第71話 家族との再会
デーモンキングアーミーを名乗る謎の集団の話を聞いた俺と麗奈は、ポールにGBとしてはどうしたいのかと予測でもなんでもいいから正体に心当たりがないのかを尋ねた。
「TB、ハリーとジョンの二人は面識があるよな?」
『ああ、諜報員として面識がある』
「彼らに拉致された公安警察官はUSで俺達も会っている」
『確かにそうだな』
その会話を聞いた麗奈が突っ込んで来た。
「ちょっと社長? そんな情報、私聞いてないよ?」
『言ってないからね』
「私に秘密なんてひどいですー」
『ちょっと事情があって、俺達にこれ以上見張りを付けない替りに、仲間内でも内緒にすると警察庁の警備局って言う所の局長さんと約束したから』
「そうだったんですね」
「話を続けていいか?」
『スマン。ポール、続けてくれ』
「彼ら四人がロンドンに到着してロンドンダンジョンに入った所までは足取りが取れてるんだが、その後四人とも消息不明なんだ」
『今回の件の大本命だね』
「だがデーモンキングアーミーを名乗る連中は顔を合わせる事も拒み、会話もTBと同じでチャットのみだから誰かの特定も出来て無い」
『なる程ね。そいつらを探し出して倒す事は可能だとは思うけど、現時点でそいつらからはポール達は助けてもらったって言う事実しか無いんだよね?』
「ああ、そうだ。あくまでも予測の範囲ならロンドンダンジョンシティ内を魔物を組織的に纏め上げて壊滅させた存在かも知れない? という疑惑はあるが証拠も無い」
『どうするんだい?』
「向こうも約束を守ってくれてる以上は、こちらから一方的に約束を破るのは英国紳士としてプライドが許さない」
『じゃぁ様子見か?』
「そうなる。だが……もし、魔物が今後ロンドンダンジョンからまた溢れ出る事があるなら、その時の対処をTBに協力して貰えるのか? と言う頼みなんだ」
『ふーん。すぐは来れない事を解って言ってるんだよな?』
「GBで活動してくれるなら大歓迎だが」
『それは無理』
「ロンドン以外のダンジョンでの活動をしながら、精々鍛えておくよ。恐らく二次ダンジョン以降のスタンピードも一月起きくらいのペースで予想できるしな」
『ねぇポール、各国がバラバラに鍛えてても、中々情況的に厳しいと思うんだよね。せめてトップチームだけでも集まって、効率よく対処法を考える機関とか必要じゃない?』
「それはTBが中心になって声を掛けるなら、主要国は応えると思うが、一次ダンジョンだけでも百八十か国に散らばっている状態だと、現実的に難しくないか?」
『そうだね。俺もどうしたらいいかなんて実際解んないし……なんて言ったって子猫だからな!』
「今更かよ!」
『まぁいいや。また連絡入れるから、ロンドンダンジョンの件は出来るだけ対応できるように考えておくよ』
「あー。助かる」
『それじゃ、俺達は行くな』
そう言って再びヘリに乗ると、一度パリで給油をして今度はAEへと向かう事にした。
オルリー空港でジェフリーも合流し、麗奈とデビットの四人でAEのアシュラフさんの元へ旅立つ。
『咲。今麗奈と一緒にそっちに向かってるから後二時間程で到着する』
『アーリヤちゃんが喜ぶよ』
『咲は喜んでくれないの?』
『嬉しいに決まってるじゃない。最近麗奈とばっかり一緒に居るから、ちゃんとヤキモチ妬いてるよ?』
『本当なら嬉しいけどね! そう言えばさ、凄い装備品作れるようになったから咲の下着用意しててね! 脱ぎたてが良い』
『変態猫! 彩さんに聞いてるんだからね? 脱ぎたて関係無いでしょ?』
『えー。機密情報の漏洩だ! 彩、口が軽すぎ』
『でも、それは別として無事でよかったよTB。穂南ちゃん達も凄い心配してたんだからね』
『AEの一次ダンジョンは無事に終了したの?』
『こっちは国軍じゃ無くてCHの傭兵会社から派遣されてる軍なんだけど、さっきTBからのロケットランチャーが届いて突入して行ったみたいだよ』
『そっか。無事に終わったらいいけどね』
そんなやり取りをしてると途中でカール・ブラック大統領からもメッセージが届いた。
『今回はTBが俺を当てにしてくれたお陰で、世界中にUSの顔を立てる事が出来たよ。ありがとう』
『大統領の力が無いと、世界中にこんなに素早くランチャー届けるなんて出来なかったですから助かりました』
『だが、TBには何もその行動をする義務は無いんじゃないか? なんでそんな行動が出来る。次のノーベル平和賞はきっと君だな』
『そんなの無理です。道端でうんこも出来なくなるから』
『それは、大変だな』
『今度また遊びに行きます!』
『いつでも待ってるよ』
漸くヘリはAEのアシュラフさんの宮殿へと到着した。
麗奈が俺を抱っこして降りると、祖父ちゃん夫婦とお袋と穂南が並んで待ってた。
「お兄ちゃん。お帰り」
「ただいま穂南」と言ったが、「ニャニャニャニャニャン」としか聞こえなかったぜ!
麗奈から穂南に渡され、その後は一段と若返って肌に張りがある感じのお袋と、今年七十五歳のはずなのに四十代後半程度に見える祖父ちゃん。
唯一年相応に見える祖母ちゃんと俺はたらい回しにされた。
その次は咲の顔を見つけて「ニャニャ」って言った。
咲はそれで理解してくれて「お帰り」って言って抱きしめてくれた。
咲の横にはアーリヤちゃんとアシュラフさんも迎えに来てくれていた。
『アシュラフさん、俺の家族を守ってくれて、ありがとうございます』
「TBが私の家族を救ってくれたお礼だから気にしなくていい。今回はこの国の国民もTBが救ってくれたそうじゃないか。カールからちゃんと連絡が入ったよ」
アシュラフさんと会話をしてるとアーリヤちゃんが我慢できなくなって俺を奪い取る様に抱っこしてくれた。
「TB、もうずっとここに居たらいいのに」
『ありがとうアーリヤちゃん。でも今は世界中が大変だから、それが落ち着いたら考えるね』
そう伝えると「うん。アーリヤはお利口だから待ってるね」って言ってくれた。
美少女は正義だぜ! と思ったよ。
その日は久しぶりにみんなで集まれた事を素直に喜んだ。
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