27─真実─


 

 「何から話せばいいかしらね…」

 肩に乗っていた赤い鳥は飛び空を飛び始めた。それを見あげながら下山し始め、まずはと、語り始める。

 

 

 「ここに来たのは三十の男女達だった、そして私達は十五組の恋人たちだった」

 

 豊富な資材が手に入るということで開拓が決まったこの土地にまだ名前はなかった。

 

 「天候も普通。適度に雨が降り適度に晴れ、草木に恵まれ、小川が流れることで水源もあった。」


 豊かだった。まだ開拓されなかったのが不思議なほど。

 

 「私とキールはこの開拓の要だった、精霊術師だったから」

 「精霊術師?」

 「オーギュストも知らないのね、本当にもう存在しなくなったってことかしら」

 

 豊かな土地を開拓するのに守るものが必要だった。…と言っても魔物が出たことを目撃されたことすらない平和な土地だったけど。

 

 「けれど私がいたことが全ての始まりとなってしまったんだと思う、もうそれがわかったのは全て終わってからだったけど」

 

 ドラゴンは昔からこの山のそこで眠っていた。番を求め、探していたドラゴンは出会えず眠りにつき、そのドラゴンの魔力に脅え魔物達は寄り付かず、この美しい土地が作られた。

 

 「多分、いえ、きっと私はこのドラゴンの番だったの」

 「…でも貴女は人だよ?」

 「そうよ、ルベリオン…私は当時人だった、普通の精霊術師だった…魂の番だったのよ」

 

 人に産まれたからか魂に強制されることも無く、普通に育ち人を愛した。キールと愛を育み、共にあることを誓った。

 

 「私がここに来たことでドラゴンは目覚め、再び番を探し始めた…それをキール達が足跡をみつけ調べ始めてしまった。」


 その時はまだドラゴンが居ることに誰も気付かず、私も魂の番だったことに気づかなかった。

 

 「ドラゴンはキールから私の魔力と匂いを多分感じ取って彼等の前に現れ、番がいない事に激情し襲った。」

 

 二人が殺され、キールが残り、足止めとなった。それをみんな置いていき逃げていった。村に残ってた女達も。それほ普通の事だったのだろう。死んでいった恋人のことも少しは頭にあっただろうけれど例外なく生きていたものはこの土地から逃げていった。

 

 「歌に誘われ私が辿り着いた頃には既にドラゴンの姿はなく、腹に穴が空いて、死にかけているキールと既に息絶えた仲間しかいなかった。」

 

 どうしてと叫んだ。憎んだ。恨んだ。呪った。

 

 「死にゆくキールが受け入れられなかった───だから私は願ってしまったの、ずっと共に居てくれた存在に」

 

 彼女の名前はキュラス。

 

 「冬に咲く花ラナンキュラスから取り、キュラスと名付けた私の契約精霊」

 

 可愛い子だった。小さく優しく、柔らかな子だった。雪のように白い手足に髪に青いドレスの小さな私の精霊。

 

 「キュラスは私の願いを叶えるために私の中へと入った、私の悲しみを癒すために、私が産まれた頃から共に居てくれた彼女を私は…」

 

 精霊と一体化したことによって私の力はました。殺さずに氷漬けにし、山頂にいるドラゴンを殺す為に山を登った。

 

 

 

 

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