第93話 琴音の胸を大きくする方法


「ご、ごめん」


 俺が慌てて手を離すと、琴音は目を伏せた。


「先輩は……私の小さな胸なんかに興味はないと思っていました」


「わざとじゃなくて、揉み合っているうちに触っちゃっただけで……」


「つまり、興味はない、ということですか?」


 琴音が頬を膨らませる。


「い、いや、そういうわけでは……ちっちゃいのも良いというか……」


 これはこれで失言だ。喋れば喋るほど事態が悪くなる。

 琴音は吹き出して、けらけらと笑い始めた。


「やっぱり、先輩は可愛いです。でも、私の胸を触ったこと、許してあげません。姉さんたちに言ってしまいましょうか」


「そ、それは困るよ……」


「なら、その代わりにお願いがあります」


「できることなら、なんでもやるよ」


「……もう一度、私のおっぱいを……揉んでくれませんか?」


 琴音はキャミソールの上から、小さな胸を自分の手で挟み、押し寄せて強調した。


「で、でも……」


「できないなら、姉さんたちに言っちゃいます!」


「それは困るよ。でも、どうして俺に胸を揉ませることが交換条件なの?」


「私も……先輩を意識させられるぐらい、大きな胸になりたいですから。雨音さんが羨ましいんです」


 琴音の言葉に、雨音姉さんがにやりと笑う。


「無駄な脂肪とか言ったくせに、羨ましいだけじゃない。……あっ、んんっ、乳首つまんじゃダメ」


 不機嫌そうな琴音にふたたび、雨音姉さんの胸がもてあそばれる。胸の突起をくりくりといじられ、雨音姉さんは声を抑えて恥じらっていた。


「男の人って、こういう大きな胸が好きなんでしょう?」


「ま、まあそうだけど……」


「やっぱり! 先輩の変態!」


「琴音に言われたくはないな」


「私が変態だっていうんですか!?」


 雨音姉さんは相変わらず琴音に裸の身体をまさぐられていて、嬌声を上げている。琴音自身も誘うような薄着のキャミソールだし、これまでの経緯からしても変態、というか痴女だった。


「そもそも胸を大きくするのに、どうして俺が揉む必要があるの?」


「だって、好きな人に胸を揉まれると、大きくなるんでしょう?」


「そ、そういう話もあるけど、効果があるかはわからないよ……」


「ありますよ。だって、私は先輩のこと、大好きですもの。大好きな人に胸を揉まれたら、きっと効果も大きいはずです……!」


 琴音は顔を赤くしながらも、熱に浮かされたようにそんなことを耳元でささやいた。

 でも……琴音の胸を揉むなんて……。


 琴音は雨音姉さんの胸から急に手を放すと、いきなり俺の手をつかんだ。

 そして、俺の手を自分の胸の上に持っていく。


 琴音の小さくて柔らかい乳房に俺の手が重ねられた。








<あとがき>


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