第43話 長き一日は終わりを告げる。

 ヘーゲルン辺境伯領、屋敷。


 そこでは緊張した面持ちのルークスと、股を濡らしてアへ顔を晒すアリアの姿があった。部屋の窓際にはエルドリッチの姿もあり、窓の外から怒号やら悲鳴やらが聞こえてくる中——先に動いたのは、股を濡らした変態。


 アリアは姿勢を低くして剣を構えると、手始めに視線でフェイントを仕掛ける。が、しかしこれにルークスは反応を示さない。フェイントを見破ったというよりかは視線の動き自体に気付いていない様子である。


 冷静に分析したアリアは逡巡したのちに彼我の差を埋めるように肉迫。剣筋や足さばきで簡単なフェイントを入れると——。


「……っ」


 案の定、ルークスはフェイントに引っ掛かる。彼は顔を引きつらせながらあらぬ方角へと『フレデリカの鉤爪』を発動。二本の指を用いて空間を掴むと、斜め下へと一息に切り裂いた。


 しかし当然そこにアリアの姿はなく、地面すれすれまで身体を倒して接近した彼女は隙だらけの腹めがけて横に一線。


「……ぐっ」

「——チッ、流石は王国貴族」


 一刀両断するつもりで振るった剣は大したダメージを与えられなかった。精々肉を少し切り裂いた程度。一度大きく距離を取るアリアに対し、ルークスは腹からにじむ血を左手で押さえつけていた。


 そんな彼を見つめ、アリアは思考を巡らせる。


(ステータスは間違いなく向こうの方が上か)


 が、しかし問題はない。

 ステータスが劣っている可能性は最初から考えていた。

 何しろ相手は王家からロベルタの遺産を守るように言われている貴族。選ばれた血筋の人間である。そして、選ばれた血筋とは比喩表現でも何でもなく、まさしくそのままの意味。


 王国トップである王家が勇者の血を取り入れて人外の領域に足を踏み入れているのと同じく、ヘーゲルン伯のように由緒正しい歴史ある王国貴族にもその血が僅かに混じっているのだ。


 つまるところ、選ばれた血筋に生まれた人間は、それだけでステータスが高いのだ。

 中にはアリアやセレンのように、庶民の出でありながら強力なステータスに育つ者も居るが、そんなものは例外中の例外。レベルの伸びしろも、貴族には届かない。


 そんな選ばれた血筋でありながら一切努力を怠らないのがオーウェンという化け物であるのだが……しかしアリアは目の前の男を見つめて乾いた唇を舐めて濡らす。


(——この男は、違う)


 たった一度の攻防。それだけでアリアは理解していた。

 ルークス・ヘーゲルンという男が碌に訓練を積んでいないという事を。


(戦闘経験もそうだけど、ステータスも自発的に伸ばしてないから……数値だけで見ればそこまでの差はない。……ならっ♡ 殺せるっ♡ 殺せる殺せるっ♡ この男を殺してドミトリーと——)


「初夜を迎えられるっ♡♡ ……あへへっ♡」

「……何を世迷言を……この狂人がッ!!」


 頬を紅潮させながら再度突貫してくるアリアに対して、ルークスはステータス任せの大振りを繰り出すが、拳は揺らめく髪の一本すら捉えることは出来ない。空を切った拳は轟音と共に床に穴を空けた。


「いひっ♡ いひひっ♡ そんな攻撃じゃ、当たらないから♡ ほらほら、お、奥さんも応援してるよぉおお♡」


 アリアはそんな彼を煽るかの如く、切断されていた彼の妻の亡骸に近付くと、その上半身を拾い上げて手首を掴み、交互に上下。


「おーえす♡ おーえす♡ がんばれアナタ♡ い、いひひっ♡」

「薄汚い手で妻に触れるな殺人鬼ッ!!」

「ごめんごめん、それじゃあ返してあげるっ♡」


 ぽいっ、と放り投げられた亡骸は中空を舞い、アリアとルークスの間に存在する『認識できない空間』に触れて、縦に裂けた。血が飛び散り、ばらばらとなった臓物が辺りに転がる。


 もはや見る影もない妻を前にルークスは言葉を失い、ただただ妻だった——世界で一番愛した女性だった肉体を見つめ——幼子の如く涙を流した。


「何故、こんな……」

「……いひひっ♡」

「こんなっ……こんなあまりにも……あまりにもひどいじゃないか……っ」


 両の目から涙を流す彼は、しかしそれを拭うことはしない。目を見開いたままに亡骸から顔を上げた彼は大きく深呼吸して妻の血の匂いが充満する空気を肺一杯に吸い込むと、唇をかみ切ってアリアを睨みつける。


「あへへっ♡」


 強い激情の籠った視線を受け、頬を紅潮させながら身体をくねくねと揺らす彼女は——瞬間、大きく跳躍した。ルークスのリズムを崩すように仕掛けるアリア。


『フレデリカの鉤爪』により生み出された認識できない空間を避けるように壁を駆け抜けると、大きく跳躍して室内のシャンデリアに捕まり、逆側の壁へ。


 そうして縦横無尽に室内を駆け抜けるアリアをルークスは捉えることができない。集中しても、追うことができない。何しろ、王国最強の騎士であるオーウェンですら、傷こそ負わせられたが捕まえることはついぞできなかったのだから。


 ルークスは再度深呼吸して落ち着きを取り戻すと、壁に背中をくっつけて『フレデリカの鉤爪』に魔力を込めて構える。


 背後からの強襲を封じられたアリアは、しかし一度おきく勢いを付けるとフェイントを幾重にも仕掛けてから視界の外を縫うように天井から襲い掛かる——と。


「消し飛べッ!!」


 ルークスは三本の爪を使って中空を掴み、一息に周囲すべての空間を薙ぐように腕を振るった。


「……っ!?」


 瞬間、アリアの視界を覆ったのは『空気』を切り裂いたことにより生まれる認識できない空間——ではなく、青白く発光する波のような何か・・であった。


 目を奪われるほどに美しい波はルークスの前方へと大きく広がり、まるで濁流の如くその先に存在した家具も、壁も、天井も、屋敷の屋根をも消し飛ばす。


 結果、ルークスの瞳に映るのは満天の星空のみとなった。


 身体は動かない。

 魔力も尽きた。


 それこそが、三本の指を動かして能力を行使した代償。


『フレデリカの鉤爪』は触れない物に触ることができる魔導具である。


 一本の爪は少し空気を動かすことができる。

 二本使えば、空気を掴み引き裂いて切り取ることができる。切り取られた空間は能力を解除しない限り認識できない空間となり、空間に空いた穴は万物を両断する。


 そして三本の爪を同時に使った時、爪はより細かな存在を掴む。

 それこそがすべての魔法の源であり空気中に漂う純粋な力の塊——魔素。意志を持たず浮遊しているだけの力に干渉することこそ『フレデリカの鉤爪』の神髄である。


 少し腕を振るって指向性を持たせただけでこの威力。

 部屋どころか屋敷の上半分が吹き飛び、何もかもが塵と化している。


 そこには帝国の老紳士も、変態殺人鬼も居ない。

 すべてが消し飛んでいた。


(まぁ、代償として私はもう動けんが)


 ぼんやりと見上げる空には、嫌になるほどの満天の星々が広がり、今自分の領地が襲われていることを忘れてしまいそうなほど美しい。そして——それがルークスの見た最期の光景であった。


「……ぁ」


 小さな断末魔。


「あへっ♡」


 場違いな嬌声。


 ルークスは、背後の壁を切り裂いて現れたアリアにより、その心臓を貫かれていた。

 あまりの激痛に顔を顰め、しかし身体を動かす力など残っておらず、ここからどうすればいいのか、何をすればいいのかと考える事すら億劫で、息は浅くなり——結局、自分の身に何が起こったのかを認識する間もなく、ルークス・ヘーゲルンはその生涯に幕を下ろした。


 残されたのは毛先を僅かに消し飛ばされたアリアのみ。

 しかし彼女はそんなことを気にも留めずに恍惚と頬を染め、股を濡らして喘ぐ。


「あへっ♡ あへへへへっ♡♡♡♡ あぁっ、あぁぁああああああんっ♡ あへえぇえぇっ♡ や、やったぁぁあああっ♡ 殺した♡ 殺せたぁぁぁああん♡♡♡ ……んっ♡ ふぅっ♡」


 髪を振り乱し、自らの指をあまがみしながら殺人の余韻を全身で味わうアリア。

 どうしようもない程の興奮が、彼女の脳にスパークを起こす。

 ちかちかと視界が明滅するような快楽。


 これが、この瞬間がアリアは好きだった。


 ——人が、終わる瞬間。


 それこそがアリアにとっての生きがいである。

 相手は誰でもいい。数年しか生きていない子供でも、思春期真っただ中の青少年でも、子どもを産んだ女でも、脂ぎった中年でも、老いぼれた爺婆でも。誰でもいい、殺せるのならそれでいい。


 ただただ、それまで呼吸して、動いて、思考して、意志を持って、社会性の中で生活して、他者と関わり、感情を発露させて——そうやって生きている人間・・・・・・・がピクリとも動かなくなる肉塊に変貌するその瞬間が、たまらなく愛おしい。そしてそれが自らの手で、自らの意志で、自らの行動でなされたのなら、それはもう筆舌に尽くしがたい至福である。


「嗚呼ぁぁあああっ♡♡ たまらないっ♡♡♡」


 股から溢れる汁は留まるところを知らず、服の上からでもわかる屹立した乳首を愛撫しながらアリアは涎を垂らす。やがて右手を股へと持っていき、遺体を前に自慰行為に耽ろうとして——『トリトンの絶叫』が響き渡った。


「それは帰ってからにしていただけますかな?」

「あっ♡ あへっ♡ な、なん、でぇ……♡」

「その方がドミトリー殿が喜ばれそうなので」


 瞬間、ハッとした表情で落ち着くアリア。


「な、なら我慢する!」


 あまりの変わり身の早さに、エルドリッチは内心でため息。扱いやすいのか、そうではないのか良く分からない人間である。


 エルドリッチはルークスの亡骸から『フレデリカの鉤爪』を回収。


「そう言えば、よくあの攻撃を避けましたね。『トリトンの絶叫』で回避させようかと思った時にはすでにいらっしゃらなかったので驚きました」


 それはルークスが放った最後の一撃について。

 当然『フレデリカの鉤爪』がどのような攻撃を行えるのかについては事前に教えられていたが、実際に目にしたのはこれが初めて。予備動作や発動までの速度、効果範囲などは実際に見なければ分からない。


 しかしアリアは髪を少しかすめた程度で初見でそれをよけきった。

 彼女は淡々とした様子で答える。


「そりゃあ、何かしてくるのは分かってたから。それに壁を背にした時点でそこが安全地帯なのも分かり切ってたし」


 壁を背にして構えた時点で、ルークスがカウンター狙いであることは容易に想像できる。故にわざと攻撃を仕掛けるふりをして能力を誘発し——余裕を持って回避したという訳である。


 青白い光がルークス自身の視界も塞いだ結果、アリアが壁を切り裂き逃げ込んだことに気付かず、結果として不意打ちという形で決着がついたのだった。


「なるほど、そういう訳でしたか。……では、何はともあれ『フレデリカの鉤爪』も回収できたことですし、そろそろ帰還するとしましょう」

「わかった」

「……ところで、普段からそういう風にまともな受け答えをすることは難しいのでしょうか?」

「欲求不満が満たされれば……」


 ちゃんと受け答えするアリアに頭を抱えつつもエルドリッチは『トリトンの絶叫』を使用。フィリップとその部下を回収すると、雇った盗賊を囮にしてさっさと引き上げるのだった。



  §



 闘技場、地下。


 『シルフィの右腕』を回収したロベルタたちは地下通路を駆け抜けていた。

 すでに目的は達した彼らであるが、その表情には一部の油断もない。砕けた表情をしているのは愛おしそうに右腕に頬擦りするロベルタぐらいなものである。


「……運ぶのをお手伝いしましょうか?」

「ダメなのじゃ! 子を運ぶのは母の務めなのじゃっ!」

「そうですか」


 小柄な彼女では運びにくいだろうと察しての気遣いだったが、ロベルタはこれを拒否。ぎゅっと腕を抱きしめながら必死に走る彼女は、しかし徐に顔を上げる頭に疑問符を浮かべた。


「ところで、どうやって逃げるのじゃ?」

「……聞いていなかったのですか?」

「妾は馬鹿なのじゃ。来た時同様にトリトンの力を借りるのかと思えば、あのいけ好かない男が連れて行くし……早くやや子たちに会いたいのじゃ……」


 馬鹿だと自虐したかと思えば、怒りをあらわにしたり、悲しそうな表情を浮かべたりと忙しいロベルタ。そんな彼女に回収班の総指揮を担当する男は淡々と答える。


「トリトン様のお力はお借りしませんよ。そんなことせずとも、問題ありませんので」


 確かに『トリトンの絶叫』は非常に強力な魔導具である。

 驚くほど簡単に魔法学園に侵入できたのだって『トリトンの絶叫』の力によるところが大きい。しかし、だからと言って力を有するのは魔導具だけではない。


 ジョン・エルドリッチが率いる部隊というだけで、世界的に見れば十二分に畏怖の対象であるのだから。


「そろそろ校舎地下です。私が合図すると同時に脱出、一気に逃げますのではぐれないようについて来て下さいね」

「わ、わかったのじゃ」


 そして総指揮の男が指でスリーカウントを取り——カウントがゼロになった瞬間、仲間の一人が魔法を発動。遠くから爆音と、何かが崩れる音が聞こえてくる。


「今です」


 爆音に合わせるように出された合図。飛び出す軍服たちに遅れないように、ロベルタも必死になって走る。——が、ステータスやそもそもの身長差などから大きく後れ……仕方がないので総指揮の男は仲間の女に指示を出して担がせた。


「ぬおっ!?」

「振り落とされないよう、捕まっていてください」

「わ、わかったのじゃっ! っと、は、はやっ——」


 その速度に驚くロベルタは、ふと先ほど爆音がした方向へと視線をやり——煙の上がる闘技場を見つけたのだった。



  §



 闘技場での乱戦は、虐殺へと変貌していた。


 テロリストによる虐殺——ではなく、テロリストが虐殺されていた。

 闘技場に仕掛けられていた魔法が『シルフィの右腕』の奪取により消失した今、彼らに勝機など万が一にも存在しない。


 千司はせつなや文香、そして松原や辻本を守るように闘技場の中心に陣取りながら迫りくるテロリストを殺害しつつ、一騎当千の活躍を見せる三人に視線をやった。


 一人はリニュ・ペストリクゼン。

 殺しが解禁された今、彼女を止められるものなど存在しない。おそらく事情を聴くために数人のテロリストを確保したのち、残りは容赦なく殺していた。


 二人目はルブルス・ヘーゲルン。

 王国貴族の力を遺憾なく見せつける彼は屍の山を築く。


 そして三人目は遅れて現れた第二騎士団団長、オーウェン・ホリューである。

 見惚れるほどに美しい剣技で正確無比に、敵に必要以上の苦痛を与えず殺害していく様は圧巻の一言に尽きる。


(うん、やってらんねぇ)


 千司は死んだ目で彼らを見つめた。

 ルブルス・ヘーゲルンに関しては確かに強いけれど、実践を積んだ騎士の方が強いためおいておくとして、問題はオーウェンである。


(なんで、あいつが強いんだよ……これがセレン団長だったらよかったのに)


 馬鹿で扱いやすく、そして女である。同性愛者でもない限り彼女を落とすことは容易と失礼極まりない評価を下している千司である。が、しかし、その実力はオーウェンと比べるとどうしても見劣りしてしまう。


(仲間にするならオーウェンがいい。……でも、あの手合いって、絶対俺とは相性悪いし、洗脳も難しそうなんだよなぁ。幸いなのはあと少しでリニュを落とせる点か……でも、リニュを落とそうとしたらライザが絶対邪魔するだろうし……あぁ、めんどくせえっ!!)


 苛立ちをぶつけるようにテロリストを殺害。

 血みどろの殺し合いにせつなや文香は真っ青な顔で目を瞑っているが、どういう訳か松原だけは千司を見つめて「がんばって~!」と笑顔で応援していた。


(やっぱこいつ頭おかしいよなぁ。だんだん好きになってきた)


 今度それとなく『倫理値』を聞いてみようかな、などと思っていると——突如として闘技場に爆音が響き渡る。


「……っ、なんだ!?」

「勇者、無事か?」


 音に驚き近くにいたギゼルとリゼリアが寄ってきた。

 千司は軽く首肯を返してから音のした方角——煙の上がる闘技場の出入口を確認。


 そして、内心でほっと息を吐き、口端を持ち上げた。


(うん、無事に済んだみたいだな)


 闘技場で立てこもれば援軍やリニュが闘技場内で戦うのは必定。多くの勢力が闘技場に集まるように仕向けた後にその出入口を『魔法陣』を用いて遠隔に爆破し崩落。万が一にもロベルタたちの後を追うものが出ないようにする作戦である。


 同時に外にも待機させているであろうヘーゲルン辺境伯の兵士の注意をそちらに向けたり、そろそろ帰ってくるだろう一組の視線を集める意味合いもある。


 そしてその間に、ロベルタたちはすたこらさっさと魔法学園から脱出する計画であった。


 つまるところこの爆発は——終わりの合図。


「くそっ、くそくそっ! なんだよ! なんなんだよぉ!! なんで俺がこんな目に遭わなきゃならねぇんだよォォオオオオオッッ!!」


 仲間をすべて殺され自暴自棄となった最後のテロリストを、千司は一線。

 首を切断し苛立たし気に血払いをして剣を鞘に納めて、バレない程度に息を吐く。


(ん~! 楽しかったぁ!! このまま珈琲でも飲んで一息つきたいが……まぁ、終わったことを知ってるの俺だけだし、警戒の演技は続けなきゃダメなんだよなぁ~めんどくせぇ~)


 何て思いはおくびにも出さず、キリッとした表情を『偽装』しながら千司はこの後の予定を考えるのだった。

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