第6話
俺とナナミは、モールの一階にあるフードコートで遅めの昼食を取っていた。
が!、ここでもナナミは目立つ。
窓際の席に座っていたから、360度周りからの視線は気にならなかったが、やはりと言うか、男達の羨ましい的な、嫉み的な視線が俺に来て痛いです。
みなさ〜ん!、この子は俺の妹なんですよお〜!
て、叫びたい気分です。本当に。
けど、そんな事少しでも言うと、今のナナミの天使の様な笑顔が一変して、鬼の様な形相に‥‥‥。(考えるだけで身の毛がぁぁぁ)
そんな重い気持ちとは逆に、ナナミは何が嬉しいかわからない程の満面の笑みを俺に向けます。まあ、誕生日プレゼントを買ってあげたからだと思うんですが。(財布の中身を見る俺がいますよ、トホホ(泣))
お兄は、私がプレゼントを買ってもらえたから喜んでいると思っているでしょうけど、違うよお兄。
私はね、こうして久しぶりにお兄と一緒に二人だけでお出掛けできる事に、喜んでいるのよ。(プレゼントを買ってくれたのもあるけど)
それに周りの人達は、私達を///こ、恋人///と勘違いしてるから(照れ)♡
けど‥‥‥お兄の気持ちは私ではなくあの人、ユリ姉さんに向いている‥‥‥。
私はお兄の事が好きなのに。
こうして、手と手が触れ合える近い距離にあるのに、気持ちだけは届かない距離にある‥‥‥。
ねぇ‥‥‥お兄、私はこれからどうすればいいの?‥‥‥。お兄とどう接すればいいの?。教えて、お兄‥‥‥。
◇◇◇
私とアユは、カフェテラスでカフェ・オ・レを飲みながら雑談をしていた。
こうして友達と話すと、悩んでいることも少しは和らぐ。
けど‥‥‥恋の悩みに対しては、なかなかそうはいかない。
アユが私に話しかけても、たまに上の空の様になり、「えっ?なに?」と聞き直す事がしばしばあった。
そんな様子の私を見て、アユが
「ユリ、大丈夫?。悩みがあるなら、相談に乗るわよ」
心配そうに私を見る。
私は、「ありがとう、アユ」とにこりと返事したが、アユが、「悩みがあるなら話した方がスッキリするわよ」と言ってきた。
私は‥‥‥私は、アユに話したい。相談したい。
ヒロ君と勘違いによるすれ違いがあったの、どうすればいいの?、と。
けど‥‥‥アユも‥‥‥多分、ヒロ君が好きだと思う。
アユにヒロ君が好きか聞くと、多分「別に。」と返答するだろう‥‥‥。
アユは優しいから。
ーーーけどね、アユ。私は、ヒロ君との恋の悩みは、あなたには相談できないの。あなたに相談したら、必ず協力するというでしょう。けど‥‥‥その影で、あなたの悲しむ姿は見たくないの‥‥‥。ーーー
私は、そう思いながらアユの話を聞いていた。
そんな時だった。
「相席いいですか?」
私とアユに話し掛ける大学生風な男性が二人立っていた。
二人の男性は、グレーのメンズカジュアルを綺麗に着こなし、モデルかなと思える程の身長、笑顔が冴える表情で、私達に微笑んだ。
「‥‥‥‥‥‥」
「あのう、いいかな?」
「‥‥‥えっ?あっ!はい!ど、どうぞ」
「ありがとう(笑顔)」
男性二人は、ニコリと笑みを出すと、空いていた席に腰掛けた。
するとアユが男性に対して、
「あのう、空いている席なら他にもあるのですが、何故ここに?」
アユが少し警戒しながら聞いてきた。
私も見ず知らずの男性から声を掛けられたから、アユと同じく警戒した。
ただ、この後、私とアユの警戒が緩み、とんでもない事になろうとは‥‥‥。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます