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あれから。
うちの子供の記憶は、消えていた。
自分の子供の話をしても、誰も覚えていない。監視カメラの映像も気になって調べてみたが、誰も映っていなかった。カメラ担当の正義の味方も、何も見ていないと言う。
子供を連れず。
いつもの屋上に、向かう。
子供がたくさんいる。
駆け回るうちの子供を、目で探す自分がいる。
うちの子供は。
もういない。
彼女も。
いなかった。
記憶がなくなったのか、確認することもできなかった。
ただ、自分ひとり。場違いな屋上に、残される。
炭酸飲料。買いはしたが、飲まずに脇に置いてある。彼女が、ひょこっと現れて。飲むのかもしれないと、期待していたけど。誰も来ない。
そして、みかん箱ステージのところにみんなが集まって。
ステージが始まる。
「すべて。夢か」
子供も。彼女のことさえも。
それは、それでよかった。
失恋に似た、ちょっとだけちくちくする、気分。
立ち上がって。
柵に寄りかかってみる。
筋肉があるので、背中がちくちくすることは、なかった。
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