第83話 ジャック
一時間が過ぎ麗奈と咲が戻って来た。
「ポール達は、この部屋にはダンジョンリフトで来れなかったよ。なんでかな?」
『あーそれはあれだ。ジャックを倒した時にパーティが俺と麗奈と咲の三人だけだったからだな』
「そうなんだ。十層とかみたいに一度辿り着けば自由に来れる訳じゃ無いんだね」
『そうだな。この部屋に俺以外の人が入って来たら俺は何処に居ても強制的にこの部屋に転移させられるみたいだな』
「あ、それって超便利じゃない? 代々木の十一層の時みたいなことがあっても、ここに戻って来れるんでしょ?」
『そう言う使い方は出来るかもね。でも現状はランク3までマスターレベルを上げないと外に出れないから、その方法が問題なんだよ』
そう言って現時点で判明している条件を教え、他のダンジョンになら行けそうだけど移動方法がまだ解らない事を伝えた。
咲が顎に手を当てながら、少し考えて「転移系統ならやっぱり移動系の機能がある場所じゃないかな? 十層とか五層ならステータスカードを翳せば出来るんじゃない?」と言った。
『ありそうだな。とりあえず行ってみようか』
「社長。でもこのダンジョンコアも似たような機能は在りそうなのに何で出来ないのかな?」
「麗奈、それ私も考えたんだけどダンジョンコアはダンジョンコア通しでの移動になるんじゃないのかな? まだ他のダンジョンのコアは現れて無いから移動出来ないとかじゃ無いの?」
「なっるほどねー。咲。かしこいね」
『実際はどうなのかはやって見ないと解らないし十層のダンジョンリフトは近いから行ってみよう』
俺は麗奈と咲を連れて十層のダンジョンリフトへと移動した。
ステータスカードを翳そうとして「ステータスオープン」と念ずると俺の手元に現れたカードは今までの物と違っていた……
色も金色に変化していて、Rank1masterと表示してある。
『なんかカードが変わってる』
「社長なんかお金持ちっぽいカードですね」
「TBそのカードどう違うの?」
『他は別に違わない感じがするな。ちゃんとダンジョンのステータスランキングも一位のままだし』
そう返事をしてカードをダンジョンリフトにセットした。
『あー、これで正解だったようだな。ダンジョン転移を行いますか?』
って表示されてる。
ランク1のダンジョンの十層に転移するみたいだけど……どこかが解らないね。
「社長? パーティ組んでる状態ですけど私達も一緒に行けそうですか?」
『いや…… 恐らく俺だけ飛んじゃうね。でもランク1でランダム転移だったら、何回かやれば目的ダンジョンに到着できそうだね』
「へー、目的ダンジョンって何処ですか?」
『そりゃぁここの次は、人口の順番で
「どこですかそれ?」
『ここから近いよ。海を隔てて南側にある国だね』
「詳しいですね」
『そりゃ次に行く予定の国くらいは調べてるよ』
「TB、それじゃぁ私達はGDに渡って十層で待ってればいいって事かな?」
『そうだね。スマホで通信は出来るから、咲達が到着してから俺は転移を試すよ。そうしないと何処のダンジョンに居るかさっぱり分からないからね』
「そう言えばここのダンジョンも七層より下には軍も民間のシーカーも全然見かけなかったですね」
『装備的に普通に狩りをするには厳しいんじゃないのかな?』
「そっか。じゃぁポール達と合流してGDのセントジョージズダンジョンの十層を目指せばいいんですね?」
『うん。頼むよ。なんとか二次ダンジョンの十層スタンピードまでには、外に出れる様にならないとヤバいし。きっと梅田ダンジョンとか凄いランク高そうだから今のマスターランクじゃ到着できそうにないしね』
「了解です。セントジョーンズで待ってますね」
『GDもGB連邦の所属国だしポールに頼んで輸送ヘリとか出して貰えたら一時間もかからないからね』
俺は咲達から連絡が入るまでの時間を再びダンジョンコアに戻った。
固有種配置の機能が気になったからだ。
コアクリスタルに触れながら固有種配置を選択すると、俺の目の前に先程の戦闘で倒した『ジャック』が現れた。
「呼んだかマスター」
「ニャニャッ」
喋りやがったこいつ。
「喋れるのか?」勿論スマホも使って無い猫の言葉で聞いた。
「マスターとの間では念話で意思の疎通が出来る。他の者が今この会話する姿を見ても、カチカチ歯が当たる音しかしてないはずであるし、当然マスターの声もニャアとしか聞こえない」
「まぁいいや……ジャックは何が出来るの?」
「ここに来るマスター以外の者を殺す事が出来る」
「物騒だな」
「魔物だからな」
「サハギン達も呼べるのか?」
「あいつらは我の召喚術で呼び出している」
「ジャックってこの部屋の外は出れるの?」
「ダンジョン内であれば自由に動ける」
「それってさ、ユニークモンスターみたいな感じなの?」
「今までは、このダンジョンのボスであったから、部屋からは出ない様にしておったが、今なら倒されても再びマスターに呼び出されれば復活する」
「そっか、それじゃぁさ一応十一層でウロウロしててもらえるかな? 勝手に他の人がボス部屋に来ちゃうと俺が呼び戻されちゃうから、ジャックがボス部屋に人が入らない様に気を付けててよ」
「承った。マスターが居ない時に人が十一層に現れたら無条件で殺しても良いのか?」
「一応、連絡は出来る?」
「念話は可能だ」
「それじゃぁ連絡して!」
「承った」
「ねぇジャック、今までジャックがダンジョン転移のコア持ってたんだよね?」
「いかにも」
「使ってた?」
「我は、このダンジョンの守護者であり他の場所には出れぬ」
「そうなんだ……ねぇダンジョンって誰が作ったの?」
「すべてのダンジョンを攻略すれば、おのずと見えてこよう」
「そっか、じゃぁこのダンジョンの事は基本ジャックに任せるから頼んだよ? 後さ、俺がここのダンジョンで他の魔物狩っても普通にExpってたまるの?」
「マスターのランクとステータスホルダーのランクは別であるから、関係なく上がる。我たち守護者には関係ないがな」
「そっか、ジャックは今より強くなったり出来ないって事?」
「我たちの能力はマスターに授けられるステータスポイントで上げる事は出来るが、その分マスターのポイントが下がる」
「ふーんそうなんだ。その辺りは状況次第だね。色々ありがとうジャック」
意外に普通に会話が出来るジャックの存在にびっくりしたけど、ここを守って貰う為には結構大事な存在だよね。
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