第122話 レイキャビクダンジョン
事務所で寛いでいると、ポールから連絡が入った。
『ボス、レイキャビクですが今は四班体制で二十四時間稼働していますので、後一週間はかからないと思います。明日、班の入れ替え便が横田から出ますけど一緒に来ませんか?』
『そっか、ちょっと早いけど行こうかな? ポールもあんまり休んでないだろ? 俺が着いたらイギリスで少しゆっくりしてきなよ。咲と麗奈も連れていくからメンバーは足りてるし』
『それは嬉しいですね。では待ってます』
ポールからの連絡を咲と麗奈にも伝えた。
「明日、横田からの便でレイキャビクに向かおうと思うけど大丈夫?」
「いきなりですね! でもマウスのコア飲みたいからちょっと嬉しいです」
「私もゴブリンの三段階目を確認したいから、麗奈と低層で狩りしてみます」
「咲、三段階目を狙うなら、低層階よりもホブゴブリンの出る八層より下がいいと思うよ。麗奈も七層からだとエレクトリックマウスが出るからそれなら、五百個も必要ないかもしれないしね」
「わっかりましたー。コア飲むときちょっと生臭いから数が少なくて済むなら助かります」
◇◆◇◆
翌朝、横田の飛行場に到着するとCNのマーとKRのキムも来ていた。
『マーもキムも久しぶりだね』
とチャットで送ると俺を抱いた麗奈のところにやって来た。
「俺たちは結構真面目に本部に顔出してるけどボスがほとんど顔を出さないだけだよ」
『それはあれだ……行く時間帯が違ってるだけだよきっと』
「それはいいけど、そろそろどの国もスタンピードの抑え込みには成功してるから復興支援の活動を始めてほしいって話をキムともしてたんだ」
『そうだね、その話し合いもそろそろ進めないとね』
「日本はボスが居るから、そこまでひどい被害があった場所って無いけど、ソウルや北京は都市機能を失ってるから、遷都を含めて考えないといけないんだ」
『なるほどね、でもその辺りは俺が一々は対応できないから、国として方針を決めてから、マー達みたいに株式の委任を受けてるメンバーが希望を出してくれないと進まないよね』
「今回のレイキャビクが終わったら一度本国に戻って、その辺りを国と話してくるよ」
『了解!』
マーとキムが入れ替えのメンバーを連れてレイキャビクダンジョンへと向かっていくと麗奈が話しかけてきた。
「社長、ダンジョンに行く前に先に観光していきませんか? 温泉! 凄い広いのがあるらしいですよ、しかも混浴!」
「マジか! 混浴って咲とか麗奈は気にならないの?」
「全然平気です! だって水着着用だから」
それを聞いて少しがっかりした……
「温泉行きたいけど、ポールが待ってるから俺たちもダンジョン向かうよ」
「えー、水着着用が駄目だったんですか? 社長」
「ちゃうわ!」
違わないけど……
「馬鹿なこと言ってないでさっさと行こうよ麗奈」
ダンジョンまで移動すると、俺は二十層にリフトで移動するけど、麗奈と咲は十層辺りで狩りをするそうだ。
コアを飲むから人が多い所だと都合が悪いから、人の少ないポイントを探すんだって。
二十層の神殿に到着すると丁度ポールがマーに引継ぎをしていた。
キムは四交代の別の班に入るらしくて取り敢えずはホテルに行ったそうだ。
「ポール、おつかれさん」
って言葉で言ったけど、普通に「ニャアニャニャニャ」としか聞こえない。
最近、麗奈や咲が常に言語理解の魔石を使うもんだからつい普通にしゃべっちゃうぜ。
「TB、俺はこのままマンチェスターに移動するが、ロンドンの情報を少し集めておくな」
『うん、わかった。ロンドンは近づきすぎないようにね。あいつらもかなり人数が増えてきたから何が起こるか解らないからね』
「了解だ。だがTB、あいつらデーモンキングアーミーの数が二千を突破したならこっちも使える数を二千名は用意したほうがいいんじゃないか?」
『うーん、それはイギリスのダンジョンアーミーの人数とDキューブの数を合わせたら数は十分だと思うよ。それよりもやっぱり質の高い戦力をそろえる方が大事だから、イギリスに帰ってる間はイギリスのダンジョンアーミーをしっかり鍛えてやってね』
「わかった。それじゃぁ後は任せたぞ」
『ってことでマーも頑張って狩りしてね。俺も二十一層はあんまり狩りしてないから頑張るからね!』
「任せろ」
ダンジョンも二十一層になると通常の敵でもそこそこは強い。
ダンジョン鋼の武器はほとんどその役目を終え、ダンジョン銅でなんとかダメージが入り、ミスリルだと普通に狩りが出来るって感じだね。
オリハルコンだとかなり楽だけど、この金属は本来はまだこの辺りでは出現する事のない金属だと思う。
恐らく通常ドロップ品として出現するようになると、その金属を使わないと狩りの効率が著しく下がるんだと思う。
五層でダンジョン鋼がドロップし始めた時には六層以降ではほぼ通常武器がその役目を終えたように。
それを裏付けるようにこの階層からはダンジョン銅がドロップし始めている。
この二十一層のフロアでの敵は、グループで現れるパターンが多い。
ゴブリンであればゴブリンリーダーにホブゴブリン、アーチャー、ヒーラーと言った変異体がチームで襲ってくる。
レベルが上がったことで知能がついている証拠だろう。
他にも小型の恐竜の様な姿のヴェラキーなどは一匹がおとりの様に見える場所で威嚇をしてくると、それに集中したハンターを、横合いから他の個体が襲うと言う戦略を立ててくる。
とても厄介だ。
現状は班で行動するDキューブか各国のダンジョンアーミーしか二十一層には降りてないので対処できているが民間探索者がこの階層に来るようになれば、事故は増えそうだな。
実際に攻略班でもポーションの仕様量が増えているので、この階層に来るパーティはポーションを惜しまず使える財力も必要になる。
俺にはあまり関係ないけどね。
狩りを続けて二時間ほどたったころに久しぶりの宝箱が出た。
罠も無いようなので早速開けるとスキルオーブが入っていた。
迷わず身につけると【光魔法】だった。
(欲しいと思ってた属性が手に入ったな。これでエンチャントの幅が広がるぜ)
マー達の狩りを確認すると、そこそこ対処できていたので『ちょっと咲たちの所に行ってくる』とマーに連絡してから十層に移動した。
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