第32話 梅田到着
出発の準備を整えて大阪へ向けてスタートした俺達に、咲と麗奈のトイレ休憩で立ち寄ったサービスエリアで再び青木さんと遠藤さんが話し掛けて来た。
「田中さん。今回大阪から戻られた時に、一度部屋のクリーニングをされた方がいいと思います」
「クリーニングですか?」
「そうです。盗聴装置などの有無を確認される事をお勧めします」
「え? 盗聴されてるんですかあの家」
「先ほども申し上げましたが、RU以外の国は明らかに諜報機関の人間たちがお宅を警戒していますし、彼らにとっては通常の家のセキュリティなど、ほぼ無いに等しいので、そう言う装置が付いてないと思う方が難しいくらいだと思います。それにこの車にだってGPS装置くらいは取り付けられていると思って間違いないですね」
「そうなんですね。解りました。ご忠告ありがとうございます」
再び大阪へ向けて走り出した車の中で俺は麗奈へ伝える。
『麗奈、俺が言葉を理解したり、スキルが使えたりする事の発表を急いだほうがいいかもな』
「そうだね。でも世界中の諜報機関まで動き出すとか社長超重要人物だね」
『人物じゃないけどな!』
「とりあえず彩さんと落ち合ってどうするか決めようか。私達だけだと公安の人達に監視されっぱなしで息苦しくなりそうだし」
『そうだな』
八時間弱かけて梅田のダンジョンシティまで辿り着くと、彩に連絡を入れようとするけど、恐らくダンジョン内にいるのか連絡がつかなかった。
「社長。どうする?」
『潜るしかないだろ』
「とりあえずホテル取るね」
梅田ダンジョンシティ周辺のホテルを取り、車を駐車場に停めると早速梅田ダンジョンに向かう。
するとまた青木さんが声をかけて来た。
「すいません。もう、すぐにダンジョンに入られるんですか?」
「ええ、それが目的ですから当然です」
「ちょっとだけ待っていただけますか? D.Aで私たちが使う武器を購入してきますので……」
「別にいいですけど、ダンジョン内で使う武器は私達が行く五層だと、ショートソードみたいな手軽な武器でも二百万円はしますよ?」
「そ、そんなにするんですか?」
「ダンジョン鋼が使って無いと、四層までが精いっぱいですから、死にたくなければしょうが無いですよ」
「ちょっと本庁に確認してから用意しますので少しだけ待っててください」
それから二人が何やら電話でやり取りした後に、話し掛けて来た。
「麻宮さん。田中さん。私達は今日は二層まで潜って、少しステータスの上昇を狙う事になりました。明日以降は自衛隊に武器を融通して貰って五層まで行けるようにしますので」
「そうですか、では一層へ戻る階段の辺りで、狩りをしててくださいね。帰る時に声かけますので」
「了解しました」
でも、俺はこの時せっかくだからデータ取りしてみたいと思って、二人に伝えて貰った。
「あ、青木さん。社長が二層でどの程度ステータスが上がったか知りたくないですか? って聞いてます」
「それは興味深いですね。どうすれば?」
「今二人の写真を撮らせて貰って、帰って来てからもう一度撮って、比較します。出来ればスライムを何匹倒して、ゴブリンを何匹倒したのかを記録しておいてください」
「解りました」
「二層では何の武器を使われるんですか?」
「一応本庁からMP5(短機関銃)を持ってきていますので、二層であれば問題無く対応可能だと思います」
「凄いですね……」
「でも五層では役に立たないから「五層には絶対に行くな!」と釘を刺されました。後学の為、麻宮さんと田中さんはどんな武器を使って、五層で狩をされるか教えていただけますか?」
「えーと、私がボウガンで、咲は刀ですね。どちらもダンジョン鋼の物です。でも社長は魔法使えるから、効率で行ったら、私達なんて社長の五分の一も倒せないです」
「魔法ですか……二層で少し見せてもらう事は可能ですか?」
「ちょっとだけならOKだそうです」
四人と一ニャンで梅田ダンジョンへと入って行く。
「青木さん達は、今までに魔物との戦闘はされたことあるんでしょうか?」
「いえ、初めてですね」
「怖いとか無いんですか?」
「職務上そんな事言っていられませんので……それに田中さんや麻宮さんなんて女子大生でしょ?」
「でも、私達は一応全日本クラスの剣士ですから」
「そう言えばそうですね、私達も職務上武術はそこそこいけてる方ですので何とかなると思います」
「まぁそれならいいですけど」
ダンジョン内に入ってMP5をケースから取り出し、構えながら歩く二人を見ると、それなりに様になってる。
二人ともスーツ姿から、SAT隊員のような制服に着替えていた。
スーツでMP5持ってると流石に不自然極まりないしね。
「所で、麻宮さんと田中さんの武器は何処に?」
「私達のは、社長が持っててくれてるので」
「えっ?」
そう言ってる青木さんと遠藤さんの前で、咲と麗奈の武器を取り出して渡し、俺もダガーを出して口に咥えた。
「えーと…… 今のは何処から出したんでしょうか?」
「社長のスキルで、異次元ボックスって言うらしいです。ラノベとかでよくあるアイテムボックスの高機能版みたいな感じらしいですよ」
「そうなんですね……それって容量とかどの程度とかあるんですか?」
「それは、戻ってから社長に聞いてください」
「解りました……」
二層に到着すると、まず麗奈と咲が、それぞれゴブリンとスライムを狩って見せて、俺もダガーに風魔法を纏わせてゴブリンの首をはねた。
「見事ですね……」
「私たちはこんな感じで狩りしてますので、じゃぁ怪我しない様に頑張ってくださいね」
そこで青木さん達と別れて五層へと向かった。
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