第5話

 私と川原アユは、ショッピングモールの外にあるコーヒーショップのカフェテリアでくつろいでいた。


 くつろぐ‥‥‥


 確かに体はくつろぐでいた。アユに連れられ、モール内のお店を見て回っていたから。

 けど‥‥‥、心の中はくつろげないでいた。

 くつろげない?‥‥‥いえ、違うわ。

 ヒロ君に告白された日から時間が経つに連れて、あの日の自分の罪悪感の苦しみ、悲しみが徐々に薄らいでいく‥‥‥。

 だけど、だけど、ヒロ君への好きと言う気持ちは変わらないでいた。

 けど、怖い‥‥‥怖いの。

 もしこのままヒロ君と話せなくなれば、この好きの気持ちも薄らいでいくのではないかと‥‥‥。



 ◇◇◇



 最近、ユリが元気がない‥‥‥

 何かあったの?と聞いても"いつもと変わらないわよ"と言うだけで笑顔を見せる。


 『はあ〜っ(ため息)あのねぇ、あんたと何年友達してるのユリ!。確かにあんたの笑顔は、側から見ると悩んでいるなんてわからないわよ。けどね、私にはわかるの!』


 そう心で呟く私がいた。


 鹿島ユリとは、中学一年からの友達。

 最初見た時は、女の私から見ても可愛い子だと思っていた。

 そんなユリと友達になるきっかけを作ってくれたのが、渚ヒロト。

 私はあの日、掃除当番でゴミ出しをしに焼却炉の所まで、ゴミを出しに行く途中だった‥‥‥。



 「ほっんとにうちの男子は、こんなか弱い乙女にこんな力仕事を押しつけて!」


 

 私がよろよろしながら廊下を歩いていると、前にいる男子に気づかなく、ドンと当たってしまい、私が倒れそうになる所を助けてくれたのがヒロトだった。



 「危なかったな」

 「あ、ありがとう」

 「‥‥‥重たそうだな、手伝うよ」

 「えっ!、いいわよ」

 「無理すんなって。あんなによたよた歩いていたらまたコケるぞ」



 そう言うとヒロトは、ヒョイと軽々とゴミ箱を持ち上げると、焼却炉の所まで持っていってくれた。



 「あ‥‥‥ありがとう」

 「いいよ別に。これで軽くなったから自分で持てるよな」

 「うん‥‥‥あの‥‥‥」

 「うん?」

 「あなた、いつも鹿島ユリさんと話してる男の子よね」

 「うん?、そうだけど」

 「私を鹿島ユリさんに紹介してくれる?!」

 「はあ?」

 「私、鹿島ユリさんと友達になりたいの!」

 「ま、まあ〜別にいいけど。けどなんで?」

 「私、クラスの皆んなと仲良くなりたいの。けど、なんか鹿島ユリさんには近寄りがたいと言うか‥‥‥そんなオーラみたいなのが‥‥‥」

 「うん、いいよ」

 「えっ?本当に!」

 


 あの日から私は鹿島ユリ‥‥‥ユリと友達になった。そしてヒロトとも友達になった。

 ユリとは女友達、ヒロトとは、私が男みたいな性格なのか、男友達みたいに接していた。

 そして、ユリからは色々と相談をされたりしたりした。

 ヒロトの性格は誰にでも優しいかったから、私の子分?(ちょっと言い過ぎかな)みたいな感じ。私がなにかヘマをするとヒロトがかばってくれた。て言うか尻拭い。

 まあ、そんな感じで今にいたる、なんだけど‥‥‥、最近のユリとヒロトの間がギクシャクしてる。他のみんなからはそんな感じはしないと言うけど、私にはわかる。

 だって、ユリはヒロトが好きなんだから。

 だって、ヒロトはユリが好きなんだから。

 そんな二人が、まるで距離を空けるような接しかた。何かある、あるわよ!。



 ーーーじゃあ、どうしたいの?ーーー


 

 そう私の心が呟く。


 えっ?。


 ーーーあなたはどうしたいの?川原アユーーー


 えっ?‥‥‥私は‥‥‥私は‥‥‥



 ーーー何故すぐに二人に起きた事を聞かないの?ーーー



 それは‥‥‥。どうして聞かないの?私はどうしてユリにすぐに手を貸さないの?どうして?どうして?私はユリとヒロトに‥‥‥。



 ーーーーーーーーーーーー



 なに?答えて!なに?このモヤモヤとした気持ち‥‥‥なんなの!誰か教えて!。私はユリとヒロトが昔のように‥‥‥。

 ヒロトが‥‥‥いや、いや、いや‥‥‥私はヒロトが好き?‥‥‥好きなの?



 ーーーそれが今の正直な気持ちーーー



 なによ!なんなのよ!。

 私はユリの友達!友達なのよ!

 だから!ユリとヒロトの中は私がなんとかする!なんとかするんだから!‥‥‥

 決めた!私はユリの力になる!

 ユリの友達だから!



 決意?なのか私はユリの方を見つめていた。本当の気持ちに気づかないまま。

 

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