第121話 CEOと副社長の話

 みんなで昼ご飯を頂いて、俺たちはDキューブの事務所へと戻った。

 俺にも出前の特上うな重がが出されて、食べれるのか? と一瞬思ったがチャレンジしてみたら以外に普通に食べることが出来た。


 口は小さいけど噛む力とか十分すぎるほど強いし、これからはみんなと同じものを食べても大丈夫かな?


「社長、アイスランドはいつから行くんですか?」

「麗奈と咲が用事がないなら明日くらいから行ってもいいけどね」


「そうですね、今は代々木に限らず日本国内のダンジョンだと人が多すぎてあまり狩りがはかどらないですから、行きましょうか」

「ねー咲、それって最下層の二十一層でもそうだって事?」


「彩さんの所のメンバーが凄く頑張ってるから、最下層でも二十四時間どこかの班が居る状態だよ」

「そうなんだぁ、でも二十四時間NDFが居ると一般の探索者が狩りできないんじゃないの?」


「TB、一般探索者は最前線でもせいぜい十五層までしか行けてないよ。装備が全く違うし、とても一般探索者には手が出せないから無理だよ」

「あー、そうだったんだな。俺が普段うちの社員たちしか見ないから全然、一般探索者の基準が解ってなかった」


「洋子さんと穂南ちゃんでも国内の一般探索者では、ほぼトップですから」

「そうなんだ、お袋も頑張ってるんだな」


「洋子さんたちは装備がNDFのトップよりも性能が高いの使ってるけどね……」

「そう言えばさ、最近俺属性魔石とか全然作ってないけど魔道砲用の属性魔石とか数足りてんの?」


「それは、社長が結構たくさん付与バッグ作ってくれたでしょ? 彩さんの所で各属性持ちの隊員が、ずっとローテーションで作ってますよ」

「そうなんだ、でも付与って結構MP食うだろ?」


「ほら、それも社長の見つけた緑ポーション同梱方でクリアできますから」

「あーそうだったね。俺自身がMP切れになることないから、すっかり忘れてた」


「NDFのメインの収入源になってますからね。世界中に売りつけてますから」

「そうなんだ、NDFの収入源が有るのはいい事だろうな」


「トップチームのドロップのポーションとかも全部収入になるから、組織としては結構やっていけてるみたいですね。今度、きちんと予算計上して鑑定スマホを各部隊長の分頼みたいと言ってましたよ」

「そうなんだ、武器は良いのかな? 二十層を超えるとミスリルがメインじゃないと効率が悪いんじゃないかな?」


「そう、それですね。ミスリルを結構大量に仕入れたそうですよ?」

「えっどこから?」


「ロンドンだそうです」

「ってことは当然聖夜からか?」


「そうでしょうね。ユミさんがロンドンに派遣されたのは聞いてますよね?」

「うん」


「その時にミスリルとポーションの大量購入を持ち掛けられて、裏社会に流されるくらいなら、買い取った方がいいと判断したようです」

「そうなんだ。聖夜たちどうしたいんだろうな?」


「悪い人じゃなかったと思うんですけどね」

「俺もそう思うんだけど、もう少し話をしてみてもよかったかな? って思ってる」


「えっ? そう言えば詳しくは私たちなにも聞いてなかったですけど、あの時何があったんですか?」

「ダンジョン協会の会長がエリクサーとか治験で使ったって言って返さなかっただろ?」


「はい」

「それをAEに売ったんだ五千五百万ドルで。でもお金はもらったけど、エリクサーは購入先、今更だけどアシュラフさんには渡らなかった。それで太田協会長は殺された。恐らくアシュラフさん関係の特殊部隊とかの人だろうね」


「アシュラフさん普段は凄い優しそうなパパなのに、怖い時もあるんですね」

「目には目をの国だから」


「それで、アシュラフさんに渡らなかった理由は、太田協会長がエリクサーを盗まれたからなんだけど、その犯人が聖夜とエミだったんだ」

「ええええ、そうなんですか? でもどうやって?」


「そこらへんから先は聞けてないからわからないけど、太田協会長の事を嫌いだったのは本当なんだろうって思う」

「でも、その辺りの感情を利用して、この状況に持っていこうとしたのは、恐らく……行方不明になった英国の二人だったのかもって今は思ってる」


「英国の二人って確かハリーとジョンでしたっけ?」

「そうそう、恐らくスパイ同士の情報戦みたいなので、嵌められちゃったんだろうな。六十億円が餌だと聖夜とエミも食いついちゃったんだと思う」


「そうだったんだ」

「聖夜もエミも公安辞めて俺たちの仲間にでもなってれば、六十億くらい盗まなくても稼げるようになったのにね」


「そんなに? ですか?」

「咲、咲も今じゃDキューブの副社長だし麗奈とも相談して収入は麗奈と同額にしてあるから、俺の稼ぎっていうかDキューブの利益の十パーセントを二人で半分ずつなんだぞ? どれくらいか分かる?」


「この間決算書回って来てましたね、確か純利益が一兆円くらいだったかな……って、ええええええええええええまさか十パーセントの一千億円の半分なんですか?」

「うん。そうだね。税金凄い額になるから気を付けてね」


「麗奈は知ってたの?」

「当然だよ私はCEOだから!」


「その金額知ってて平然とできる女子大生って……麗奈って凄い大物だね」

「でしょ? そんなにあってもしょうがないから、ダンジョン被害復興支援の基金を今作ってる所だよ」


「私もそれに協力するよ。何かあったら困るから手元に十億円くらい置いて全額基金に供託させて」

「四百九十億円?」


「うん、あ、税金分残してなきゃダメ?」

「税金は今回の基金だと、供託した分は非課税になるはずだよ。総務省から来てる沢さんっているじゃん。その人と話を進めてるから」


「それじゃぁさっきの金額でいいよ」

「えー私四百五十億円にしたから金額そろえようよ。私の方が少ないと何かケチみたいじゃん」


「まあいっか。じゃぁそういう事で」


 女子大生の会話と思えない金銭感覚だな……

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