第117話 コア飲んでみた

 ダンジョンには深夜に行くことにして、下のリビングに降りていくと修三祖父ちゃんが祖母ちゃんと一緒に帰って来た。


「祖父ちゃんお帰り!」


 と言ったが「ニャンニャニャ」としか聞こえない……

 

 でも「おおTBか今回も無事で何よりじゃ」とほとんど普通に会話は成り立った。

 俺の周りの人は適応能力高いぜ!

 

 言語理解の魔石を渡して、今日の本部での話を祖父ちゃんとする事にした。


「という事は福岡の復興をDキューブで行うって事じゃな? それはわしとしても是非取り組んで欲しいぞ。ずっと福岡の街で暮らしてきたからな、あの町に恩返しをするつもりで取り組みたい」

「そっか、早速だけど明日から状況の確認に一度福岡行きたいけど、祖父ちゃんも大丈夫?」


「婆さんも一緒に行っていいのか?」

「勿論だよ穂南とお袋も一緒に行くから、今回は家族だけで行こうと思う」


「そうか、たまにはそれもいいな」

「祖父ちゃんは学校の件も受けたんだろ?」


「そうじゃな、若いもんたちを育てるのは年寄りの仕事だろ?」

「祖父ちゃん、見た目だけならもうそんなに年寄りでもないけどな」


 祖父ちゃんとの話も終わり夜まで穂南のベッドで一眠りした。

 勿論、穂南の胸を枕にしてね!


 夜の一時を回ったころに咲たちと合流してダンジョンに向かった。

 二層辺りだと深夜は全然人がいない。


 お金稼ぎに潜る人は五層から下にしか行かないし、単純にステータスアップを狙う人は深夜は来ないからね。


「咲も彩も気持ちの準備はいいかい? まだ、確認を取ってるわけじゃないんだけどモンスターコアを飲んじゃうと、もし死んだときに死体が残らない可能性が高いけど、それも納得できる?」

「うん、大丈夫」


「私もとっくに覚悟はできてる。いろんな理由はあるけど日本のダンジョン防衛を任せられた立場として、強くなるためには何でも利用するって決めたんだから、そこを妥協したり遠慮したりすると上田二佐のような無駄な犠牲者を出してしまうから」

「強いな、彩は」


「でも本当はそう言ってしまわないとTBが用意してくれる装備なんか、まともに買おうと思ったらとても手が出ないし、私が女の魅力でTBに貢がせる手段だから安心して!」

「開き直ったな! 頑張ってもう少しおっぱい育てろ」


 ノリでそう言うと、彩の背後に般若の様なオーラが立ち上って見えたぜ……

 この話題は触れないようにしよう……


 二層の奥の方で咲がゴブリンを倒して喉ぼとけの位置にあるモンスターコアを取り出すと目を瞑って飲み込んだ。

 一瞬黒い霧に包まれて霧が晴れた後には無事に人の姿の咲が居た。


 大丈夫だと分ってはいても、その瞬間は一瞬心配になる。


「どう? ちゃんと覚えられた?」

「うん、大丈夫。凄いね。はっきりと力が湧いてくる感じが解るよ」


「一応だけど、ゴブリンコアは二百個でDEX強化が身につくから、刀の扱いがさらに上手くできるようになるよ」

「二百個ね、今日中に行けるかな?」


「人目につかないように頑張ってね」


 続いて彩の番だ。

 彩も一撃でゴブリンを倒すとアイミーナイフで喉を切り裂いてモンスターコアを取り出して躊躇せずに飲み込んだ。


「本当、凄いわね。ランキングでだいぶ咲と麗奈に置いて行かれちゃったから、頑張って追いつかなくちゃね」

「二人ともここでしばらく狩りを続けてて、俺は麗奈と二人で五層に行ってくるから、マウスは五層まで行かないと居ないしね」


「分かったわ、五層は人がここよりは多いから気を付けてね」

「うん、じゃあ行ってくるね」


 俺は麗奈と二人で一度一層に上がってから、リフトで五層に向かった。


「麗奈、覚悟は良いか?」

「今更ですよ社長。さっさと終わらせましょう」


 俺がエアカッターでポイズンマウスを狩って麗奈にコアを飲み込ませた。


「社長! 無事に能力身につきました」

「麗奈、目標の雷魔法までは五百個のコア飲まないといけないから頑張れよ。でもここだと目立つからできれば海外でやったほうがいいかもな」


「レイキャビクに行ってから集中的にやります」

「いいけど、他のメンバーにも内緒だから気を付けてね」


「大丈夫です、きっと」


 それから二階に咲と彩を迎えに行って帰宅した。


「俺は明日から祖父ちゃんたちと福岡行ってくるから、みんな無理しないようにしてね」

「家族旅行とかちょっとうらやましいです。私も明日は実家に帰って少し親孝行でもしてきます」


「そう言えば麗奈の実家って古武術道場って言ってたよな?」

「はい、そうですよ」


「実力ってやっぱり凄い?」

「うーん、どうなんでしょうね。社長と代々木の十一層に閉じ込められるまでは、お祖父ちゃんには全く敵わなかったですけど、今は勝とうと思えば勝てますね」


「まあ麗奈は一応人類最強だから」

「あ、そう言えばそうなんですね……社長と一緒に居ると全然そんな気がしなかったです」


「古武術ってどんなことするの?」

「うちは特殊で何でもって感じですね。体術もありますけど弓とか薙刀とかもあります。お爺ちゃんが酔っぱらうと『相手を殺していいならうちが最強だ』って言ってますから」


「アブねぇな……近寄らないようにしよう」

「お祖父ちゃん以外は普通だから大丈夫です」


 麗奈たちと別れると再び穂南の布団に潜り込んで、穂南の胸を枕に眠りについた。

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