クールな女神様と一緒に住んだら、甘やかしすぎてポンコツにしてしまった件について【コミックス②が8/9発売✨️】

第87話 雨音姉さんの誘惑

　琴音はネグリジェの胸元をはだけていて、夏帆は下着姿。

　そんな二人は、俺の部屋のなかで、雨音姉さんを前にしてうろたえていた。

　もともと、琴音の提案で、屋敷の女子が抜け駆けして俺に迫らないかを交代交代で監視するはずだったのに。

　監視役の琴音も夏帆も、俺を誘惑しようとして、そのことが雨音姉さんにバレてしまった。

「二人ともレッドカード。退場」

　と雨音姉さんは楽しそうに言う。

　琴音が口をぱくぱくとさせる。

「で、でも……」

「晴人とエッチなことをするつもりだったでしょ？」

「ち、違います……」

「なら、二人の格好はなに？」

　うっ、と言葉につまり、琴音は目をそらした。

　事実だから、反論できないんだろう。

「まったく……」

　と雨音姉さんは大げさにため息を付き、胸を張る。

　雨音姉さんもTシャツ一枚という姿だから、胸が軽く揺れ、俺はついその視線を追ってしまった。

「あ、雨音さんだって、そんな格好、ダメなんじゃ……」

　と夏帆が言いかけるが、雨音姉さんはにっこりと微笑んだ。

「大丈夫、だって、私は晴人の従姉だもの」

　と言って、雨音姉さんは、二人を部屋から追い出してしまった。

　夏帆もことねも若干、納得いかなさそうにしていたけど、俺が雨音姉さんの言うことに従うように頼むと、二人ともしぶしぶ出ていった。

　二人きりになって、俺はほっと息をついた。

　あのまま、夏帆と琴音に迫られていたら……どうなっていたかわからない。

　俺は雨音さんに向き直る。

「助かったよ。雨音さんが来てくれなかったら……」

「あの二人を押し倒して、セックスしていた？」

　と雨音さんはくすっと笑う。

　直接的な表現に俺はどう答えればいいか、わからなかった。

　雨音姉さんは俺の耳元でささやく。

「本当は私に邪魔されて、残念だったでしょ？　せっかく美少女二人とエッチできるチャンスだったのに」

「そ、そんなこと思ってない……」

「ふうん、ホントに？」

　そして、雨音姉さんは、急に俺に近づき、俺に正面から近づいた。

　急に俺を抱きしめた。

「あ、雨音姉さん……？」

「昔は可愛くて良い子だったのに……今は可愛い女の子をいっぱいたぶらかして……」

「たぶらかしてなんかいないよ」

「でも、水琴さんも、佐々木さんも、遠見さんも、みんなあなたのことが好きでしょ？」

　そう。それはそのとおりだ。

　だけど……

　思考は途中で中断された。

　雨音姉さんが、ぎゅっと俺に胸を押し付けたからだ。

　さすがは21歳の大人の女性だけあって、雨音姉さんは玲衣さんたちよりも胸が大きい。

　俺が小学生で、雨音姉さんが高校生だったときも、こういうふうに抱きしめられたことはあるけれど。

　でも、今は、俺も高校生で、意味合いが異なる。

「晴人君、驚きの事実を教えてあげようか？」

　雨音姉さんがいたずらっぽく微笑む。

　ろくでもないことのような気がする。

「私ね、下着、つけてないの」

　俺は思わず、雨音姉さんを凝視してしまった。

　ぶかぶかのTシャツ一枚の雨音姉さんは、ブラジャーをつけていないらしい。

　いや、ズボンみたいなのも履いて無いみたいだし……Tシャツで下腹部は隠しているけど、もしかしたら、パンツも履いてないのかも……。

　よく見ると、雨音姉さんの白い綺麗な脚の太ももの付け根近くまで、露出していて、俺は心臓がどきりと跳ねるのを感じた。

　雨音姉さんの胸の温かさと柔らかさはかなりはっきり伝わってくる。

「さあ、晴人君……私をどうする？」

　雨音姉さんは俺にぴったり密着して、楽しそうに、でも頬を赤くして、尋ねた。