第114話 冒険者育成学校?

「ボス、次はIS(アイスランドですよね)」

「うん、またボス部屋が出現するまではポールたちに任すことになるけどね」


「それまでは、日本でいいんですか?」

「そうだね、代々木で色々研究しなくちゃいけないからね」


「了解です。早く帰りましょう」


 俺たちはポートビラの空港からDキューブの専用機で日本へと戻った。

 飛行機の中で鮎川さんとユミさんに話しかける。

 言語理解の魔石が、まだ効果が持続してるから今のうちに話さないとね!


「今日でマスターランクが4になって、捩ダンジョン発生国までの指定転移が出来るようになったから、恐らくあと二段階マスターランクが6になれば六次ダンジョン発生国まで転移できるようになるはずなんだ。」

「そうなんですか? それなら東京やロンドンも自由に移動できますね」


「うん。だからマスターランク6になればロンドンのことも取り組もうと思う」

「そうなんですね……エミと聖夜の目的ってなんなのかな?」


「本人に聞かなきゃ分からないけど、今はロンドンダンジョンを抑え込んでくれてるのも事実だしね」

「でも、その代償に国際都市ロンドンを丸ごと手に入れてる状況は、やはりおかしいと思います。ボスが東京丸ごと支配してると思ったらその異常さは分かりますよね?」


「確かにそうだね。でもその辺りは国の上層部が判断する事で、俺が判断するべきじゃないかな」

「へー、ボスって目的はあるんですか?」


「どうだろう? 穂南とお袋さえ守れたらそれで十分かな? 子猫だし」

「人間に戻れないんですか?」


「わかんない」


 ユミさんたちと話しながら俺なりに考えてみたけど、俺の人としての身体はとっくに火葬されているし、やっぱりどう考えても人間には戻れそうにないよな。


 横田につくと麗奈が迎えに来ていた。

 咲は彩と一緒に代々木の二十一層に行ってるそうだ。


「社長ー私たち行くまで待ってくれなかったんですね。シクシク」

「麗奈、セリフが棒読みすぎだ」


「だって今回初めてじゃないですか、ボス部屋に行かなかったの」

「そういえばそうだな。でも今回はマジで麗奈に居てほしかった」


「そうでしょ! 次からはちゃんと待っててくださいね。でもポートビラでなんかあったんですか?」

「ボスが人食い人種のゾンビだった」


「それかなり気持ち悪そうですね」

「今度、ポートビラの二十層にでも見学に行けばいいと思う」


「嫌です」


「冗談は別として、まだボス戦では鮎川さんとユミさんだと事故が起こる可能性があるから咲と麗奈に頼むよ。ボスのステータスが高いと鑑定の写真撮るだけでも一苦労だったし」


 俺が麗奈と話してるとユミさんが少し落ち込んでた。


「ユミさんも鮎川さんも戦闘以外のサポートだと麗奈より全然信頼できるから大丈夫!」


 とフォローはしておいた。

 

 鮎川さんとユミさんはダンジョン省に向かい、俺は麗奈に連れられて自宅に戻るとお袋と穂南が家にいた。


「お兄ちゃんおかえりー」


 穂南が抱きかかえてくれる。

 また一段と育ったか?


 続いて、お袋が話しかけてきた。


「TB、後でおじいちゃんからも話があると思うんだけど、Dキューブが主体となってね冒険者を育成する学校を作らないかって話がダンジョン省から来てるんだけど、どう思う?」

「あー、それは良いんじゃないかな? でも彩の【NDF】じゃなくてDキューブに話が来たのはなんで?」


「受け入れ先が日本だけじゃなくて世界中からにするそうだよ? うちだと既に世界中から人員受け入れてるからサポートとかし易いからとか言ってたけどね」

「爺ちゃんからって言うのはなんか意味があるの?」


「爺ちゃんにそこの校長先生やって欲しいんだって」

「なんか凄いな爺ちゃん。それで爺ちゃんは乗り気なの?」


「みたいね」

「ふーん。爺ちゃんがやる気あるならいいんじゃない? うちの攻略メンバー鍛えるのにも一番熱心だし向いてると思うよ」


「お兄ちゃん今度はどれくらいいれるの?」

「ISのレイキャビクダンジョンのボスが出るまでは居るから二週間くらいかな。最近はポールが頑張ってくれてるから助かるよ」


「じゃぁさその間に一度福岡に行きたいけどいいかな?」

「福岡って爺ちゃんの家?」


「うんお爺ちゃんたちもアシュラフさんのとこに避難してから一度も帰ってないから心配だと思うんだよね。色々忙しくなって帰りたくても帰れないみたいだしお兄ちゃんが一緒に福岡の調査とか仕事作れば、お爺ちゃんも気兼ねせずに付いて行けると思うし」

「そっか、穂南優しいな。お爺ちゃんが帰ってきたら話してみるよ。俺はちょっと【DFT】の松田の所に寄って、その後は本部に行ってくるから続きは夕方だな」


「うん、車に気を付けてね」


 穂南から麗奈に手渡されて【DFT】に向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る