第84話 巨大ヤドカリ
ダンジョンコアの場所でたまったアイテムを合成していると、ジャッジホンに連絡が入った。
『社長、今セントジョーンズに付いたよ。今からダンジョンリフトで十層に向かうから、社長も転移してみてね』
『了解』
連絡を受け十層のダンジョンリフトの場所から、ダンジョン転移を行う。
でも誰も居ない場所だった。
せめて、どこのダンジョンか解ればいいのにな。
鑑定しても十層としか表示されないし、かといって他のシーカーに出会ってもめんどくさそうだし……
まぁ恐らくだけど確率は二十九分の一のはずだから気長にやるしか無いな。
それから十回の転移を繰り返し、漸く麗奈たちがいる場所に到着した。
「TB無事だったか。転移なんてアメージングな現象も起こるんだな」
『ジェフリー。ダンジョンリフトだってあるんだから今更だよ』
「そう言えばそうだな。それでどうするんだ?」
『恐らく、ここでは十二層の攻略をしていると、同じようにボス部屋が出ると思うんだよね』
「それじゃ、また頑張って狩るしか無いな」
『俺がランク3のマスターになるまでは、ほとんど休みなしで狩り続けないと、二次ダンジョンの十層スタンピードに間に合わなかったら困るし。でも最悪、麗奈と咲が彩に協力したら何とかなりそうなんだけどね』
「あ、社長そういえば島長官からさっき連絡があって、ダンジョン発生国分のジャッジホンを攻略部隊の隊長分だけでも、台数を揃えて貰う事は出来ないかってさ」
『そうだね。突入の時の犠牲が一番問題だから、十層待機が出来る様になれば随分変わるよね。本人のステータスカードも必要だし、俺がランク3になって外に出れる様になったら、一度日本に帰って何とかするよ』
「そう伝えておきますね」
セントジョーンズでは一週間かけて、各メンバーで交代しながら狩りを続けていたら、神殿が現れた。
そしてこのダンジョンではちょっと悲しい事実が発覚した。
俺は通常の魔物のコアからはこれ以上のスキルの獲得が出来なくなってしまった様だ。
この十二層で現れる、四次ダンジョンの五層中ボスによく似た敵ブルーマンティスっていう敵のコアを飲み込んだけど何も獲得できなかったから、恐らくそうなのだろう。
『さて、突入するけどみんな準備はいいかな?』
「「「OKボス」」」
この二週間を一緒に行動してるうちにある程度の信頼関係は出来上がり、祖父ちゃんと咲と麗奈以外は、みんな俺の事をボスと呼ぶようになっていた。
見た目は相変わらず子猫だけどね……
そうそう、見た目の話ではうちの祖父ちゃんは、既に四十前後のナイスミドルな見た目で現役時代を凌駕するようなムッキムキな筋肉ボディを身に纏っている。
「婆さんを喜ばすぞい」とか下ネタなのか、どうなのか解らない様なセリフを吐いていた。
きっと祖母ちゃんも代々木で頑張ってるんだろうな?
扉を開け放ち神殿内部に突入すると、ここもまた海だった。
前回と違うのは真っ白な砂浜のビーチなところだな。
相変わらず水平線は見えているけど……
ギラギラと輝く太陽がまぶしいステージだ。
「社長、ここのマスターに成ったら、一年中海水浴来れますから頑張りましょー」
と、なんかちょっと違うハイテンションの麗奈が居た。
そして現れたのは巨大なヤドカリだった。
『麗奈。鑑定!』
キングハーミットクラブ LV36
スキル
ヤシの実爆弾
デスシザー
弱点
炎
『炎かぁ、彩が居ればよかったけど、ここのメンバーは火魔法使いは居ないな』
「ヘイボス。アランが良いスキル持ってるぜ」
デビットがそう声を掛けて来た。
『ん? どんなの』
「まぁ見ててくれ」
FRのアランが使ったスキルは集光LV3というスキルだった。
スキルを使うと巨大な凸レンズが現れるだけで、まぁ上手く使えば望遠鏡代わりにもなるし、少ない光の場所でも明るく照らせると言う程度だったんだけど、このステージでは条件が違う。
ギラギラ輝く太陽があるんだ。
俺達はヤドカリがバンバン投げて来るヤシの実を避けながら、アランを守った。
LV3で最大直径三メートル程にもなるレンズを、ヤドカリの上部に出現させると、集約させた光がヤドカリの殻に焦げ目をつけ始めた。
カサカサ動き回るが、アランも器用にレンズを動かし、殻を焦がしていく。
カニを焼いたようないい匂いが辺り一面に立ち込めて来た。
マジ食欲をそそる匂いだ。
五分程かけて殻が丸く焼きとられて、中身が露出した。
そこからはみんなで集中攻撃だ。
ミスリルサンダーランスとクロスボウで集中攻撃して最後は俺の雷LV4で止めをさした。
殻の中を覗き込むとコアが露出していた。
俺は素早くコアを取り込む。
『ネームドモンスター『クラヴィ』のコアを吸収しました。【エスケープ】スキルを獲得しました』
これも優秀そうだ。
そしてもう一度声が聞こえる。
『ダンジョンナンバー1179クリア。ダンジョンマスターとなるか消滅させる事を選べます』
当然ダンジョンマスターを選ぶ。
一本だけ高くそびえる様に立っていたヤシの木の上に飛ばされてそこにヤシの実と並ぶように、ダンジョンコアがあった。
スタンピードを取り敢えずOFFにしておく。
固有種配置はちょっと後にしよう。
残念ながら、マスターランクは上がらなかった。
これは先が長そうだな。
ていうか第二次ダンジョンの十層攻略に間に合わないぞどうしよう。後十日程しか無いな。
「TB、何覚えたの?」と咲が聞いて来た。
『今度はエスケープって言うダンジョン脱出スキルだな』
「え? それってTBも外に出れる?」
『いや、一層のダンジョンリフトの横に戻るから結局出れないな』
「そっかぁ……あれ? TBのスキルって作成で魔導具に出来なかったっけ?」
『あ、確かにそうだな。それじゃぁダンジョン転移も魔導具で作れるのか』
「だったら凄い便利だよね」
『転移系の魔導具とかベースは何を選べばいいんだろ』
「変なの選んじゃうと又ブラみたいに理付けされちゃいそうだから、気を付けて下さいね」
『あ、ああ。解った。とりあえず、ここでダンジョンコアと話すから、咲達は次の場所に移動しててもらえるか?』
「うん。了解だよ。FMで良いんだよね」
『そそ。ポンペイ島のパリキールって言う所だよ。通常の旅客機を使ってたら二日くらいかかっちゃうから、ポールに頼んで軍用機でポンペイ国際空港に飛んでもらって。チャーター代とかはDキューブが負担するから』
「社長。到着したらまた連絡するでいいんだよね?」
『そそ、さっきのボス戦で異次元ボックスもLV6になったから色々出来る事をやっておきたいしね!』
「それ楽しみですね。パリキュールの突入前には全員の装備をアップデート出来ますね」
Dキューブのメンバーがヤシの木の下に現れた魔法陣から出て行くと俺はダンジョンコアに向かった。
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