#10 ブラックジャック!負けたら罰ゲーム! その2

 そういや「あの視聴率高いテレビドラマ」、おもしれーよなー!

「倍返し」って実際に使ってみてーよな!話の内容はわかんなかったけど!ハハハ!


————


「レナが18点だったらいいんだけどな」

 自分の手札が17点のときに、僕はそういった。


 僕のこの言葉を聞いて、レナは悩んでいた。


 20秒。


 25秒。


 そして———レナが1枚引いた。



 ——勝ったッ!



「じゃあ、僕も1枚引こう」


 そのまま、静かな30秒が経過した。オープン。


 レナの手札。ダイヤのQ、スペードの2、ダイヤの5、そして、「スペードの2」。 19点。

 僕の手札。ダイヤの2、スペードのQ、クローバーの5、クローバーの3。20点。


 レナは呆然としていた。


「えっ……なんで……」


「相当有利なハンデをもらっていた」と思っていたのだから、無理もないだろう。



 ——実は、2つ細工をしていた。


 カードの裏面と側面に、傷をつけていた。

 ほんの少しの、普通なら見ても気づかないような些細な傷だ。

 スートを表す4種類の傷と、数字を表す13種類の傷をつけた。

 相手の手札の裏面の傷を見れば、「手札の数字がわかる」。つまり、レナの手札は僕に筒抜けだった。

 そして、山札の側面の傷を見れば、「山札の数字がわかる」。


 そして、シャッフルも普通のシャッフルではなかった。

 エースは山札の一番下に行くという、そういうシャッフルの仕方だ。そのくらいは僕のテクニックでもできた。

 1か11の好きな方を選べるエースを引かれると、デネブの輝き変換魔法を使われると、勝てる可能性が大きく下がる。


 しかし、最後は運だった。


 僕が17点のとき、山札にあった「ハートの8」が邪魔だった。その下はクローバーの3、そしてその下はハートの6だった。

 レナの手札が18点ということはわかっていた。だから、揺さぶりをかけた。

 そして、レナは「ハートの8」を引いた。レナはそれをデネブの輝き変換魔法で「スペードの2」に変えた。

 無事「ハートの8」を回避した僕は、その下のクローバーの3を引けた。

 その下はハートの6だったから、僕の勝ちはレナが「ハートの8」を引いた時に、決まっていた。



 完璧だった。


 僕は勝利の余韻に浸っていた。


 ババ抜きの屈辱は果たした。


「じゃあ、レナには何をしてもらおうかな?まずは……」


 ——そのときだった。コトミが口にした。


「ふふっ、あなた、結構かわいいとこあるのね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る