第76話 DDD
色々あって先延ばしになっていたが、俺達の会社も登記が終わって晴れて法人活動をする事になった。
傭兵会社では日本の場合会社の定款では厳しいと言われたので、ダンジョン関連における警備事業、ダンジョン産アイテムの売買、魔導具の開発及び取引それらに関わり付随する業務。
と言う良く解らない感じの定款になっている。
業務を限定し過ぎると後々面倒な状況になる可能性が高いから、ダンジョンに関わる全ての業務って感じだね。
会社名なんだけど麗奈に任せたら株式会社
麗奈って宮崎県民じゃ無いよな?
代表取締役に関しては麗奈はお袋か修三祖父ちゃんに頼もうとしたんだけど、二人ともそれは最初の予定通りで「田中さんお願いします」って言われたって事で麗奈になった。
あくまでも代表取締役であって呼称の社長は俺と言う不思議な会社だ。
そして祖父ちゃんとお袋も取締役に名前を連ねている。
社長 TB
代表取締役 田中麗奈
取締役副社長 麻宮咲
専務取締役 北原修三
常務取締役 北原洋子
と見事に同族経営の様な状態だけど、やる事自体変わらないからまぁいいや。
俺の場合は会社法上の取締役にはなれないけど、呼称として社長を使うのは全然猫でも問題無いんだってさ。
嬉しくは無いけどね……
◇◆◇◆
会社の設立も終わり、今日は昨日約束していたので霞が関に新たに出来ているダンジョン省内に本部を置くNDFに訪れた。
受付で島長官と面会の約束をしていたことを告げると、すぐに応接室へ案内された。
五分程待つと島長官と彩が一緒に入って来て会話が始まった。
今日は麗奈と咲と修三祖父ちゃんの三人を連れて訪れた。
「島長官、今日は朝一番で会社の設立も終わりましたので一応ご挨拶もかねて役員である三名と一緒に来訪させて頂きました」
麗奈が意外と普通に挨拶できている。
「初めまして、NDF長官の島です。TBの会社はこれからこの世界で最も注目を集める会社となる事は間違いないので期待しています。よろしくお願いしますね」
「麻宮咲です一応副社長です」
「北原修三と言います。進の祖父です。ダンジョンの効果で体力を取り戻したので、老いぼれですがこの国の為にもうひと働きしようと思います」
「失礼ですが修三さんはおいくつになられるのですか?」
「当年取って七十五歳ですな」
「それは、なんと若く見えますね。どう見ても四十代だ」
「ダンジョンで積極的に活動する者は殆どがまだ現役世代の体力、気力の充実した者が中心であったから気づかれていなかったようですが、私達の間では魔素を体内に取り組む事で体が全盛期の時の状態に向かって若返って行くと認識しております」
「素晴らしい発見ですね。今後その効果などは発表されるのですか?」
「それに関しては、最初そう言うことにも取り組みたいと思っていましたが、事業で取り組むと大変ですし、ダンジョン省にお任せしたいと思います」
「そうですか、早速厚生部局の物に検証を始める様に伝えておきましょう」
『今日の話のメインはどんな事なのですか?』
「TB。まず藤堂首相の元にUSを始めとして、各国からTB達の会社に人員を派遣させてほしいと連絡が入っている。日本としても世界中の人々の生命に関わる問題だと思っているので、協力をしてほしいと思うが受け入れは可能なのだろうか?」
『えーと。俺は別に構わないと思いますけど、その場合ほぼ諜報機関の人間が派遣されるのは問題無いんですか?』
「当然それは懸念される問題だが、日本からも人員を受け入れてもらいたいし、TBの能力は見たからと言って真似できるような物でも無いと判断しているから、受け入れて貰えるのなら、諜報局の人間であっても問題無いのではないか? と言う結論に至ったがどうだろう」
『あー、実際その通りだと思います。むしろダンジョン防衛には必要な能力は、真似して貰って全然かまわないです。その方が手が掛からないですから。手取り足取り教えろ! とか言うオーダーは困りますけど。一緒に協力して貰えるなら出来るだけ効率よく能力もアップして貰って、ダンジョンの攻略に役立てて貰える方が良いですから』
「TB。当然ダンジョンのスタンピード対応は私達NDFが主体で行うけど、ダンジョンの謎解き的な事に関しては、ダンジョン省とTBのチームにお願いする事になるわ。一々TBに報告しろというの手間がかかるだけだし、それなら主要国の人間に参加させておいて、情報を共有する方が有意義だと思うのよね。TB自身の負担も少ないし」
『受け入れるのはOKだけどうちの事務所だとちょっと手狭だから、大きめの敷地と本部として使える物件を代々木ダンジョンシティ内部に用意して欲しいですね』
「それに関しては、麻宮さん達が通っていた大学の敷地と校舎をそのまま利用して貰おうと思います。学校として使うには根本的に建て替えを行わないと、安全の確保などで不安が残りますが、TB達の会社の拠点として使うなら、むしろ丁度良い物件だと思います。自由に建物などを設計変更しても構いませんので、お使いください。その物件に関してだけは国からの無償供与とさせていただきます」
『へー太っ腹ですね。では場所は問題無いとして、受け入れる人員は決まっているのですか?』
「すでに面識がある、ジェフリーとデビットが別室で他の国のメンバーと一緒に控えていますので、今からここに来させますが、先に日本国から参加させるメンバー二名を紹介します」
そう言われて入って来たのは、二人の女性だった。
「ダンジョン省の薬事局を担当している鮎川美幸です。今回田中さんの会社に出向する事になりました」
「警察庁警備局からの出向になります、遠藤ユミです」
「鮎川さんは相川さんと一緒に見えた時にお会いしましたけど、ダンジョンで戦う事は出来るのですか?」
「大学時代はアーチェリーをやっていましてインカレで優勝経験もありますから、現状一番有効な武器とされるクロスボウの扱いなら自信はあります」
「凄いですね!」
「剣道の日本チャンピオンの麻宮さんと比べられると困りますが」
「今は私より麗奈の方が能力で四倍近いですけどね」
「田中さんって……TBの代理人だけじゃ無かったんですね」
「社長に捨てられない様必死なだけです」
『それより警察庁の遠藤さんって……』
「はい、ご想像通りエミの姉です。そして事情も把握しています。その上で今回の出向を志願させて頂きました」
『それは……俺達に何か含むところがあるのですか?』
「いえ、純粋にこの国の人々をダンジョンの恐怖から救いたい気持ちだけです。エミの行動に関しての罪滅ぼしもかねて協力させて貰えませんか」
『その件に関して、俺達は言える事もありませんし、別に青木警視にも遠藤警部補にも、悪い感情は持って居ませんので』
「それでは、よろしくおねがいいたします」
島長官からも頼まれたし、うちは別に後ろめたい商売はしないからいいんだけどね。
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