第103話 制服デート?
<まえがき>
新作、よろしくです! クールな女神様のドロドロ不純部分を煮詰めた感じのお話です! 幼馴染vs姉vs義妹のハーレムも!
タイトル:俺のことを溺愛してくれる理想の幼なじみ婚約者。彼女を裏切って、俺は大嫌いな異母姉と本当の恋をした。
キャッチコピー:赤髪美少女と一緒のベッドで寝ている。初恋の彼女は俺の姉で、愛が激重!?
URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330659237035107
<本文>
ユキが俺に抱きついたので、みんな驚いた。
何より、ユキ自身が一番驚いたみたいだった。
たぶん、とっさのことで、ユキも深く考えて行動したわけじゃないんだろう。
でも、周りからは俺を放したくないという風に見えたはずだ。
「ゆ、ユキ……」
「ち、違うの。これは……」
そう言いながら、ユキは俺から離れようとするけれど、慌てすぎたのか、またこけそうになる。
仕方なく、俺がふたたびユキを抱きとめた。ユキはとてもちっちゃくておとなしい性格だけれど、可愛い女の子で、俺はドキドキしてしまう。
温かくて柔らかい身体……特に、小さな胸の膨らみが当たるのを感じ、冷静さが失われる。
「ひゃうっ。あ、アキくん……」
「落ち着いてよ。ユキ」
「落ち着いてなんかいられないよ……だって……」
ユキはその言葉の続きを言わなかった。そして、顔を赤くして、俺の胸に顔をうずめる。
ユキは俺のことが好きだ。本人は認めていないけれど、俺にも玲衣さんにもバレバレだった。
俺に抱きしめられて動揺しているのは、それが理由なのだろう。
俺はぽんぽんとユキの肩を叩くと、体勢を整えて、ユキから離れた。
ユキはきょろきょろと周りを見る。
夏帆が複雑そうな表情で、ユキを見ている。
慌てた様子で、ユキは夏帆に駆け寄る。
「か、夏帆! これは……」
「何が違うの?」
夏帆が静かに問う。
違う、という以上、何かを否定しようとしていることになる。
ユキは口をパクパクさせた。
「ご、ごめんなさいっ!」
ユキは叫ぶと、走り去ってしまった。夏帆が慌てた様子で「ユキ!」と呼び止めるけれど、行ってしまう。
いつのまにか、俺の耳元に琴音が口を近づけていた。
「先輩って、罪作りですよね?」
俺は何も言い返せず、琴音はふふっと笑った。
☆
その日の放課後。
俺は玲衣さんと一緒に家へと帰ろうとしていた。
琴音は中学なので、当然一緒に帰るわけはない。夏帆は久しぶりに家に顔を見せに帰るとかで別行動。秋穂さんが心配しているだろうから、当然といえば当然だ。
夏帆は何度も玲衣さんに「晴人とイチャついたら、ダメなんだからね!」と念押ししていた。
でも。
俺と玲衣さんが一緒に帰ってイチャつかないかといえば……。
「やっと二人きりだね、晴人くん!」
電車のなかで、玲衣さんは満面の笑みだった。俺と玲衣さんはJRの古い車両にいて、ロングシートに二人並んでいる。
他に乗客はほとんどいない。窓の外には田園風景が広がっている。
玲衣さんは俺と二人きりだから、ものすごく上機嫌で、口笛を吹きそうなぐらいだった。そんなに喜んでもらえるのは、俺としても嬉しい。
屋敷に引っ越してから、玲衣さんと二人きりの機会は少なかった。
玲衣さん、夏帆、琴音、雨音姉さんがお互いを監視しているからだ。
結果として、玲衣さんがこっそり夜中に俺に会いに来るぐらいで、堂々と二人で会うのは、久しぶりかもしれない。
「制服デートだね、晴人くん!」
「そ、そうかな」
単に一緒に帰っているだけな気もする。実際、玲衣さんもそれだけでは不満なようだった。
「ね、どこかに寄って帰りたいな」
玲衣さんが甘えるように俺にしなだれかかる。俺はためらいがちに、玲衣さんの肩を抱く。
こうして見ると、イチャイチャしているカップルにしか見えないだろうな、と思う。
とはいえ、寄って帰るようなところって、あまり都会でもないこの街では多くない。
途中の駅で、女子生徒たちが乗り込んでくる。セーラー服の制服を着ているけれど、幼い雰囲気で、中学一年生ぐらいに見えた。
俺たちを見て、女の子たちはちょっと顔を赤くして、くすくすっと笑った。俺は恥ずかしくなったけど、玲衣さんはますます俺にひっついた。
「玲衣さん……ちょっと恥ずかしいような……」
「わたしは全然恥ずかしくないし、晴人くんのこと、大好きだもの」
玲衣さんはそう言いつつも、顔を真っ赤にしていた。
女の子たちは、「美男美女カップルだ」「羨ましい」「わたしも彼氏ほしい」「リア充死ね」なんて言ってる。
最後に不穏な言葉が混じっていたような気もするけれど、俺たちは仲睦まじい恋人同士に見えるらしい。
玲衣さんは美少女だけれど、俺は「美男」とは言えないと思うけれど。俺は女の子たちの視線と、玲衣さんの身体の温かさを感じて、くすぐったい思いをした。
そんな玲衣さんがの視線が、女の子の一人のカバンに注がれていた。そのカバンにはマスコットキャラクターらしきキーホルダーがついている。
たしか、「くまにゃん」という名前のゆるキャラで、ネコとクマを足して二で割ったような見た目をしている。
眠そうな目が可愛いとかで、最近大人気だった。
「玲衣さん? もしかして、くまにゃんが好き……とか?」
「く、くまにゃんのグッズが欲しいとか、ぜ、全然そんなことないもの」
玲衣さんは恥ずかしがって否定してしまう。
でも、欲しいんだろうな、と俺は思った。
「あ、そうだ。帰りにゲームセンターでも寄ってこうか? UFOキャッチャーの景品に、くまにゃんのぬいぐるみとか、確かあった気がするし」
「えっ、そうなの?」
玲衣さんがぱっと顔を輝かせる。
俺がくすっと笑うと、玲衣さんは「しまった」という顔をした。
「ほ、欲しいなんて言ってないからね?」
「本当に欲しくない?」
「ちょ、ちょっとは欲しいかも。でも、キャラグッズが好きなんて、子供っぽいかなって思ったの。お、大人な女性じゃないと、晴人くんに好きになってもらえないし」
なんて、玲衣さんが頬を赤く染めて言う。俺も気恥ずかしくなる。
それにしても、玲衣さんはどうして大人な女性じゃないといけない、なんて考えたのか。
「だって晴人くん、雨音さんにデレデレしてたもの」
「で、デレデレなんてしていないよ」
「嘘つき」
「俺は玲衣さんの子供っぽいところも好きだけどな」
「わ、わたしはこ、子供っぽくないもの! でも、わたしを好きって言ってくれて嬉しいな」
玲衣さんは小さな声で俺の耳元でささやく。そして、玲衣さんが甘えるように俺の胸板を撫でた。
ふわりと甘い香りがする。
女の子たちが興味津々な様子で「バカップルだ……」なんてささやいてる。
でも、俺はそれどころじゃなくて、甘える玲衣さんにドキドキさせられっぱなしだった。
俺も玲衣さんを喜ばせてあげられるといいのだけれど。
<あとがき>
二度目ですが、新作、よろしくです! 不純系ラブコメ!
タイトル:俺のことを溺愛してくれる理想の幼なじみ婚約者。彼女を裏切って、俺は大嫌いな異母姉と本当の恋をした。
キャッチコピー:赤髪美少女と一緒のベッドで寝ている。初恋の彼女は俺の姉で、愛が激重!?
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