第87話 二次ダンジョン十層スタンピード

 麗奈達が各自の国へ一時帰国をして、俺はサンゴ礁に囲まれた島で大量にたまっているアイテム類の合成を行いながら過ごしていた。


 エスケープのマジックアイテムなんかは絶対に必要だと思うし、ボス戦での被害が大幅に低減できると思う。

 

 ミスリルやオリハルコンもこの機会にしっかりと作りだめをしておかないとね。

 高ランクポーションやエリクサーも在庫を大幅に増やして置く。


 俺が今身につけておきたい攻撃方法は属性魔法なんだけど、一般モンスターからの融合が出来なくなった今の俺だと、運頼みになるのはしょうがないのかな?


 そう思っていたがトリトンが話し掛けて来た。

『マスター、私達眷属の能力はマスターも使える筈だよ? マスターカードを確認してみたら?』

『えーマジ? それ超便利じゃん。じゃぁ俺がジャックの闇魔法とか、トリトンの水魔法を使えるの?』


『んー。付与は出来るって感じかな?』

『なるほどねー。それだけでも全然使い道が広がるよ』


 トリトンからのアドバイスで他属性の付与も可能になる道筋が見えて一気に楽になったな。


 早速オリハルコンのダガーに闇属性を付与してみた。

 そう言えば作成LV2になってるから、二属性の付与って出来ないかな? と思って、雷属性も付与してみる。

 

 成功した!

 オリハルコンダークサンダーダガー

 これはかなり高性能だな。

 

 それからランスやアローなどを作りためて、スタンピードに向けた備えも万全に整って来た。


 そうやって過ごしていると、鮎川さんから連絡が入った。


『ボス。各国の攻略班のリーダー達が到着しました』

『思ったより早かったね。了解。一層に行くね』


 そうラインで返事をして、一層に向かった。

 鮎川さんと遠藤さんの二人で一組ずつ順番にダンジョン内に案内してきて百六十か国の三百二十名に対してジャッジホンを作っていく。


 一人当たり三分ほどの作業時間だが、流石に連続では大変なので休憩を挟みつつ丸一日を費やして全員分のジャッジホンver3を作成した。


 各国のリーダー達は他にも武器やポーションの件で色々注文をしたそうだったが、逆に子猫が一匹だけで対応した事で、面倒は避けられたような気がする。


 もし俺の横に麗奈や咲が控えている状態だったら、一人当たりにかかる時間が大幅に引き延ばされたかもね?


 全員分のジャッジホンを作成した後は、流石に俺も付かれてぐっすりと寝れた。

 目が覚めると俺のスマホに島長官から、お礼のメッセージが入っていたけど、『一台二百万USドルの三百二十台六億四千万USドルの売上をもたらせてくれたんだから、お礼を言うのはこちらです』と返事をしておいた。


 日本円だと七百億円にも上る金額だからね……

 冗談抜きで世界中のスタンピードによって受けた被害に対しての基金でも立ち上げなきゃ、世論が凄い事になりそうだよね。


 その辺りを相談するのは、流石に咲や麗奈じゃ無理だろうし、誰に相談するのが良いのかな?


 ◇◆◇◆ 


 各国の攻略班のリーダーたちがチャーター機で戻る時に、鮎川さんと遠藤さんも一緒に一度日本に戻って貰った。


 鮎川さんには、各国に対して六個ずつのエスケープを付与した魔石をサービスで渡して置くように預けて置いた。

 異次元ボックスの作成がLV2になった事によって、容量が百㎏になったマジックバッグver2に入れて渡したから、鮎川さん一人でも十分に持つ事が出来たよ?


 遠藤さんには、彩と咲と麗奈と祖父ちゃんにオリハルコン製の二属性付与の武器を持って行ってもらった。


 値段を付けるなら咲の刀で二十億円。

 祖父ちゃんと彩の槍で二十二億円。

 麗奈のクロスボウなら本体二十五億円、矢が一本一千万円位になるかな?


 めっちゃ高いけどそれでもこの威力を知れば、各国のトップチームは作ってくれと言ってきそうだな……


 日本はどうだろ? NDFになって今までの自衛隊の攻略班とは違うと言っても、流石にこの金額の武器に対する予算は厳しいかな?


 ◇◆◇◆ 


 それから三日後に二次ダンジョンの十層スタンピードは始まった。

 大阪梅田ダンジョンで待機していた麗奈から俺のスマホに連絡が入ったのを受けて、俺もダンジョン転移を始めた。


 二回目の転移でスタンピードを起こしたダンジョンへと辿り着いた。

 ここがどのダンジョンなのかは解らないが、現在俺が移動できるのはランク1とランク2のダンジョン九十か所のうち三十か所はスタンピードを起こしているので三分の一の確率なんだけどね。


 五階層のダンジョンリフトで移動してから、一気に十階層まで駆け下りた。

 各ダンジョンには俺が担当するランク2の二次ダンジョンであっても1パーティ六名は、神殿待機をしてもらうように通達はしてある。


 前回のFRのダンジョンの時のように、俺だけで突入すると二か所目以降はボスが出てこないからね。


 十層の神殿に待機していたパーティは褐色系の肌色の一団だった。

 アフリカ系では無さそうだから南米かな?

 子猫の俺の余りの小ささにちょっとびっくりしてたが、俺がスマホに『ここは何処?Where is this』と書き込んで見せると、UYウルグアイである事を教えて貰えた。


 その六名と一緒に神殿へと突入した。

 そこに現れたのは大きなトカゲだった。


 サラマンダーLV20


 口元から炎がのぞいている。

 火を噴くトカゲって事だね。

 まぁ当然のように弱点は水属性だろう。


 俺は水属性を纏わせたダガーを口に咥え一気に駆け抜けた。

 一撃でサラマンダーの太い首を跳ね飛ばし、黒い霧に包まれて消えて行った。


 その場に現れた宝箱は、UYの連中に任せて俺は島長官にラインを送った。

『二次ダンジョン十層。中ボスはサラマンダー。弱点は水属性。炎攻撃に注意』

 それだけを送信すると、すぐに五層まで駆け上がり、次のダンジョンへと向かった。


 LR リベリア

 EE エストニア

 NZ ニュージーランド

 TT トリニダードトバコ

 CF 中央アフリカ

 BH バーレーン

 MR モーリタニア

 GW ギニアビサウ

 PA パナマ

 LV ラトビア

 HR クロアチア

 SI スロベニア

 KW クウェート

 MK 北マケドニア

 MD モルドバ

 LS レソト

 GE ジョージア

 GA ガボン

 ER エリトリア

 BW ボツワナ

 GM ガンビア

 BA ボスニア・ヘルツェゴビナ

 NA ナミビア

 MN モンゴル

 QA カタール

 AM アルメニア

 LT リトアニア

 JM ジャマイカ

 AL アルバニア


 と、三十か所のダンジョンを駆け巡り、七時間弱で終了させた。

 その他の百二十か国に及ぶ二次ダンジョンでも、それぞれがジャッジホンを携えて待機しており、俺が最初のUYを終了した時点で入れた連絡により、最小限度の被害にとどまり終える事が出来た。

 

 さぁ次はさっさとマスターレベルを3まで上げて、ダンジョンから出れるようにしないとね!

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