第104話 NDFでのお話
松田が帰った後は、麗奈が予定を伝えて来た。
「社長。今日はこの後ですね。一度NDFの本部で島長官と彩さんとの打ち合わせです。その後はDキューブの本部って言うか大学の敷地で全員揃って顔合わせですね」
『全員って一体どれだけいるの?』
「えーと今日現在で海外から1248名と国内がNDFから12名と、私と咲、修三さんと洋子さんと社長で1265名が総員ですね」
『ちょっ……そんなに顔覚える自信ないぞ。アフリカ大陸からのメンバーなんてみんな同じ顔にしか見えない自信ある』
「大丈夫ですよ。私もそうですから」
『どこが大丈夫なのか意味わからねぇ』
「全員での顔合わせが終わった後は、主に事務方になるダンジョン省からの出向メンバーと今後のDキューブの活動についてのミーティングですね」
『あーなんか凄いめんどくさそうだね。全部麗奈と咲でいいじゃん』
「そんなの私が決めれるわけないじゃないですか」
『まぁしょうが無いか』
「ねぇTB」
『咲。どうしたの?』
「昨日ね、麗奈とも話したんだけど、基本的に私と麗奈が常に社長と一緒に行動すると、こっちの本部の事とかが進みにくかったり、NDFとの連携の面とかで困る事があるから、麗奈が一応CEOだし基本本部に居て貰おうと思うんだけどどうかな?」
『あー。そうだね。現場組は祖父ちゃんも居るし基本それでいいんじゃないかな?』
「ステータスが見劣りしないように、代々木には暇がある限り潜るようにしますから」
『麗奈。無理をしちゃだめだよ?』
「大丈夫ですよ。基本彩さんの所と協力していく形にしますし、Dキューブのメンバーだけでも実働部隊は数が多すぎるから、社長と行動するメンバーは常時八十名程度にして、残りは代々木での訓練が主になりますから」
『そっか』
◇◆◇◆
「TB。無事に戻って来れて何よりだ」
『お久しぶりです島長官』
NDFの本部に行くと彩が出迎えてくれて、久しぶりに抱っこしてくれた。
相変わらず胸が薄いぞ。
「TB。ちょっと色々確認したい事があるから、今日はよろしくね」
『OK彩ちゃん。何を確認したいの?』
「私が確認したいのは主にダンジョンランキングの事なんだけど、その前に島長官の方の確認事項を聞いてあげて」
『了解。島長官はどんな事を確認されたいんですか?』
「現状TB達がダンジョンのスタンピードを止める手段として、ダンジョンの攻略をしているだろ?」
『そうですね』
「日本のダンジョンはいつになったら、スタンピードの危機にさらされないようになるのかと言う問題だな」
『順番的に行くと、後三年くらいは代々木に辿り着かないですね』
「今回のTBの用意してくれた迎撃用の武器などは、この先もずっと有効だと言えるのですか?」
『いえ、精々四十層くらいまでのスタンピードにしか対応できないと思います』
「それだと、やはり人口大国ではダンジョンの現れた都市は、原則的に放棄しないと難しいという見解かな?」
『その辺りは俺には判断できません。出来る事をやっていくだけですね。武器も階層が進んでいく頃にはそれなりに性能の優れたものを、開発できる可能性もありますけど、問題は、今の現状だと俺にしか出来ない状態と言う事なんですよね』
「そうですね。ずばり聞くとしてTBはモンスターコアの摂取によってその能力を身につけたで間違いないのですか?」
『今更隠しようのない部分ですけどその通りです。恐らくロンドンで活動している筈の聖夜とエミも同じようにして能力を高めているでしょう。でも彼らは恐らく魔物化している筈です。それを承知の上で取り組もうとか言うのは無理ですよね?』
「よほど強い信念を持って、その選択をしたのでなければ、変異をしたとしても国の都合に合わせた行動は出来ないでしょうから無理ですね。確実に人間に戻れる方法でもあるのならまた話は別ですが」
『そんな方法が有るなら俺も知りたいです』
手段としては解っても出来ない選択だよね?
『彩はダンジョンランキングって言ってたけど何を聞きたいの?』
「私は、今までと変わらないペースで狩は続けてるんだけど、ランキングが一桁から今は五十位まで下がっちゃったんだよね。それってみんなDキューブのメンバーなのかなって?」
『そうだねぇうちで五十位以内だと、十二人くらいかな?』
「それじゃぁ他は、ロンドンの勢力って事?」
『恐らくね。俺達もそうだけど狩に費やす時間が全然違うから…… 聖夜達とか恐らく魔物だし、ずっとダンジョン内で行動してるんじゃないかな? でも今はさ、別にランキングが高いからってそれによって特典がある訳じゃないし、気にしなくてもよくない?』
「うーん。なんだかね。予感って言うかランキングが意味なく存在してる訳じゃないと思うんだよね。この先の最終的な攻略とかの段階になると、それによって身に就く特殊スキルだったりそもそもランキング上位じゃないと挑戦すらできない情況が出てきたりするんじゃないかと思って」
『そっか。でもさ彩は日本の人達を守る事に集中してていいんじゃない? もしそんな状況があるんだとしたら、俺が彩の替りに頑張るし、麗奈や咲もいるんだから大丈夫だよ』
「TBがそう言ってくれるのは嬉しいけど、NDFの実働部隊を預かる立場として民間の咲ちゃん達に任せっきりになるのはやっぱり避けたいんだよね」
『でもさ今の麗奈のステータス合計とか3000ポイント超えてるよ?』
「えっ? そんなに凄いの? 私でも精々1200ポイントくらいだよ……」
『ダンジョンの攻略なんてしてるとラスボスの経験値とか大きいからね』
「そうなんだね」
『麗奈はしばらくはDキューブ関連の事に集中して貰うから攻略からは抜けるんだけどね』
「そうなんだぁ」
『彩たちは国外の活動は基本出来ないんだし、その辺りの制度が変わらないとしょうが無いんじゃないかな』
「そうかも知れないわね。TB。私達に出来ない部分の事を色々頼んじゃうけど頑張ってね」
『うん。まぁ出来る範囲で頑張るよ』
「TB。日本としても世界平和という観点から協力できることは出来る限りさせて貰うから頼むな」
『島長官。ダンジョンのスタンピードの危険性がなくなった国から、順に復興に取り組むための組織とか、作れないんですか』
「そうですね。それはぜひ取り組みたいんですが、現状ではまだ大国程ダンジョンの危機から、逃れられずにいるので自国の事を後回しに他国の支援を行う事を、納税者たる国民の皆さんへ納得してもらうのは、どこの国でも難しいと思います」
『そうなんですね……』
「その辺りの事も含めて、一般企業の形であるDキューブでなら、ある程度の道筋を立てれるのではないかと期待しています。ダンジョン省からの出向メンバーもその辺りの事をより公平に取り組めるような人選をしてありますので」
『解りました。うちのメンバーとも話し合って少しでも人の役に立てるように頑張りますね』
「よろしくお願いしますTB」
『でも。俺、子猫だからあんまりあてに出来ないかもしれませんよ!』
国と言う枠組みがあると、何かと不便だなぁと思ったよ。
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