第35話 幻惑蛾 Ⅳ






「………………」


5階層に到着してから2時間が経っただろうか。

怪物モンスターとの戦闘を可能な限り避け、時折休憩を挟みつつ迷宮ダンジョンをさらに奥へと進み、僕たちは幻惑蛾ファントムモスの巣に着実に近づいていた。





「……………………」


今……僕たちの眼前にはホブゴブの集団がいる。数は4体。

醜い相貌を歪めながら棍棒を肩に担ぎ腰布一枚を纏って、岩盤を掘り進めたような通路をのそのそと歩いている。

のんびりと歩む、皺だらけのホブゴブ。

キョロキョロと僕たちえものを探して時折スンスンと鼻を鳴らす。

だけどその鼻は大して機能していないみたいで僕たちが見つかることはない。


ホブゴブたちが歩みを止めず通路角を曲がったところで、僕はほっと胸をなで下ろしながら、通路の凹みを出る。

僕たちはタケルが偶然見つけたに通路の岩陰に隠れてホブゴブとの戦闘を避けようとしていたんだ。




「ーーーふぅぅぅ~。やっといったなぁ。鈍間に歩きすぎだろあいつら!」


狭い凹みにギュウギュウ詰めで隠れていたから身体が凝った。僕たちはそれぞれ身体を伸ばして解す。


「もう『幻惑蛾ファントムモスの巣』はすぐそこです。ここで戦闘を避けられたのは大きいですね」


「これも絶好の隠れ場所を見つけた俺様のお陰だな!」


ニヤリと豪快に笑い、腰に手を当てて胸を張るタケル。

……そこまで大した功績ではないですけどね……。

口の先まで出かけた言葉を飲み込む。


タケルはパフォーマンスがテンションに左右されるタイプの人間だ。

普段ならまだしも、幻惑蛾ファントムモスに挑む直前に態々タケルのテンションを下げる必要は無い。

僕はタケルの態度に苦笑しつつ、ついさっきまで隠れていた通路の凹みを一瞥する。


「そうですね。……?」


凹みを覗いていると、ある違和感・・・・・に気づいた。

凹みを覆う岩壁には魔光石がないから、凹みの中はすごく暗い。暗闇に目が慣れた今だから気づけた。

凹みの前でしゃがんで、目を凝らす。


「……どうしたの、アレン…?」


僕の様子を不審に思ったユリアが同じようにしゃがんで尋ねてきた。


「ーーー見てください。穴があります。人が四つん這いでなら通れそうな横穴が……」


凹みの下部に小さな横穴・・があった。膝ほどの高さで、皮鎧を着込む僕がぎりぎり通れる幅の横穴。魔光石の欠片もないから横穴内部は漆黒。どれだけ目を細めても穴の先は覗えない。

ゴツゴツとした岩壁面に手を当てながら僕が横穴の奥を覗き込もうとすると。


「ーーーはぁ!?まじかよ!?俺様にも見せろ!」


鼻息を荒げて興奮するタケルに肩を掴まれて放り投げられた。


「ーーーちょっ!?」


ーーー痛っ!?


タケルに投げられて、受け身も間に合わず通路に思い切り腰を打つ。

ジンジンとした鈍痛が腰に響く。

ホブゴブリンの革鎧のお陰で痛みは小さいけど……。まさか探索の初負傷がタケルなかまによるものになるとは考えても無かったですよ……。


僕は横穴を目を輝かせながら覗いているタケルに内心舌打ちをして、腰をさすりながら立ち上がる。


「ーーーうわっ!まじじゃん!?やばっ!『隠匿領域かくしエリア』じゃね!?」



隠匿領域かくしエリア』。

迷宮ダンジョンは1ヶ月に1度程度の間隔で細かな内部構造を変化させることがある。

地図にない小部屋が発生していたり逆に無くなっていたり。

脇道が生まれていたり逆に消えていたり。

そんな小さな変化が1月に1度程度で迷宮では起こる。

そしてその小さな変化で発生した領域、『隠匿領域かくしエリア』にはーーー高額で取引される未知魔道具オーパーツすらも眠る『宝箱』が隠されているんだ。



「ーーーちょっと行ってくっからお前らここで待ってろよっ!!!」


いきなり四つん這いになって横穴へと頭を突っ込むタケル!

僕は慌ててタケルに駆け寄り、足を掴む!


「ーーー闇雲に行動しないでください、タケル!」


「……危険、かも…」


こんな真っ暗な通路の先、何があるか分からない……。

ただの隠匿領域かくしエリアならいいが、下手したら凶悪な怪物モンスターが待ち構えている危険領域かもしれない。

危険領域に四つん這いのまま1人で突入するなんて、怪物に首を差し出すようなもの。

初級階層1~6階層に魔光石が輝いていない領域があるとは思っていなかったから松明も持ってきていないし、携行魔石灯も持っていない。

つまり突入するなら無光源で真っ暗闇の迷宮きけんちたいを進むことになる。


本当なら……こんな怪しい横穴無視して先に進みたいんですが…。


「ーーーいやいや!もしかしたら『宝箱』があんかもしれないんだぜ!?幻惑蛾ファントムモス倒しても借金返して金なくなんだから、チャンスはものにしねぇとだめだろ!?」


僕はタケルの意見を聞いて悩ましい二択に頭を掻く。

安全を優先するなら横穴を無視するのが良策。

でも弟妹たちのため孤児院のために、お金は絶対に必要で、この横穴は価千金の宝箱が眠る隠匿領域かもしれない。

カルロスの借金返済で無くなる孤児院の運営費用を…せめてガルム兄さんたちが森の巨人もんばん討伐を成し遂げて帰ってくるまでの運営費用を今回の探索で、幻惑蛾ファントムモスとは別で、稼いでおきたい。

だから……ここで危険を承知で探索者として冒険することも必要なのかもしれない…。


《……………………》


僕は頭が沸騰しそうになるほど悩み、決断する。



「ーーー1目見るだけです。奥に続くようならすぐに戻ってきてください」



「ーーーそうこなくっちゃな!行ってくるぜ!待ってろ!お宝ぁぁぁ!!!」


僕の許可を聞いた瞬間目をキラリと輝かせたタケル。

手足を光速で動かしてビュンッという効果音が似合いそうな速さで横穴に突入した。


うぉぉぉ!というタケルの掛け声が横穴に反響している。



「……大丈夫、かな…?」


ユリアが不安げに眉を歪めながら僕の顔を覗きながら呟いた。

僕はユリアを安心させるために内心の不安を隠して微笑む。


「タケルなら大丈夫でしょう。悪運だけ・・は強いですから……」


「……そう、だよね…」


僕とユリアは永遠と続く漆黒の横穴を見つめながらタケルの帰還を待った。






『ーーーのぉぉぉぉん!!!』


「ーーータケル!?大丈夫ですか!?」


タケルの悲鳴が響いたのはタケルが横穴に突入してーーー僅か数十秒後だった。


僕とユリアは慌てて横穴に駆け寄る!

ひどく動揺したタケルの声が僕の不安を掻き立てた。


《横穴の出口に怪物モンスターがいたのか!?それとも別の非常事態!?》


最悪の事態すら想定してタケルの返事を待つ。


だけど、予想に反してタケルの返事はーーー。




『ーーー宝箱あったけど、中身がねぇぇぇ!!!』




ーーーほのぼのとしたものだった……。


「……良かった…」


タケルの返事にユリアと一緒に胸をなで下ろして苦笑する。

心配していた分、安堵の気持ちが大きい。

まったく……勘違いしてしまったじゃないですか……。

内心タケルに悪態をつきながらも、面に張り付く笑みは消えない。


ーーーまだ横穴からタケルのノォォォォ!という嘆きが響いてくる。相当に悔しかったらしい。


「……先に誰かが入った後だったみたいですね。残念です」


「……うん、残念…」


ユリアと顔を見合わせながら微笑みあう。

残念な結末と言葉とは裏腹に僕とユリアの笑みは消えない。




ヒョコリ。

タケルが横穴から顔を出した。


「ーーークソッ!もしかしたらとんでもねぇお宝が入ってたかもしれねぇのによぉ!!!」


いつにも増して随分イライラしている。

タケルは誰とも知れない探索者に舌打ちをしながら穴から這い出た。

五体満足で未知の隠匿領域から戻ってきたタケル。

念のためタケルにはユリアの『ヒール』を受けてもらい完全回復させる。


「まあ、こういうこともあります。先に進みましょう」


永遠と悪態をつき続けるタケルを宥めて地図を覗く。

幻惑蛾の巣までの道程を再確認してから2人の先頭に立って通路を進もうとしたーーーそのとき。




『ーーーギャァァァス!』




「ーーー!?なんだ!?」


突然通路の先、遠くから響いた怪物モンスターの叫声。


「……怪物モンスターの遠吠えですね。幻惑蛾ファントムモスの巣はもうすぐ近くですから…」


ーーー緩んでいた危機意識を再度張り直す。


ここは……迷宮ダンジョンなんだ。

……凶悪な怪物で溢れている迷宮なんだ。


……常に『死』が真横を追随している迷宮なんだ…。



油断している場合じゃないぞ……僕っ。



「ーーー進みましょう」



度々聞こえる怪物の狂声に気を引き締めながら、僕たちは歩み続ける。













『ーーーゴォォォア!!!』


『ーーーギャンギャンッ!!!』


『ーーーグラァァァァ!!!』




「……ッ…」


……隠匿領域かくしエリアを見つけた場所から10分以上歩いてきたか。


……いやもしかしたらたった数分しか歩いていないかもしれない。

でも僕たちからしたら10分以上歩いた気がする。

……それほどの精神的疲労を感じていて、今も疲労は蓄積され続けている。


疲労の原因はーーー通路に響き渡る『怪物の狂声』。

絶え間なく坑道に響く怪物の遠吠えは、まるで真横に怪物がいるかのような本能的な恐怖を否応なしに呼び起こさせる。

……そんな状態が数分以上も続いて、今か今かと始まる戦闘への緊張感に押しつぶされそうになっていた。


ゴツゴツと突起する岩壁から感じる圧迫感。

迷宮の広間から随分離れたから他の探索者に気配はない。

幻惑蛾の巣に近づくにつれて岩壁から顔を出す魔光石の数が減ってきて、通路は徐々に暗くなっている。


ーーーまるで…怪物モンスターの大口だ。


……薄暗い通路・・・・・の先を見据えて、弱い心がそんなことを思わせる。


……剣を握る手に汗が滲んでいる。

鳴り止まない怪物の遠吠えに心が休まらない。

緊張で必要以上に体力が消耗されている。


僕は背後に控えるパーティメンバータケルとユリアを覗う。

……2人も僕と同じように険しい表情で周囲を警戒していた。全員剣と杖ぶきをきつく握り、周囲を見渡している。


……心配性のユリアはともかく、豪胆なタケルも額に汗を滲ませていた。


背後の仲間を気にかけつつ、一歩一歩確実に歩み、幻惑蛾の巣に近づく。


怪物の叫声が鳴り止まないせいで……聴覚での索敵は不可能だ。怪物の足音なんて聞こえない。

頼りになるのは視覚だけ……。

視覚しか頼れない今、曲がり角の先にいる怪物には気づけない。……例えば、あの角の先・・・・・とかも。

いつ目の前に怪物の集団モンスターが現れてもおかしくない……。


……一時の気休めすら許さない状況……。



……幻惑蛾ファントムモスの巣に近づくにつれて『種々の怪物モンスターの遠吠え』が聞こえるようになった理由。


それはーーー幻惑蛾の習性によるものだ。


幻惑蛾は怪物にしては珍しく、単体としての危険性はない。探索者に襲ってくることもなければ危害も加えない。単体として無害な怪物だ。


ただーーー幻惑蛾ファントムモスは別種の怪物モンスターに対して幻惑を掛け、自身を守る守護兵とする習性がある。

幻惑蛾ファントムモスが操る怪物モンスターの数は数十に及ぶと聞く。

幻惑蛾は探索者を見つけると、その数十の怪物をけしかける。

幻惑蛾を狙う探索者は、数十の怪物の大波スタンピードと死闘を行うことになる。


……この怪物共モンスターの遠吠えは、幻惑蛾の巣に待機する怪物共のものだ。

つまり今も聞こえる怪物共の大叫声ハウリングの数だけ幻惑蛾の巣にはーーー怪物の大群がいるということ…。




幻惑蛾の怪物の大群スタンピードの居城ーーーそれこそが別名:幻惑蛾ファントムモスの巣だ。








『ギャァァァ!!!』


『グラァァァァ!!!!』


『ブルゥゥゥゥ!!!!!』


……五月蠅い。

心地悪い。こんな所に1秒でも長くいたくない……。

常に頭に響く怪物共の大叫声ハウリングに眉を顰める…。


ーーーでも、やっと辿り着いた。


僕はL字の角から銅鏡を差し出して曲がり角の先を確認する。



曲がり角の先には1つの広間があった。

魔光石が徐々に減り続けた薄暗闇の通路と打って変わって、無数の魔光石が広間に爛々と輝き広間内を照らしている。

突如として現れた神々しさすら感じさせる輝く広間。


そしてーーー広間を蹂躙する無数の怪物共モンスター

ゴブリン、キルラビット、ビッグラット、ワイルドボア、ウルフ、コボルト、ハニーベアにホブゴブリン。

5階層までに現れる怪物全種類が揃っていて、広間の奥まで怪物共は詰めている。

完全に幻惑蛾の幻惑の中かんりかにいるようで、全ての怪物が広間から出る気配はない。

広間の奥にいる幻惑蛾を守るための守護兵になっている。


ーーーざっと見積もって数は……50体以上。


僕は銅鏡から視線を外して振り返り、背後に控えるタケルとユリアに話しかける。


「……幻惑蛾ファントムモスの巣を確認しました。怪物モンスターの数は少なく見積もっても50体以上。…ここを曲がると敵に見つかってしまうかもしれないので、ここでもう1度作戦を確認します」


「今回の作戦で最も重視するのはスピードです。タンクは正面からの攻撃しか守れませんから僕が敵に囲まれる前に敵を全滅させます」


「僕は全力で『ヘイト稼ぎ』を行って敵の攻撃を集めますから、タケルはどんどん攻撃を。僕が全力で『ヘイト』を集めますからヘイトは意識しないでいいです。僕も完全な防御は捨てて、攻撃にも参加します。いつも以上に僕は怪我を負うでしょうから、ユリアは入念に回復をお願いします。もし緊急事態が発生したら即撤退します。僕が殿を務めるので……ユリアは後ろを気にせず全速力で後退してください」


……2人とも容易に想像のつく死闘を前に、真剣に話を聞いてくれた。


「ーーーおう。任せろ」


「……うん…」


タケルに続いてユリアも頷く。



頷くユリアを一瞥した時に……ユリアの手が震えていることに気がついた。

俯くユリアの顔を覗うと…少し青ざめていることに気づいた。


「……ユリア、大丈夫ですか?」


「……ぅん…」


……なんとか頷くユリア。

でも…それが空元気によるものだと、僕には分かった。


たった今から……一歩間違えれば死が待つ死闘が始まるんだ。

平然とできる人の方がおかしい…。



どうすれば……ユリアを励ませるか……。



……そんなの決まっている。

誰もこの死闘で死なないことを約束すればいい。このパーティから誰も欠けることなく、孤児院に戻ることを誓えば良いんだ。

だって僕がこのパーティのリーダーで……パーティの盾タンクなんだから。



「僕がーーー絶対にユリアを守ります・・・・から」



僕は震えるユリアの手を握って、ユリアの目を見つめて誓った。


「………うん……」


ユリアは驚くように目を丸くした後、頬を赤らめ頷いてくれた。

頬の赤みが青ざめていた顔の血行を改善させ、ユリアの手の震えもなくなった。

ユリアの体調が良くなったことに安堵して若干の気恥ずかしさを覚えながら、ユリアの手を離す。


そしてーーー立ち上がる。


「問題なければーーー行きましょう」


タケルとユリアが問題ない、と頷いてくれた。




銅鏡でもう1度曲がり角の先を覗き、手前側の通路に怪物がいないことを確認した後、3人で通路に躍り出た。

それぞれ腰から投げナイフを取り出して、構える。


狙いはーーー広間の怪物共モンスターっ!


「ーーー全員っ!ナイフ放てっ!!!」


『ーーーギャァァァ!!!』


僕の掛け声と同時に、3人で怪物共目掛けてナイフを投げ始める!


次々に放たれるナイフが広間の怪物共の体躯に突き刺さる!

運良く頭に突き刺さり、一撃で倒せたゴブリン。

足を切り裂かれ、機動力を失ったキルラビット。


ユリアのナイフもコボルト胸に深く刺さり、出血させた。

僕の投げたナイフも狙い通りホブゴブの眼球に突き刺さった。

元から投げナイフが得意なタケルは次々に怪物共の急所目掛けてナイフを飛ばしている。


広間には怪物共が奥までぎゅうぎゅうに詰まっている。

ナイフを投げさえすれば、何れかの怪物に命中するような状況だ。


ーーーまだ怪物共が状況飲み込めていない今のうちに1体でも多く無力化する!




ギロリッ!

遂に幻惑蛾ファントムモスも襲撃されている事態に気づいたのか、操られている怪物共が動き出した!


一斉に僕たちに向けられる数十体の怪物の殺意。



『ーーーグアアアアァァァ!!!』



広間の怪物共が駆け出した。


狙いは当然ーーー僕たち。

やっぱり凄い迫力だ……。これが、『怪物の大波スタンピード』……。


ダダダダダッ!!!

怪物が駆けて寄る重低音が通路に轟く。


「ーーー来いっ」


残った投げナイフを腰に仕舞い、片手剣とマザーから預かった白銀の『硬化盾』を構える。


そしてーーー魔力を全身に纏う!



「ーーーこの身はパーティの盾タンクっ!すべての猛攻をただこの一身ひとみで受け止めるっ!!!ーーー『魔装』ッ発動ッ!!!」



全身を纏う魔力が硬質化し、透明な魔力の鎧を形作る。

多量の魔力を纏うことは必然的に『ヘイト集中』の効果も付随する。


高密度の魔力に本能を刺激され、全ての怪物の殺意が僕に集った!


数十の強烈な戦意を向けられーーー恐怖に身体が強ばる。

圧縮された敵意が僕の精神に牙をむく。


目の前の怪物の行軍おおなみを見てーーー一瞬、心が折れそうになる。




ーーーでも、と。心の中で呟く。


ーーー僕はパーティの盾タンクなんだ。


ーーーカルロスかぞくを、孤児院みんなを守るために…負けられない!!!




「ーーーおい!アレンあれ見ろっ!!!」


タケルの叫びを聞いてタケルが指差す広間の奥を見る。







ーーー広間の宙を、ヒラヒラと優雅に舞う手の平ほどの赤紫の蛾・・・・




無数の怪物の上空を呑気に舞う司令塔リーダーっ。


幻惑回復薬の素材として高値で取引される一方、数々のEランク探索者パーティを壊滅に追いやってきた強敵っ。




ーーー今回の討伐対象ターゲットっ!




「ーーーあれが、『幻惑蛾ゴール』です!!!」






押し寄せる怪物共の大波スタンピードを見据えながら僕は気合いを入れて叫んだ。







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