第111話 新たな異次元ボックス所持者

 俺はスライム系の進化をしてもらう誰か信用できる人って、誰が良いだろ? と考えていた。


 トイレ問題がある以上、女性は選択肢から外れる。

 後は…… 小用を済ませた後で、完全に小便が出てしまう訳では無いから、下着やズボンの被害は必ず起きそうだ……

 自分の身体に関しては、俺自身で体験済みだが毛が禿げたりしてないので、耐性があると思って問題無いだろう。


 あっ。

 不溶性繊維は作れるか? それでボクサーブリーフみたいな、完全に漏れを防げる下着にすれば、良さそうだ。


 使用者の生活環境も、不溶性のトイレを完備できる環境に生活できる人物に限定すれば、無理では無いな。


 そこまで考えると、候補者が二名思い浮かんだ。

 一人は昨日一緒に来て貰った、デビット。

 彼は、秘密を理解してるし、問題無い筈だ。

 そしてもう一人は、DFTの松田だ。


 奴もスキル保持者であるし、置かれている立場からも俺との関係性からも、機密保持と実験を行う上でのアイテムの入手などで非常に有利な立場にある。


 よし、先に文部科学省出身の浅田さんに連絡を取り、不溶性ボクサーブリーフを作った後で、話をしよう。


 ◇◆◇◆ 


「ボス。このパンツって何に使うんですか?」

『内緒』


「溶けないパンツが必要な要素なんて、想像がつかないですね……」

『そのうち教えるかも知れないけど、内容的には国家機密になるから、知らない方が幸せかもしれないよ?』


「私達がこの会社で取り組んでる事の99%が機密案件ですし今更ですよ」

『そう言われたらそうだね。でも一応まだ島長官との約束があるから内緒!』


「解りました。言える時期が来たら教えてくださいね」


 ◇◆◇◆ 


 必要なパンツを手に入れた俺は、ジェフリーとデビットの二人と、DFTの松田を呼び出した。


 大学じゃない元々の事務所の方だ。


「どうしたんだTB?」

『まずは、この魔石を使ってくれ。言語理解の魔石だ使用後二十四時間は俺と普通に会話が出来る』


「なんだって? TBと喋れるのか? 便利だな」


 この言語理解のアイテムは、穂南に付与バッグを渡して作って貰った。

 やっぱりチャットだけだと不便だし、こういう会議の時に使えればとても便利だしね。

 使用言語も関係無くなるから、俺とブラック大統領やアシュラフさんとの間でも普通に会話が出来るようになるのは、とても価値が高いと思うので、穂南に暇な時に出来るだけ作っておくように頼んだ。


「普通に会話が出来るって、こんなに楽なんだな! でもきっと魔石を使って無い人から見ると、俺は『ニャンニャン』言ってるだけにしか聞こえないだろうけど……」

「そうだろうな……で、要件は何だったんだ?」


「ああ。松田とデビットの二人に、異次元ボックスを習得して貰おうと思う」

「「「何だって?」」」


「溶解液の問題は大丈夫なのか?」

「溶けないパンツを用意した。これを履いて貰う事と、行動範囲内のトイレを非溶解性のトイレに改装してもらう必要はあるが、それ以外は問題が無さそうだからな」


「MPの問題が発生するし、異次元ボックスのレベル上げの問題もあるから、すぐに何でも出来るとは言わないが、解る範囲内で質問には答える事が出来るし、他の人間には当面秘密にしてもらう」

「解った」


 その後で、すぐに代々木一層に向かい、二人に百一個ずつのスライムコアを飲んで貰った。

 コアは、俺は体験済みだが体内に吸収されると消えるみたいで、腹が膨れるような事は無い。


「それじゃ二人とも色々実験してみて使い道を考えてくれ。俺が楽を出来るようにね!」

「ありがとうTB。この力を役立てれるように頑張る」


「松田も、異次元ボックスのレベル上げるには、狩りもしなくちゃいけないからな?」

「時間がいくらあっても足りねえな」


「なぁTB」

「どうしたジェフリー」


「この異次元ボックスの取得方法は、俺はやっぱり秘密にするべきだと思う。色々な問題が多すぎる」

「そうか……まぁ、当面はこの二人以上に増やそうとも思って無いし、その辺りは任せるさ」


「俺達はスキルのレベルを上げたいから代々木に籠る事にするよ」

「頑張れ!」


「松田はその能力を生かして、民間探索者が出来るだけ安全に狩りが出来るように、よろしく頼むな」

「ああ。一つ聞いていいか?」


「なんだ?」

「溶解液で、俺の余った皮が溶けて消えてくれるとか無いのか?」


「馬鹿か? 自分の身体は溶けないみたいだ。お前にはシリアスな瞬間とか存在しないのかよ」

「大事な事だろ?」


「チンカスは溜まらない筈だ!」

「それは助かるぜ」


 ◇◆◇◆ 


『彩。二十一層がそろそろ現れるが迎撃態勢は大丈夫か?』

『今回も麗奈と修三さんが来て貰えるでしょ? 魔導砲も各ダンジョンに五台ずつは設置が完了してあるから、スタンピードも対処出来ると思うし、一層の内部での迎撃が一番被害が少なくなるのも検証できているから、心配はないわ』


『そうか。じゃぁ頼むよ。俺はVUに行って、そこから転移しながら協力をする事にするからね』


 翌朝、咲と麗奈と三人でVUに向かって飛び立った。

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