#11 ブラックジャック!負けたら罰ゲーム! その3

 そういやこのトランプって、花札屋が出してるんだってな!

 まあオレは花札やったことねーけどな!ハハハ!


————


 さて、レナになにをしてもらおうか。まずは……


 そう考えていたときだった。


「ふふっ、あなた、結構かわいいとこあるのね。あなた、『実はもう満足していて』、レナよりも『私にしてほしいコト』あるんじゃない?」

 コトミにそう言われた。


 心を見透かされていた。


 コトミは、僕の横に歩いてきて、僕の腕に彼女の身体をあてがうようにしながら、こう囁いた。


「——じゃあ、こうしましょう。さっきのブラックジャックとルールは一緒。それで、私が負けたら、『あなたのことをなんでも聞く』。私が勝ったら、『レナのことは帳消しにする』って、ね。どうかしら」


 僕の心は折れた。


 僕にはデメリットがなかった。


 ——勝負に乗せられた。


「ふふっ、じゃあ、はじめましょうか。シャッフルは、そうね……イオに任せようかしら」

「はーい!」


 あっ、うっかりしていた……

 自分のシャッフルで並び順を有利にするのを忘れてしまった。

 まあ、山札の上の方に大きい数字が集まらなければいいのだが……


「じゃあ、あの時計の秒針が12時の位置をさしたらはじめる、それでいいかしら?」

「わかったよ」


 秒針が12時の位置をさした。

 ゲームが始まった。


 そのときだった。


「じゃあ、わたしは『これ』で勝負しようかしら」



 えっ……

 コトミ、いま、なんて言った……?



「『これ』で、ね」

 コトミは、テーブルの「なにもないところ」を指さして、そういった。

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