと、シマも店もぜーんぶ!い・た・だ・き!まーす」
「そーよっあいつらのデカいの有料なのよっ」
「「「ぎゃははははっ」」」
「でもさ、こいつの腹にもし誰かの・・出来たらどーすんの」
「仕方ないねーあたいがガキ生めないように、メスの箱潰しとくわ
「じゃあ俺は後腐れないように最後にこいつの頭でホームラン決めてやんよっ!ふたり仲良くあの世じゃーん。」
「い、いやーーーっ!やめでーーっ!」
(
銀色の光が一瞬またたいて・・終わった。
ザーーッ
ふと、我にかえった男は少しだけ状況が分からなくなっていた。
銀色の金属バットを得意の武器とするコードネーム【金ジャラ】よりも、復活・改造される前の
「俺様は今、なにしてんだ?」
手にはあの時、俺様の頭蓋を砕いたのと同じ銀色の金属バットを持っていた。
そして、銀と赤のコスプレをしたガキは泥まみれになりながらもまだうめいていた。
「ぐうぅ・・。」
「はぁっ はぁっ 俺様にこんだけやられてもまだ生きてんのか・・。そろそろ終わらせるか。チェーンジ・ドリルバット!」
【金ジャラ】の叫びに反応して銀色の金属バットの先端からあちこちにトゲや羽状の突起がついた高速回転する凶悪な姿のドリルが現れた。
しかも、全体が同じ方向に回転するのではなく、多層多段が高速で逆回転している。見るだに恐ろし気な凶器だった。
それが、静かな回転音でHE-MANに迫る。
フィーーーーーン
立てっ!戦えっ! HE-MAN。
もう、ドリルはすぐそこだっ!
次回予告
DQN帝国の快人【金ジャラ】
の前に絶体絶命?の満こと
HE-MANはどう立ち向かう?
せまるドリル!
どうするドリル!
頭ゴリゴリはぜってーイヤ!
第6話 決戦!?銀バット快人【金ジャラ】・・後
レッツ!リハイドレイト!!(ってなに?)
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