第127話 コア摂取の公開
「って事で、スキル取得者がモンスターコアを飲み込んだ場合モンスターへの変異をしないっていう事が分かったんだ」
「なんだって? それは凄いな。だが何故今まで秘密にしてたんだ? Dキューブのメンバーの成長を考えたら、もっと早くに公表するべきだったんじゃないか?」
「当初実験に協力してくれたデビットとジェフリーとも話してそれぞれ、アメリカの大統領と日本の総理には伝えたんだが、半年前の段階ではスライムコアの取得とかされると、銀行の金庫だろうと、どこだろうと侵入し放題になったりする危険性があったから当面対策が取られるまでは公表を控えたって感じかな」
「なるほどな、現時点でそれを知っているのは誰がいるんだ?」
「咲と麗奈、USのデビットとジェフリー、DFTの松田と、NDFの彩、後は日米首脳と官房長官だけだな」
「それでロンドンの連中の強さの秘密も分かったのか?」
「それはまだ特定できてないな。聖夜とエミが達成していて俺が出来ていない何らかの条件があることは間違いないけどね」
「この方法は公表するって事でいいのか?」
「ああ、結局スライム捕獲用のケースとか先に発表してしまったから、それを使えば溶解液も一般人も使えるよね? ってなったし、主だった所は非溶解性の塗料などを使った対策も進んでるから、これから先モンスターのレベルも百を超えてくるという中では公表しないと、とても対応できないだろうしね。一応これから日本へ戻って島長官に確認を取った後で発表の流れになるかな?」
「そうか、知っていしまった俺としては早速モンスターコアの摂取を試したいがお勧めはあるのか?」
「スライムとゴブリンは本当に有用なんだが、知っての通り低レベルモンスターだからな。もしかしたらもっと凄い効果のコアがあるのかもしれないんだ。俺が今は新規のコア摂取で能力が増えなくなってるから検証できないし、今後ドラゴン種とか現れた時にそれを摂取できれば、明らかに既存の能力より高くなる可能性が高いと思えるんだよね。俺はダンジョンボスのコア摂取をできるから問題ないけど、その辺りは考えるべきだと思うよ?」
「なるほどな……咲、君は勿論摂取してるんだよな?」
「はい。ゴブリンコアで身体能力強化を摂取して今の戦闘でレベル4の40パーセント能力アップになりました」
「40パーセントかそれはでかいな。インナー装備の効果も上乗せされるのか?」
「はい、元の数値に対してですが重複で効果はありますね」
「そうか、それならゴブリンでいいだろう。だがもう一つ確認しておきたい」
「なにを?」
「今TBだけが摂取しているボスドロップのコアを俺たちが摂取したらどうなるかだ?」
「ああ、それは当然思うだろうね。一応、俺が思ってるのは俺以外では違う系統のコアの効果が出ないし、実験してみるのはもったいないと思うんだけどね……」
「なるほどな、了解した」
「ポール、俺たちが発表するまでは秘密で頼むね」
「ああ」
◇◆◇◆
俺は咲と麗奈を連れてダンジョン転移で日本に戻り、ポールは他のメンバーを引き連れてTTへと向かった。
日本へ戻るとユミさんに連絡を取り、島長官との面談の約束を取り付けた。
「お久しぶりです長官」
「やあ久しぶりTB。しかし便利だねこの言語理解の魔石は。普通にTBと会話ができるとかびっくりだよ」
「うちの妹しか作ることが出来ないからそれなりに希少なんですけどね!」
「そういえば妹さんは、この魔石一つ一万円で売ってるらしいね? 安すぎないかい?」
「ほとんどDキューブ内部でしか流通させないし、付与バッグで一度に百個づつ作れるらしいですからね。無理に沢山納品しろとか言わない限りは気にしないんじゃないんですか?」
「そうか、それで今日の話はなんだったんだい?」
「ダンジョンの階層が全部そろってしまったことで、スタンピードも最前線で戦えるメンバーが日本では六か所に分かれて戦わないといけない状況です」
「そうだね。四十層のスタンピードではNDFとDキューブの合同部隊で対処は出来ていたみたいだが心配があるのかい?」
「今後の敵のレベルの上昇に、こちら側の成長が追い付かない可能性が高いですね」
「それは困るな……何か対抗策はあるのかい?」
「以前お伝えしたモンスターコアの摂取、この情報をオープンにしたいと思います」
「なるほど……私の判断では返事が出来ないから、総理に連絡を取って返事をしよう」
「はい、よろしくお願いします」
デビットとジェフリーにも連絡を取り、ブラック大統領にも確認を取ってもらった。
その後、藤堂首相とブラック大統領が確認を取り合い、発表に許可が出ることになった。
あくまでも自己責任であるが、この時点で世界中に一千万人近いスキル取得者がいるので世界中でダンジョン攻略は一気に進むはずだ。
「TB話がある」
「どうしたのジェフリー?」
「俺たちが松田と一緒にたてた仮説なんだが聞いてくれ」
「うん」
「第三段階以上の進化なんだが、おそらく同属の支配にあるんじゃないかと思う」
「どういうこと?」
「ゴブリン系統であればゴブリン系統の部下を何人抱えたかで三段階目以降のスキルが現れるんじゃないかってことだ」
「あ、なるほどね、それなら聖夜達が三段階目以降の進化をしていても不思議は無いのか」
「Dキューブの社員たちがどの系統の進化を選ぶかで、俺のスキルに三段階目が現れれば確定だな。けどねこの先もっと強い魔物があらわれるまでコアの取得を待つのもありだと思うんだよね」
「確かにそうだが、すぐに効果が表れる強さを見逃すのも難しい判断だよな」
「一応、可能性としてそういう考え方があることを、Dキューブ内では情報共有しておいてね?」
「了解だ。全員に連絡しておく」
その後一週間が経過した。
この情報が出回ったことで一番その実力を伸ばしたのはNDFの指令である斑鳩彩だった。
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