第131話 サンフェルナンドへ!
「穂南ー、今日からTTのサンフェルナンドダンジョンに行くからなー」
「気を付けてねお兄ちゃん」
「うん。まー前に比べたら代々木の一層からそのまま指定してダンジョンに直行できるから不便は無いんだけどね」
「お兄ちゃんそれなら、夜は帰ってきたらいいじゃん」
「みんな、泊まり込みで頑張ってるしね、俺だけ普通に家に帰るって言うのも何か悪いから、一回作戦行動に入ったらけりがつくまでは向こうに居るよ」
「そっか、しょうがないね。でもトリニダート・トバゴってどこ?」
「カリブ海の南西にある島国だね。南アメリカ大陸のベネズエラの沖合に浮かぶ島だよ」
「そうなんだー綺麗そうだね。そのうち連れて行ってね」
「今は世界中のダンジョンに転移できるからな。Dキューブの社員証は世界共通のビザとして使えるし、穂南も高校卒業したらDキューブに籍だけは在籍しといたらいいよ。それが無いとさすがに色々面倒がありそうだから」
「うん、わかったー。一応、お祖父ちゃんに頼んで卒業後は学園の先生っていうか講師をしたいと思ってるんだよね」
「そっか、でもちゃんと先生しようと思ったら大学行かなきゃならないから、ちゃんと勉強も頑張れよ」
「そうなんだよね。でも、麗奈さんと話してたら咲さんと麗奈さんも大学途中でお休みになってるから、残りは通信で済ませて卒論だけ提出するって言ってたし、私も通信にしようかな? って思ってるの」
「それもありかもね、穂南が自分でやりたいように頑張ればいいよ。何をやっても応援するぜ」
「ありがとうお兄ちゃん」
その後で麗奈に迎えに来てもらって、咲と三人で代々木ダンジョンからサンフェルナンドダンジョンへと転移を行った。
「麗奈、TTは何か有名な物とかあるの?」
「もっちろん、ちゃんと調べてきてますよ! 産業的には観光以外では目立ったのは無いんですけど、アスファルトの天然鉱脈があるのくらいですねー。後は世界三大カーニバルに数えられる、『トリニダード・カーニバル』が有名です。一年中を祭りの準備に費やしてる人が普通にいるんですって」
「すげえな、ラスボス予想はどっち?」
「一次のポートオブスペインだったらカーニバル関連だと思いましたけど、二次だからアスファルト系かもしれませんね」
「アスファルト系のモンスターとかなんかやだなベトベトにされそう」
「真っ黒になりそうですね」
「俺は元々真っ黒だけどね!」
早速四十層に向かおうとしたら、ここは初めて来るところだからダンジョンリフトが使えないことに気づいた。
「どうする? 一層ずつ降りる?」
「それは面倒くさいですから、一度アタウロに渡って四十層からダンジョン転移しましょう。ついでにトロピカルフルーツ取りに行きたいです!」
「そうだな、そうしようか」
麗奈の提案でアタウロにダンジョン転移して、ボス部屋へ移動する。
アタウロでは俺はダンジョンマスターなので自由に階層移動を行える。
麗奈と咲がトロピカルフルーツを満足するまで食べると、俺も異次元ボックスの中に穂南と彩にお土産で持って行ってやろうと思い収納した。
そういや、ここを攻略した時に実のなったキングドリアンの木をを百本も収納してたな。
あれって旨いんだろうか?
でかすぎるから日本じゃ出す場所に困るけどな。
そろそろTTに戻ろうとしたときに、このダンジョンのラスボスだったキングドリアンの『ドリャー』が現れた。
相変わらず、強烈な臭いをさせてやがる。
「マスター、何か用事は無いのか?」
「今のところは別に用事は無いけど、他のダンジョンのボス戦とかで呼ぶこともあるから、その時は頼むな」
「待ってる」
そう言ってフラフラと森の中に消えていったドリャーを見送って、四十層の転移スポットに移動すると、サンフェルナンドダンジョンの四十層へダンジョン転移で移動した。
「ダンジョンマスター便利だね」
「咲もダンジョンマスターやる?」
「マスターレベル上げるまで外に出れないとかあるから、やめとくよ」
「あー、あったねそんなの。あの頃は毎日大変だったよ」
「寝る時とかどうしてたの?」
「それは大丈夫。マスターだからボス部屋の中に居たら襲われないからね」
「そうなんだ。行き詰ったら考えようかな?」
そんな事を話ながらポール達の展開する四十二層に到着した。
「ポールお疲れさまー」
「TB、今回は後二日くらいで出ると思う」
「わかったー、この階で適当に狩りしとくねー」
四十二層ではワイバーンが編隊を組んで襲ってくるし、肉食恐竜ベースのDレックスという五メートルクラスの恐竜が現れるので気が抜けない。
ポールの判断で一班十二名編成では危険なので、二班二十四名編成の四交代に増員していた。
安全マージンは大事だからね。
咲が早速Dレックスとタイマンを張りたがって対峙していた。
麗奈は上空のワイバーンたちの警戒をしながら、見つけたらサンダーランスで撃ち落としている。
俺は、咲と麗奈に危険がおよばないように周囲の警戒をしている。
咲が大きく飛び上がって、居合一閃でDレックスの頭を跳ね飛ばす姿を、他の隊員たちがため息をついて見ていた。
「ほら、よそ見してると危ないよ!」
俺がそう言った時には、Dラプトルの群れが十頭ほどで隊員たちを挟み撃ちにしようと襲い掛かる。
俺がオリハルコンダガーに氷属性を纏わせて、襲い掛かるDラプトルたちの足元を一気に走り抜けると、片側の五匹の足を切り落とした。
他の隊員たちが反対側の五匹には反応して倒す。
日ごろのポールや祖父ちゃんたちの教育の成果か、基本通りに三人で一匹を取り囲んで確実に止めを刺すことが出来ている。
「ボス、ありがとうございます。」
「気を抜いたら駄目だよ。タチアナ」
久しぶりに、RUダンジョン攻略局のタチアナの姿を見た。
「私たちも結構頑張ってるつもりですが咲と麗奈凄いわね」
「だろー、麗奈は咲につられて頑張ってるって感じだけどね」
「後でRUの攻略の状況とか聞かせてね」
「ええ、いいですよ」
そう返事をもらって、交代の班が来るまでの二時間ほどを狩り続けて過ごした。
交代の班はリーダーがUSのジェフリーとデビットだった。
「ジェフリー頑張ってね!」
そう伝えるとポールとタチアナの率いる班と一緒に一度ダンジョンから出た。
「タチアナ、TTには、どこか美味しい店とかあるの?」
「ええ、この国はねカリブ海の国だけど、人口の四十パーセントはインド系で四十パーセントがアフリカ系なの、それぞれに名物料理はあるけど、私のお勧めはインド系の人たちがやってる屋台で人気の『ダブルズ』ね」
「ダブルズってどんな料理?」
「食べてみるのが早いわよ」
そう言われて、咲や麗奈も一緒に屋台に並んで早速ダブルズを購入してきた。
この匂いは流石に俺でもわかるぜ、カレーだな。
揚げパンでカレーを挟んだような料理で、とってもスパイシーで美味しい。
メインの具はカニやエビ、アヒルや鶏が人気だそうだ。
おなかも一杯になると、RUの状況を聞くことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます