第116話 コアの摂取どうする?

 Dキューブ本社での話が終わり麗奈と家に戻った。

 咲も代々木の二十一層から帰って来ていて彩が一緒に遊びに来ていた。


「咲も彩も久しぶり!」


 って言ったが「ニャニャニャニャー」って音が流れただけだった。

 麗奈が突っ込んでくる。


「社長、言語理解の魔石使ってるの私だけだし、きっと私と穂南ちゃん以外は伝わらないよ?」


 でも咲と彩は違った。


「TBは咲と彩、久しぶりって言ったんだよね?」

「えー咲も彩さんもなんで分かるの? 穂南ちゃんと同じスキル手に入れた?」


「違うよ、以心伝心って感じだよ」

「私の方が一緒に居る時間長いのに」


「TBの表情とか見てたら自然と分かるようになるって、きっと洋子さんも大体わかるはずだよ?」

「え? そうなんですか洋子さん」


「そうねー進の言ってる事は大体わかるわよ」

「凄いです。私ももっと頑張らなくちゃ」


 麗奈がそう言うと穂南が理由を教えてくれた。


「あのね麗奈さん。お兄ちゃん基本、麗奈さんが抱っこしてるから、あまり表情見ないからじゃないかな? お兄ちゃんおっぱい大好きだから麗奈さんの胸に抱かれてるとほとんど目を閉じてるからね。他の人はお兄ちゃんの表情を見ながら普段からチャットしたりしてるから、大体分かるようになるんだよ。それに麗奈さんが使う分の言語理解の魔石は常に用意してあるんだし問題ないじゃん」

「そっか。社長に飽きられないようにもっとケアしなきゃいけないね」


 そう言って自分の胸を持ち上げた。


「麗奈……キャラ変わって来てない?」

「そんな事無いよ、私は最初から社長が超好きだし、こんなこと言うの社長の前だけだから」


「でも麗奈さん、お兄ちゃんがもし人間の姿に戻ったら結構びっくりするかもだよ?」

「なんで?」


「こんな可愛くなくてガチムチだし」

「えー太ってたりヒョロガリよりはいいじゃん。でも社長はやっぱりこの姿がいいかも」


 それってガチムチも嫌ってことなのか?


「てか、お爺ちゃんまだ帰ってないのか?」

「あ、お爺ちゃん今日はお婆ちゃんとご飯食べてから帰ってくるって言ってたからもう少し遅くなるかも」


「そっか、そう言えば彩は何か用があったの?」


 って聞いたけど、さすがにそれは伝わらなかったから、穂南に咲と彩の言語理解の魔石を出してもらった。


「うん、下着を大量に持ってきたから、TBにお願いしたくて。今は二枚ずつしか持ってないから作戦行動に入ると着替えが無くて困るんだよ」

「あー大丈夫。じゃぁ今からやるから貸して!」


 彩が大量の下着を渡してきたので、一通りの付与をしてから渡す。


「ありがとうTB。そう言えばあれから異次元ボックスのレベルは上がらないの?」

「そうだな、そろそろ上がってもよさそうだけど、まだレベル6だね」


「次は何が出来るようになるのかな?」

「どうだろうね、上がってみてからのお楽しみってことで!」


 咲が話しかけてきた。


「ねえTB、ちょっと彩さんと麗奈と私の三人だけでTBと話したいけど大丈夫?」

「うんいいよ」


 三人と俺で麗奈の部屋に上がって行った。


「このメンバーって事はモンスターコアの話?」

「うん。彩さんは知っててもらった方がいいと思って呼んだの。一応まだ内容は話してないよ」


「そうだね。彩はこの国を守って行かなきゃならない立場だし、少しでも強くなれるなら積極的に取り組んだ方がいいと思う」

「ちょっとTB、今の話ってどういう事?」


「そのまんまだよ、一応、島長官には報告したんだけど、モンスターコアの摂取はスキル保持者が行った場合モンスターに変異しないんだ」

「それ凄い情報ね一気に能力が高められるじゃない」


「でも一応、今はまだ表に出さない方がいい。覚えられるスキルも俺みたいに万能的ではないから、系統を決めて覚える感じだしね」

「なんでそんなことわかったの? まさか人体実験でもしたの?」


「うーん……ある意味そうなんだけど、元は聖夜とエミがモンスターに変異しても自我を失ってないのは知ってるよね」

「そうだね、その情報は一応聞いてるわ」


「それで思ったんだけど、スキル所持者がモンスターコアの接種をした場合、モンスターへの見た目の変化すらしないんじゃないかと思って、アメリカのジェフリーとデビットに相談してみたんだ。彼らなら秘密は守ってくれそうだったから」

「で、実験は成功したのね」


「うん。今は松田もスライムコアを飲んでるから、ここにいるメンバー以外だと、総理と島官房長官、それにアメリカ大統領とジェフリー、デビットだけが知っている」

「松田君もなの?」


「そうだよ。奴は彩に差をつけられないように必死なんだよ。ちょっと変態だが」

「なんで私との差を気にするの? もう【DFT】の部長さんなんだし、私より全然稼ぎもいいでしょ?」


「まあ一応あれだ。憧れてたからね、俺も松田も同じ歳でキャリア自衛官、そんな華奢な身体でレンジャー徽章を持つガチムチの俺たちよりも圧倒的に強かった彩にね」

「へーそうだったんだ、でも松田君は別としてTBにはもう逆立ちしたってかなわないけどね」


「その話はこの辺で終わり! 本題に入ろう。それで飲みたいコアは決まったの?」

「私は剣を極めたいし、やっぱりゴブリンコアにするよ」


「彩は希望はあるのか?」

「そうね身体強化は魅力だよね魔法はTBの作ってくれる武器次第である程度対応できるから、私もゴブリンでお願い」


「社長、私はマウス系に決めました。ランク2で覚える雷魔法は魅力ですから。毒爪も地味に効果高そうだし毒耐性が一緒につくのも魅力です」

「いい選択だと思う。MPの伸びもいいしね。一番便利なのはスライムで間違いないけど、これだけは女性には薦められないからしょうがないね。ああ、後、原因不明のトイレの溶解事件とか起きたら松田逮捕していいからね。一応ダンジョンと溶解液対応トイレ以外では小便するなとは言ってあるけど、奴はやらかしそうだから」


「それって結構つらいよね」

「能力を身につけるってことは、責任も一緒に背負いこむってことだと思うんだ。だから俺も頑張ってるし」


「へー進も、かっこいい事言うようになったじゃん」

「進って言うなし」


「ん-なんか社長と彩さんがラブコメっぽい会話してるとジェラっちゃいます」

「なんだかんだ言って、俺は麗奈も咲も大事な人だと思ってるから安心しろ。どうせ子猫だから誰とも結婚とかできないし!」

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